AMDのRyzen 9 9800X3D不足はIntelが弱すぎるから …… とAMDが主張
tomshardware.comの記事である。
実際に言っていることは間違っていないのだろう。元々、AMDは上位製品についてTSMCへの生産委託によって賄っており、最近は下位をSamsungにも委託しているが、それでも生産出来る量は、少なくともRaptor Lake全量とMeteor LakeのCPUとベースタイル部分、及びArrow Lakeのベースタイルについて自社生産が可能なIntelに比べると生産力を急激に増やすことは出来ない。
だから、売る予定だった数量を大きく超えて急激に需要が出てくると品薄になる訳だ。元々ゲーミングや開発向けを狙っているRyzen V-Cacheは歩留まり率が、他のプロセッサーより低くなり製造コストも高く生産数量も少ないはずなので、今後も簡単に増やせるものでもない。だから、Intelの不甲斐なさが、品薄に拍車を掛けているという意味で、「ひどい」(horrible)と述べることになったのだろう。
しかし、今後もIntelのゲーミングや一般クリエーター(開発向け)のプロセッサー需要において、Core Ultra 9が伸びる可能性は低いと市場はもう見ている。結局、下手にパッチで修正できると豪語して上手く行っていないからである。出来ないなら出来ないとした上で、アプリケーションベンダーとソフトウェアの最適化などで改善出来ないか模索しているとでも言えば、違っただろうが……それをやらなかった影響が出ているわけだ。
だから、生産能力の増強を急ぐ姿勢もAMDは見せなければいけなくなっているという訳だ。まあ、簡単じゃないということもtomshardware.comでは書いている。不足は今後も続くということだ。X3D系で、PCを組もうと思っている人がいるなら、ある間に買って置くことが大事かも知れない。大手のBTOメーカー品なら多分、優先的に供給されるはずなので、問題はないと思うが、あまりに品薄が続くと価格が上がってくるので(実際にもうあがり始めているはずだ)、注意が必要である。
尚、そこまで凄い性能を求めないなら、Intelの方がお得になる日が来るかも知れない。問題は、Intelはマザーボードなどのコストが割高なことだろう。Arrow Lake-Sに限定したマザーになってしまったので、上位のUltra 9を活用できるZ系のマーザーで組むと、性能比でAMDに比べて高く見えるかもしれない。AMDはソケット互換が前世代以前から続いているので、その点、ある程度妥協すれば総合的にはお安く組めるからだ。そこが解消されればある程度売れるとは思うのだが……
今回に関して言えばArrow Lake-Sはオーバークロックなしのミドルレンジをお得に見せて売り込むしか生き残る術は無さそうだ。ある意味で、Bulldozer MA時代のAMDと、Intel Core i7/i9の時代に対して立場が逆転したような状況である。