トランプ政権、ロシアの石油、ガス、銀行部門への制裁を強化 …… 原油供給に影響がでるかも?
CBSニュースとFOXニュースの記事である。
この2つの記事を読んでも、トランプ氏は本当にdealでしか政治を見ていないのは間違いないだろう。しかも、以前よりも確実・着実に圧力を使って譲歩を引き出すという戦略だ。それは、ウクライナに限らずロシア相手でも行われていくと思われる。彼にとって正しいかどうかは、彼が望む結果を他国や他人がしてくるかどうかであり、それをしてくれるなら、彼らがくれるものよりも、少し質は劣るが見返りを与えるという感覚である。
後は、それに相手が乗ってくれるかどうかだけである。弱い国は乗っかる以外にないが、ある程度力のある国は、乗ったように見せかけたり、軽く乗ってみて、ダメだと思うなら離れるだろうから。
しかし、この圧力型の空気が前回のトランプ政権よりも遥かに強まっているのは、米国を中長期的に衰退させるだろうし、このロシアとの交渉においても、表向きと実態では中長期的に米国の国力を落とすことになりそうだ。場合によっては、ロシアとの交渉が決裂してもおかしくはない。
そもそも、決裂したからトランプ氏が、ロシアとの関係を悪化させるのかも不透明である。ロシアのプーチン大統領はその辺りをこれから探るのだろう。今回もしも、米露の交渉が決裂した場合に、欧州と米国との軍事関係が改善するとも言い切れないし、だからといってロシアとトランプ氏の関係が悪化するとも言えない。
トランプ氏の場合は、利益にならないと考えると、一端引いて放置することも過去にはあったので、もしかすると現状維持だけをして、時期を見定めるという方向に変わる可能性もある。トランプ氏が激怒して戦争という流れはまずないだろう。彼は戦争そのものは嫌っているようだからだ。
ちなみに、ロシアは経済的に厳しいという話も聞かれるが、厳しくてもウクライナとの戦いが始まった頃のような悲観は今やないと思われる。即ち、停戦を速やかにする必要があるわけでもない。日本では、ロシアは厳しいとウクライナ侵攻からずっと報道されているが、あれは正しい情報では無く、単なるプロパである。戦時下に入ると、国民はどう足掻いてもいろいろ苦しくなるし、経済面でも軍需以外で悪化することは当たり前だ。それでも、国のトップや閣僚の決断が戦争継続なら、それは続く。勝つか負けるまで……それだけのことだ。
まあ、昨日も書いたが、何らかの駆け引きをすることで、30日の停戦はどこかでする可能性がある。ただ、このdealにしか目を向けていない政権が、他国の戦争を終結させるのはやはり困難だろう。朝鮮戦争のように、停戦止まりであろう。結局、争いを明確に終結させるには、平和になったと仮定しても、その蟠りを解消するまでに、何世代かの世代交代が必要なぐらいの血が流れ時間を要したということを示している。
今の米政権のトップはそれを無視して自分の利(リーダーシップや経済対価)という恩恵を求めているのは見え透いているが、今でもGDP世界1、軍事力も世界1の超大国だけに、無碍にも出来ないという現実がある。
ちなみに、米前政権はフランス・ドイツなどにロシアは絶対に敵だと示すことで、結束という利益を得、さらに資源などの販路拡大という経済恩恵を得た。今度はその真逆になって梯子を外されているので欧州は苦悩しており、それはロシアとウクライナにとっても、先の見通しにおいて、米国に喰われるのか、それとも食らいつくのかを決める最初のステップとなる。
尚、これは他人事ではない。日本も米国との距離を今一度見直し、トランプ政権の後もトランプ氏のような政策を取る人間が入れ替わり立ち替わり出てくる事を見据えた多様な国との模索を続けなければ、日本社会が翻弄されることになるだろう。
特に、今は経済国家を売りにしているが、本当に国内の食料自給率をどうやってでも今後上げていかないと、日本は軍備、防衛の前に兵糧不足で負けることになるだろう。金があっても、円安で円の価値が下がれば、海外から必要な量の物が買えなくなることも既に分かったのだから、国内で取れるものというのをちゃんと国内で作るようにしないとまずい。その最初のステップは食料と水である。次が電気などのエネルギーである。そのエネルギー価格にまた変動がおきるかもというのも、当該記事の内容になる。