中国市場向けにGeforce GT 730の新製品が登場 …… 性能はGT730並で45ドルから。

tomshardware.comの記事である。


私はGeforce GTX 750を今も予備に所有しているが、GT 730はGTXのMaxwell1.0世代ではなくその前のKepler世代(またはFermi)である。NVIDIAの標準フェーズサポート(機能更新を含むドライバーサポート)は終了し、脆弱性などの対応を含めた延長サポートも事実上終わっているが、中国市場では再び出てきたらしい。

低所得者層向けに安いカードをという事なのではないかとしているが、そもそも既にサポートが死んでいるのに売れるのかは不明だ。スタンドアロンで産業用に使うならありかもしれないが、一般の消費者が買うものでもないだろう。何せ、NVENCやDECのサポートも現行世代のGPUドライバーとの互換性が変化しているので、最新の動画編集ソフトやエンコード、デコードソフトウェアでは正常に動かないケースもあるからだ。ゲームには当然だがGTクラスでは太刀打ち出来ない。MaxwellベースのGTX 750でも結構厳しいのだから。

ただ、当時の製品にも強みはあった。それが消費電力と発熱の少なさである。今のGPUはどれも基本的にはツインファンが必要なほどの発熱があり、シングルファンだとGPU負荷が上がると風切り音が大きくなる。それだけの発熱があるので、補助電源が必要なものが大半を占めている。Kepler、Maxwell、Pascal辺りまでは、微細化と設計のバランスが良く電力の削減と性能の段違いのアップが出来た時代である。TuringからはRTXに移行したのもあって、急激に熱バランスが崩れ、さらにマイニングブームでGPU価格が爆発的に上がる事態になり、今はもう昔ならエンスージアストPCが1台組めるぐらいの価格で最上位のGPUが売られている時代である。こんな時が来るとは、当時夢にも思わなかった。


尚、Maxwell世代はまだ標準フェーズサポートが続いている。これは、現役で使われているゲームコンソールのNintendo SwitchがMaxwell2.0世代のGPUだからである。あと、Switch 2が出てくるまでの数ヶ月ぐらいは標準サポートが続くと思われるが、これの標準サポートが続く期間も長くはないだろう。それでも、GT730とかよりはマシである。

というか、どこから新商品として売り出せるほどの量のKeplerコアを発掘したのだろうか?どこかの販売パートナーが修理在庫などとして持っていたものが、流れたのだと思うが、この手の保守がない製品だと、普通は新商品として流れず、中古や新古市場のバルク、ジャンク品で10ドル以下とかになるはずなのだけど……

事実上、古いOSなどで使わない限り、下手すれば最新のソフトウェアで機能の一部が上手く動かないし。
完全なEOLの製品は、新製品扱いで売る物じゃない。それだけ物価が高いということなのだろう。