所得増税、27年開始案 防衛財源確保へ―自民党調整…… 中国、台湾有事が起きるなら仕方ないと支持者は言うのだろうか?

時事通信社の記事である。


まあ、結局高市政権でもこうなるよなとは思っている。むしろ、米国からは27年にGDP比3.5%を求められていて、高市政権は補正予算で2%達成を確約しているので、下手すれば27年迄に必要な防衛予算はさらに増えて悪化するだろう。

防衛装備品の一部は日本ではなく米国製だから、円安が進んだり、物流コストが上がっても予算が必要になるというのもあるし、26年度後半にならないと必要予算もはっきりしないから、単純に今の支持者で話が違うと言い始めているであろう支持者が求める無駄の削減という未確定なシナリオでは、成り立たない。それでやると、いわゆる埋蔵金を掘り当てるのと同じ理論になりかねず、円安が進行する恐れがあるからだ。それでも、補正予算で債務危機が意識されはじめているのに……

まあ、今は日銀の利上げ観測のお陰と、米国の利下げ観測のお陰で円相場は落ち着いているが……(それでも154円台)


一応説明すると、今日本の財政において置かれている立場はかなり危うい中で、何故所得税なのかだ。

まず、何が危ういのかというと、日銀が利上げすると金利が上がるので、債券相場の利回りが上がることになり、債務の償還と借換の際の支払い利回りが上がるため、政府の歳出予算の国債費が水ぶくれする懸念があるという点が1つある。

じゃあ、利上げしなければ良いのかというと、利上げしなければ、財政支出が今回多く、他の主要通貨に対する円安が進行しはじめているため、結果的に10年以下の債券利回りが不調になるという問題が発動する。そうすると、債務の償還と借換の際の支払い利回りが上がるため、結果的に政府の歳出予算における国債費が水ぶくれする。

だから、どっちが国民や社会にダメージがないのか?が1つの焦点となるというのが1つある。

次に、円安の進行と海外での物価高(商品流通量の不足)で輸入品や海外からのサービスに対する物価が上がっている中で、日本は最低賃金を官制で急速に上げたことなども影響して、商品やサービス価格が上がっている。このお陰で税収などが増えているのだが……そもそも、物価や賃金が上昇しているので、公共サービスで支払わなければいけない事業費も上がっている。例えば、道路工事をする場合の費用も上がっているし、学校の耐震工事や修繕などに伴う費用も増えているのだ。

これらは、昨年比で今年だとCPI(消費者物価指数)換算でコア換算3%を超えると見られる。これはラスパイレスによる平衡化算定を行っているので、実際に同じ品質の同じ商品(商材、サービス)だと、それより上がっているものも多々ある。で、一般会計の税収は、23年が72兆円、24年が75兆円、25年が今のところ当初、78兆円で、現在は80.7兆円(見込み)である。

今年度、通年を通して前年より3%物価が上がった場合、来年度予算で今年と同等のサービスを提供すると仮定した場合、最低でもこの3%の上昇分を加味して予算編成をしないと、公共サービスの質が担保出来なくなることを意味している。尚、公債費、国債の償還コストはこれには含まない。これらは、先に書いた債券の償還期限に伴う利回りの変化が影響するからである。

これらを加味して24年比だと6%ぐらい伸びる見込みなので、物価の中央値換算だと、3%ほど余裕が出てくるはずなのだが……。公共財は最初からかなり安く入札を掛けているはずなので、それ以上の伸びが生じている事も多く最近は入札不調も増えているはずだ。


この部分を理解した上で、さらに新しいばらまき事業とか無償化事業とかを追加して、事業が増えるだけで、削減していないならば……どうなるか?というのを考えて見ると、今年の税収が増えたところで、来年がどうなるかは分かるだろう。しかも、ガソリンの暫定税率を廃止したが、その代替予算はやっぱり無いじゃ無いかという話がもう出ているし……。暫定税率には地方揮発油税も含まれているので、この代替が出て来ないと地方財政にも打撃となる。

ちなみに、基本的に翌年の予算は今年の歳入の実績見込みを元に、来年の歳入見積もりを立てて編成されるものである。

こういう状況だと、例えば歳出改革で無駄を減らすとしても、今年決まった事業や暫定税率の廃止などの予算歳入組み替え分だけで、帳消しになってむしろ穴が空く可能性がある。だから、財源予算を別に必要とするというのが税調の見立てだろう。


じゃあ、所得税1%というのは何故か?

