Galaxy S25 SlimはMTスコアが低い……オーバークロック対応のSnapdragon 8 Eliteなのに。
wccftech.comの記事である。
どうも筐体がすぐに熱くなるため、サーマルスロットリングがコアクロックを抑えてしまうようだ。その結果、演算のスコアが上がらない見込みという情報である。これは、Appleなど今年出荷予定の他の薄型スマホでも見られる傾向である。これは、筐体の体積が減ると搭載されるメモリー、CPU、GPU、ストレージ、バッテリーなど稼働させると熱を生み出す物の距離が近くなり、隙間がなくなる。隙間があるとないとでどう違うかというと、熱が生み出されるもの同士が例えば、密着していると、お互いが熱を融通しあってより熱が隠りやすくなるのだ。
具体的に、人で説明するとおしくらまんじゅうをするとおしくらまんじゅうしている内側はより温かくなる。1人で体を動かすよりも短時間で、体全体が温まるのだ。これは、周りの人の体温が自分と同等にあることで、熱が体の周辺全体から逃げることがなくなるからだ。要は、前でも後ろでもどこか一カ所でも少し高い熱源があれば、四方八方から逃げていた熱量の例えば1/10かもしれないが逃げる量が減る。すると、同じ運動量(熱の発生)が維持されているなら、10%早く熱源の温度が上がることになる。
これが熱密度による早期加熱の問題である。スマホなど小型デバイスの場合は、大きな熱が出る場所の周りを熱の少ないデバイスや回路に消費し、放熱版や熱伝導素材を置いて、そこから熱の少ない周りの場所や殆ど無い場所を含めた範囲に拡散して筐体外に廃熱していることが多い。これで、サーマルスロットリングによるスロットリングの抑制が掛からないようにしているのだ。しかし、筐体の体積が小さくなると、熱源を上下左右に立体配置して、放熱を効率的に行うのが難しくなる。
要は、基板を挟んで裏表2階建てぐらいで熱源を配置し、熱源が互いに隣あったりしないようにしつつ、その熱源のさらに上に熱拡散のシートなどを使うのが普通のやり方としたら、それが1階建か、1.5階建てになり、熱源との距離が縮み、さらに熱を拡散するシートの放熱範囲が狭くなる。すると、熱源同士の熱放出が追いつかなくなり、さらに互いの熱が互いのデバイスに干渉するようになる。
結果、クロック周波数の高さで性能を高めていたハードウェアは性能が下がると言うわけだ。
スマートフォンなどの携帯デバイスの場合は、他にも問題があり、熱源とリチウムイオンバッテリーの距離も狭くなるため、バッテリーの熱劣化速度も上がる恐れがある。
本来、バッテリーの寿命とのバランスを取るなら、ミッドレンジ以下の低発熱プロセッサを使った方が良いが、高価格なプレミアム製品を出したいと言う理由で、こういった無理をした製品を出すのだろうが……正直、カタログスペック上は、バッテリ容量以外はきっと上位で良さげに見えるだろうが、総合的に見るとあらゆる面で無理があるので、ハイエンドを好む人に売れるかどうかは価格次第になり、普通のモデルよりデザインが薄いから高めとかなると売れるかどうかは微妙だろう。
そもそも、スマホの場合は薄すぎると今度は剛性の問題が出てくるし、薄くてもケースに入れれば厚くなるし……さらにケースに入れればより熱の放熱が悪くなり熱くなるし……と考えると、製品として微妙である。