林官房長官「日鉄が大胆提案検討」 USスチール買収計画巡り…… 日鉄は知らなかったのに?
日経、ロイター、時事、NHKの記事である。NHKが時系列記事になる。
国の首脳陣という民間交渉とは全く関係ないもの同士が、勝手にすりあわせて、姿を決められて、外堀を埋めらられていく様というのは、どこで間違ったのかと今頃、日本製鉄側のトップや幹部は頭を抱えているかもしれない。
正直、日鉄はなんでバイデン氏が拒否した後に、US Steelや米連邦政府を相手どって違約金訴訟をする方向に転じなかったのかが、本当に今も分からない。日鉄の不備ではなく、禁止されたならそれが可能だっただろうし、そういう方向で動いた方が良かったわけだ。今の状況は下手をすると、日鉄は技術とカネだけをUS Steelに対して援助し、US Steelの残りの株の一部でもCleveland-Cliffs Incが買ってしまうと、そこからCleveland-Cliffs Incに漏れる可能性も否定できない。
何せ、Cleveland-Cliffsは日鉄、川崎製鉄、JFEなどの製鉄会社を心の底から嫌っているようだから……まあ、宝鋼集団有限公司(世界最大手の製鉄会社で中国の官営・国営企業)を育てたのが日本の製鉄会社だから当然と言えば当然かも知れない。
US Steelが日本メーカーに買収されれば、一気に米国の他の鉄鋼メーカーが苦しくなる可能性もあるからだ。
US Steelを買収すれば関税などによる障壁も無くなるので、不味いわけだ。元々、Cleveland-CliffsはUS Steelを買収するつもりだった中で、交渉が決裂し、日鉄にその隙間を攫われたというのもある。
これを今の日本に当てはめると、ホンダが日産との合併が決裂したが、この後に鴻海が多額の費用を出して完全買収を提案し、技術も移転する話も含めて進むとしたら、国民的、またはホンダなどの企業的に見てどう感じるかというのと同じだ。それを、政治的な圧力まで使って阻止したのが、米国の鉄鋼業界というわけだ。
何故か日本では感情論になるように報道したため、あれだけど……元々の社会背景と未来のビジョンから見て、その国の他の同業他社にも悪影響を与える可能性があるなら、政府判断による買収阻止というのはあることだ。それを、読み間違えて、結局さらに日本の政治まで巻き込んだことで……結果的に、日鉄が望む完全買収の道は潰えたと言うわけだ。不完全に金を出して技術を出すか……それとも、違約金を払って撤退するまでいくかになるかもしれない。
まあ、後はトランプ大統領がどういう判断をするかだけだ。もしかすると大逆転もあるかもしれないが……今のところ無さそうである。
日鉄の幹部と会う予定とまでなっているのであれば、その時に決まるのだろう。下手に撤退も許して貰えず、買収も出来ずに出資止まりみたいな話になれば……日鉄の戦略は完全な失敗になるだろう。これは、結局日本の報道も悪いのだ。別に日鉄がUS Steelを救う必要など無かったのだから。
日鉄の責任感がみたいな方向と、利益がという2つの話を混ぜ込んで報道したことで、日本人受けは良かっただろうが、経済や政治、相手国から見た感情として考えると、常識的な経済判断からは外れた賭けになっていたのは否めない。まあ、まだ大逆転があるかもしれないけれど……。ここで大逆転狙いとして、何をトランプ氏に差し出すのだろうか?
