AMDがZen5の追加ラインナップとZen4版のRyzen AI 200を発表…… Intelを超える魅力的なラインナップの拡充へ。

日本時間だと今朝4時頃からAMDのCESにおける登壇発表があったわけだが、予定通りにNavi 4x(Radeon RX 9000)や、Ryzen AI 300/200 Ryzen AI Max、そしてRyzen HX3D、Ryzen X3Dなどの発表が行われたようだ。以下は全てwccftech.comの記事でまとめているが、日本でもPC Watchなど各社が掲載しているだろう。


見る限り発表の内容としては死角が殆どない。性能が発表の通りかどうかはこれから製品が出てきて評価されることなので、今の段階でこれを素晴らしいという訳にはいかないが、AMDの初物は安定するのに時間がかかることが多いので、買う予定の人は2-3ヶ月ぐらい様子をみた方がよいかもしれない。緊急で深刻な問題があれば、そのぐらいで改善されるはずだ。


<Radeon RX 9000とFSR4.0>

発表された内容の1つがdGPUである。Radeon DNA4(RDNA4) Architectureで知られるNavi 48とNavi 44をベースとするRadeon RX 9070と同60、それとセットでFSR4.0(AMD FidelityFX Super Resolution)という新しい世代の機械学習ベースのゲームアップスケーラーである。但し、RDNA4の詳細な情報は別途発表される予定である。あくまで、ラインナップとして次の製品が出ることが示されただけである。

Radeon RX 9070XT(Navi 48) 16GB
Radeon RX 9070  (Navi 48) 16GB
Radeon RX 9060XT(Navi 44) 8GB
Radeon RX 9060  (Navi 44) 8GB

これらは、FSR4.0をサポートする製品になる。また、RX 9070XTはGeforce RTX 4070Tiと競合する製品となり、9070が4070と9060XTが4060Tiといった具合で対抗する形になる。


<単体のSoCでゲーム機並のGPUを搭載するRyzen AI Max>

開発名がStrix Haloと呼ばれていたモンスターSoCがこれである。ほぼスペックは漏れていた情報通りである。
CPU性能はZen5ベースでPS5を超える。GPU性能もPS5を超える。但しメモリー帯域はPS5より大きく減ることになる。最大TDPは120Wになるため、ゲーミングノートやDTR(デスクトップ代替)向けのPCに向けた製品で且つ製品としてはプレミアムグレードになる。
DRAMの仕様が標準ではLPDDR5X64b_6400_4CHのようだバス幅はよって256bitである。本来これで計算すると帯域幅は204.8GB/sである。ただ、公式に最大は256GB/sピークレートということになってるので、仕様上の上限は8000MT/sになるようだ。これはリークされている仕様と変わらない。
GPUは16CU~40CUで、RDNA3.5のアーキテクチャを採用している。それぞれラインナップ仕様は以下になる。

Ryzen AI Max+395 Zen5-16C/32T 3.0-5.1GHz Radeon 8060S-40CU XDNA2 NPU-50TOPS 45W~120W
Ryzen AI Max 390  Zen5-12C/24T 3.2-5.0GHz Radeon 8060S-40CU XDNA2 NPU-50TOPS 45W~120W 
Ryzen AI Max 385  Zen5-  8C/16T 3.6-5.0GHz Radeon 8050S-32CU XDNA2 NPU-50TOPS 45W~120W 
Ryzen AI Max PRO 380  Zen5-  6C/12T 3.6-4.9GHz Radeon 8040S-32CU XDNA2 NPU-50TOPS 45W~120W 

尚上記にはMaxとは別に業務リリース(セキュリティ管理などの面が強化されるブランド)のMax PROブランドが存在するが、380のみPROのみになる。

改めて共通仕様は、NPUがXDNA2で50TOPSであること。DRAMがLPDDR5X64b_4chで最大128GBあること。
あとはGPUがRDNA3.5であること。VRAMの最大割当ては96GBであること。CPUがZen5であること。TDPが最大120Wという仕様が共通である。



<AMD Ryzen 9 9950X3D & 9900X3D>

V-Cache版のRyzen 9X3Dの最上位も発表された。まあ、これは特別書くこともないだろう。これでIntel製品との最上位の性能差はさらに開く事になりそうだ。



<Fire Rangeはモバイル向けX3Dを含むハイエンド>

モバイルのV-Cache版(Fire Range)を含むモバイル版のZen5ハイエンドもようやく登場した。

9950HX3D
9955HX
9850HX

である。これらにはRyzen AI向けのXDNAがないと思われる。その分、CPU性能やキャッシュ容量に力が注がれた製品になる


<Ryzen AI 300とRyzen 200の製品群>

一般向けのモバイルラインナップも発表された。Zen5ベースのAI 300/及びProと、Zen4のRyzen 200である。Krackan PointベースのAIブランドは

Ryzen AI 7 350 4Zen5+4Zen5c 8C/16T 2.0-5.0GHz Radeon 860M-12CU 3.0GHz XDNA2-NPU_50TOPS 15-54W
Ryzen AI 5 340 3Zen5+3Zen5c 6C/12T   2.0-4.8GHz Radeon     -4CU  2.4GHz   XDNA2-NPU_50TOPS 15-54W

で、どちらもPROが混在する。

残りはHawk Point Refreshベースになる。Zen4世代でAIの名称が付かない。これはCopilot + PCのNPU要件を満たさないからだ。ラインナップはPROを含めて11あるようだ。詳しくは割愛する。



<ゲーミングハンドヘルドSoC、Ryzen Z2>

最後が、Ryzen Z2である。AMDではAPUと読んでいるがいわゆるSoCに該当する。Strix PointベースでCPUはZen5+Zen5cの組み合わせとなる。LPDDR5Xメモリーを採用し、RDNA3.5の16CUを統合したGPUを内包する。NPUは搭載していないこと(Disable)になっている。TDP
は15W~35Wの範囲である。

Z2 Extreme   4 Zen5+4 Zen5c 8C/16T -5.0GHz RDNA3.5_16CU 15-35W
Z2 Standard  4 Zen5+4 Zen5c 8C/16T -5.1GHz RDNA3.5_12CU 15-30W
Z2 Go           2?Zen5+2?Zen5c 4C/8T -4.3GHz RDNA3.5_12CU 15-30W

の3種類からなる。TDPも含めて考えると一応はLunar Lakeに対抗する製品となる見込みだ。



以上がAMDから発表された製品の全容になる。尚、製品の一部は即日ではなく上半期中(第一四半期/1-3月期)に投入されるものもあるので、すぐに購入出来るとは限らない。ただ、Intelの発表もあったのだが、それに比べてAMDの今回の発表はより全方位に向けて魅力的に見えるのは間違いないだろう。ただ、dGPUについてはNVIDIAがBlackwellの発表を控えているので、それの価格やラインナップ次第では少し褪せるかも知れない。