HDMI2.2はいつか流行るのか…… 16K、圧縮なしで96Gbpsを実現できても……コンテンツがない。
ASCIIの記事である。
これの正式発表は1月6日で、海外のサイトやImpressなどでも発表記事がある。新機能としては、HDMIの遅延を抑える為の同期信号を供給するLatency Indication Protocol が追加されているという話ぐらいで、後は帯域幅の拡大とそれに合わせて、解像度サポート最大16Kに、フレームレートサポートが4Kでも480Hzを余裕でサポート出来るように拡大しただけである。
ゲームユーザーなどを中心に売り込む姿勢のようだが、HDMI2.0や2.1ですら導入していない人は多い中で普及するかどうかは不明だ。というより、コンテンツの開発も超解像ベースに移り始めている中で、求めるユーザーが劇的に増えることは無さそうな気がする。
ちなみに、Redditのこれに関するユーザーの意見では本当に辛辣なことが書かれている。
もっとも問題なのは、映像コンテンツの4Kといったものが、ネットに増えていく中で、その4Kの画質が下手するとFHDのブルーレイディスクの2Kよりも粗いケースがあることや、UHD BDなどの媒体と比べた時の画質が全然伴っていないことにあるようだ。
さらにHDMIの認証の問題というのを指摘する声もある。ケーブルがHDMI2.x対応として明記されていても、実際に買って繋いで見ると、中身はそれに対応しないケーブルだったということがあるようだ。まあ、今は安い中国製のケーブルも増えており、大手メーカーもそれのOEMを受けて、耐候性寿命など質が下がっているケースもあるので、テレビなどの置き場によっては最初は良くても、数ヶ月経って、ケーブルが紫外線などで劣化しボロボロになったりすることもある。
昔は、そういうのは少なかったが、今はあらゆるケーブルで、屋外対応や、高耐久性を売りにしていないケーブルは、その傾向がある。夏を過ぎるとねちゃっと(ベタベタ)するとか……。冬場に多くなっている火事が、こういう配線火災じゃないと良いが、そういうのもありそうだ。
ついでに言えば、ゲームもゲーム会社の4Kへの勢いは昔より抑えられている。以前は、高解像度への流れが強かったが、それをやるベンダーは主に、FPSやスポーツシミュレーション(自動車やバイク、フライトシミュレータを含む)などのプロゲーマーが存在するゲームに多くなっており、それを除けば、解像度を求める流れは止まっている。これは、ゲーム機の価格が上がっていること、ゲームの開発に必要な機材の価格が上がっていることで、UHD級の高解像度ゲームをするのに掛かるコスト負担が、子どもやカジュアルゲーマーの投資出来る範囲を超え始めたからだ。
要は、小遣いでゲーム機やゲームタイトルを買って遊ぶのが困難になっているのだ。さらに、スマホが普及したことで、いつでも簡単に遊べて軽いゲームをする人が増えており、複数人で遊ぶときに画面の大きさなどを求める声はあっても、解像度を必ずしも求めなくなっているのである。結果、8Kなどの需要はあまりないのである。
もっとも、これにはもう一つ超えられない問題があったのも影響している。
当初のディスプレイメーカーや家電メーカーの目論見では、4Kディスプレイの小型化や、4Kの映像処理エンジンや8Kの画像処理装置、スイッチャーなどの低廉化、さらにこれらの処理をするデバイスの性能の上昇で省電力も達成出来ると考えていたが……それが、半導体やコンデンサー、ディスクドライブ、液晶などのディスプレイの透過輝度(開口率)の進化が停滞しはじめ、それに伴って開発コストが嵩んだ為、予定通りに進まなかったのも理由だ。
結果的に、大型でプレミア感の強いディスプレイの開発ばかりになり、全てのテレビやモニターを4Kや8Kに置き換えるような多様性は生まれなかったため、4Kや8Kの世帯需要が減退し、それに合わせてコンテンツも平々凡々な2K中心に留まりつつ、4Kはただ解像度だけそれにしているものの、圧縮率が高かったり、2Kからのアップスケーリングで引き延ばしたコンテンツが多い状態になっている訳だ。
それが、ゲームも含めて全てで該当しており、以前ならAV(オーディオビジュアル)マニアというのが、最新の機材を揃えてというのが必ずあったが、今は、そういう人々ほど萎えはじめてきているわけだ。揃えてもコンテンツの質が良い物は殆ど手に入らないからだ。ブルーレイも普及より衰退に向かいつつあるし……。セルのBDは唯一2Kや4Kで圧倒的な高画質を誇っているので、これからもまだ残るだろうけど、数量は減っているしね。
そうやって考えると、16Kを扱えるケーブルを揃え、ディスプレイを揃えるのが当たり前になる日が来ることはもう未来永劫ないのかもしれない。