イオンやオーケーとどう戦う? トライアルが西友統合で仕掛ける次の一手 …… 比較するならパンパシフィックか、コスモスとかじゃないかな?

ITmediaの記事である。


このITmediaの小売記事は基本的に関東圏、頑張っても関西までの話に留まるので……微妙なのが特徴であり、その通り変わっていない。最近読んでいなかったが久々にアクセスして、読んだのがこの記事だった。

業績としてはこの上半期の目標と実蹟は良さそうなので、今のところ中東情勢が極端に悪化しない限りは、トライアルとしては成長するだろう。

ただ、客側としてトライアルが魅力的かというと、既にトライアルが安いという印象は殆どない。内税を外税表記に変えたことで価格が大きく上がり、競合店より高い印象が如実に出てしまったからだ。だからといって品質が高いかというと、それもないので足が遠のく状況になったのが現実である。

だから、元々店舗が多かった西日本では、どこの店も既存店は以前ほど、駐車場などを見る限り客入りが良くない。明らかに減ってから回復もしていないように見える。その分を、関東などまだ進出空白地がある地域と、買収した西友の価格改定で補うことで、帳尻を合わせ+αを得ているのだろう。そんな雰囲気がある。

ちなみに、ここで言うイオンが、イオンリテールなのであればイオンリテールはそれほど全国に直営店を持ってないので、戦うレベルではないだろう。オーケーは関東と関西が中心なのでそもそも勝負の対象となるかも微妙だと言える。トライアルは基本的に全国で直営店展開するタイプで且つ、元がディスカウントストア(DS)なので、西友統合で行うのはDSとしてのトライアルイメージからの半脱皮と西友の価格てこ入れ(こちらは商品単価を少し抑えるか、同じ価格のままで効率を改善し利益率を上げる)に過ぎない。それで成長するというのが、トライアルの戦略と思われる。

尚、イオンはそもそも直営店(イオンリテール傘下)が少ない。イオンリテール直営は、東北、九州、北海道、琉球(沖縄)を除く地域のイオンが全国展開されている店舗になる。ちなみに、ザ・ビッグなどは地域によってマックスバリュというイオンの子会社となる地域スーパー事業で展開されているケースがある。西日本(中四国・兵庫)に至ってはマックスバリュ西日本をフジと統合したので、フジのブランドになっている。即ち、イオンのスーパーマーケット事業は概ね地域会社が主体となっているのだ。GMS事業のリテールも東北などは別である。

オーケーはそもそも展開している範囲が狭いので、関東関西やこれから他の地域への出店が増えていくならオーケーの戦い方がどうなるかという話にはなるが、トライアルがこれらとどう戦うかとは別になるだろう。直営店舗数はトライアルが全国で約350、西友は約240。オーケーは約170ぐらいなので、トライアルがオーケーに挑む(戦う)側ではない。オーケーが崩す側である。


即ち、当該記事は見る視点がおかしいといえるわけだ。

もし、トライアルが西友と統合という視点でこれらと比べるなら、トライアルの弱みは、トライアルというDS事業をこれまで利用してきた人から見れば、価格が上昇して品質は同じに見えるという問題が、既に出てしまって改善する見込みもない状況にある。ここが明らかにマイナスであり弱点に見える訳だ。

ただ、事業として見た時にそれが会社の業績を中長期で死に至らしめるかというと、そうとは限らない。それは、西友というブランドが持っていた店舗価値にトライアルの技術を取り込めば利益率が上がってブランドが維持出来るなら物価高の中で薄利多売による競争を続ける理由が無くなるからである。さらに西友買収前にトライアルの店舗が少なかった地域では、トライアルとして出店しても高くなったとかそういう負のイメージもないので、西友ブランドの商品を兼ね備えることで、品質価値が高く、その割に価格も安定して見え、それによる成長も見込めるかも知れない。それがトライアルが狙っているM&Aによる西友ブランドを取り込んだ先の市場戦略である。

トライアルがこの先にさらに大きな一手をうつとしたら、他のM&Aも実施する可能性ある。それがスーパーマーケット事業なのか、アパレルなどの別ブランドか、異業種かは分からないが、そういうM&Aによる成長をさらに加速させる可能性もあるだろう。トライアルの西友買収に見えるのは、そういうM&A戦略によるDSというイメージからの脱却を行って一気にブランドを拡大させているということだ。

その先は魅力的なM&A対象と資本や投資資金が調達出来るなら、さらなる買収をすることで成長するという流れもあり得ると終えるのが妥当だろう。

ビジネスや投資という観点で見て企業を評価するなら、トライアルと同じ土俵で先にM&Aなどをしている直営全国チェーン展開の会社、例えばパンパシフィックホールディンス(ドンキホーテ)と比較するか(または比較しないにしてもその例を出して説明するか)、福岡繋がりでディスカウントドラッグのコスモス薬品との違いで比較した方が良いと思うが……。元々の戦略的にトライアルとイオン(グループ)、オーケーは全く経営層が見ているものが”違う”と考えるべきであり、タイトルに書くほどの比較対象としての適性があるとも思えない。

ちなみに、消費者的に見てトライアルの西友統合が良かったかというと、個人的にはトライアルの価格が明らかに上がっているので、良くはない。企業戦略としては今後、想定通りに収益性を上げていけるなら、良い買収だったとなるだろう。