防衛財源という発想だけで見ると、この防衛財源の根拠は米国の要請を受けて、前年度(または前々年度)の名目GDPを元に比率を近年は決めている。そのため、GDPが上振れすると、GDP比での国防費は上がることになる。609兆のGDPだと12.2兆円だが、例えば仮に来年のGDPが630兆になると2%は12.6兆円になり、4000億円増える計算だ。実際に想定されている数値は年1%ぐらいと見て、621兆円ぐらいだろう。この場合は12.42兆円になり、2200億円増える計算である。

所得税収で考えると、1%を全国民総所得で均等に増やした場合、今年の所得税が22.7兆円だと仮定して、27年度も同じ所得税が予定されていたならば、2270億円税収が増えることになる。これが、税調の見立てだ。


尚、物価がこの頃も3%年率で上がり続けているなら、防衛装備品の品質は1-2%下がるか、実際の購入予定の計画数量より実蹟数量が減る可能性があるという重大なことも書いておく。要は、これでも下手すれば防衛省の職員や設備の充実にとっては足りない状況になり得るということだ。


我々国民が物価高で苦しんでいるということは、行政の物品購入も物価高の圧力に晒されているし、債券の利回りが上がっていれば、予算で必要になる債券の償還の費用も増えるしという、ある意味で手が塞がり始めているのが今の日本だ。それなのに、あれほど石破政権ではNoといった給付が復活しているし、ばらまきだしとなっていれば、防衛財源だってこうなるのは当たり前である。高等学校の無償化なども決まっているし、結局自分がやりたい政策をするための時間稼ぎに、ばらまいたりしているだけで、その先に埋蔵金がある訳でも、何かの無駄な予算が明確にあって、それを止めれば財政が健全化出来る訳でもない。

社会保険と介護保険を完全に民営化でもすれば一気に黒字財政になるかもしれないが……。今はそれを利用する人の方が多いので出来るはずもないし、それをやると医療保険点数制度も解体されることになるので、全国で統一的な医療を受けられていた環境が崩れる可能性もある。

でも、米国とは約束したので、予算を作らざる終えない。確実なのは、所得税を1%上げれば、取りあえずGDPが年率1%伸びる想定なら、25年度の予算(歳入)の見込みだと、防衛費を賄って上手くすればおつりが来るかもとでも思っているかも知れない。これなら、円安や、債券利回りの上昇などによる財政の崖問題にもならない根拠として最適というのが税調の考えである。


正直な話、今の日本は防衛とかの予算を極端に増やせるような状況にない。経済的には円安効果で円換算だと名目成長しているように見えるだけで、実質でドル換算すると明らかに衰えてきているし、それが反映され国民の生活水準も悪化し始めている。それでも、米国とGDP比で約束をした訳だが、ばらまきとかいろいろやって、予算は肥大化する上に、社会補償費が放置していても暫くは大きくなり続ける。

ここで、中国との関係悪化したときには、防衛費を増やすべきだと言っていた人も、実際に税金が増える形で示されるとなると、果たしてどう考えるかな?否定的に考えているなら、関係悪化して緊張することなど日本には既に出来ないことを示している。

一方で、所得増税しても、仕方ないという人が多いなら、今度は自民党などの与党になる政党は、これに味をしめるだろう。これは、社会保障を理由にして税率を上げたり、少子化を理由にして税を上げてきたのと同じ自民党の手立てである。1度これが上手く行くと、最初はそのためでも、そのうちに、ばらまきなどにその予算の残りを回すようになって……結果的に税率が維持⇒増加するのである。自民党政権というか日本の政権と国民性はいつもこんな感じのだまし合い、化かし合いである。

復興庁とかもそうだけど、10年で無理だから20年だ30年だって、日本全体の人口が減っている中で、復興のゴールはどこなのよ?と言いたい。こうやって、ガソリンの暫定税率が何十年も残ったパターンと同じになっていくのである。