ゲーム関係者は先端グラフィックスでAAAゲームを作るのはコストが高いと語る …… GPUが高いし、省電力でかいし……
tomshardware.comとNew York Timesの記事である。
要は、忠実度の高さを望むゲーマーは40代~50代の中高年ゲーマーが中心で、それ以外の若い層や一般層はMinecraftをはじめとする忠実度を簡素化したゲームでも十分だと思っているので、忠実度(リアリティの高さ)が利益に直結しないという話だ。
ちなみに、私もこの記事で言う中高年域に入るが、画質を望むタイプではない。正直、画質を望む人を見るとなんでそんなにリアリティを求めるのかに最近は疑問を持つ側である。よほど映画のように写実的なものが売りなら別だろうが、それもストーリーの質とバランスが一致してやっとなり立つわけで、リアリティが高いだけで売れる訳じゃない。
これには、GPUの価格の問題もある。結局のところ、昔はGPUの価格が最上位でも6万~10万円(1000米ドル)前後で購入出来て、かつ消費電力も150~200W未満ぐらいで動いていたが、今は450~600Wに迫って価格は30~40万(2000米ドル以上)とかになってきているのだから、リアリティなんかどうでも良くなってくる。
そして、これはゲームを作る側のコスト増にも繋がる。作る側のGPUやCPU環境も価格が上がっており、電力の問題も増えている。そこに高いリアリティを「必ず」求める消費者の減少も重なり、利益が出にくくなると言う訳だ。
こういう現実があって、最近は一部のソフトハウスが人員整理などを進めているということのようだ。
さらに面白いのは、ゲームをする設定環境にも特徴が出てきているようだ。ゲームをする環境の性能がそれ以上の能力を持っていても、60fpsに限定した動作でゲームをする人や、解像度や画質を落としてプレイする人もいるというものだ。スマホなんかだと、画質設定がバッテリの持ちなどにも影響するのでそういう設定をする人もいるだろう。また、私がそうだが最近再びやっているAsphalt 9で、画質設定を落とした方が、画面揺れなどが再現されていないことから、やりやすいし……という理由で、落としていたりする。無駄に揺れとか再現されていると、目も疲れるし、良いことないのよ。
でも、開発する側はそういう物理シミュレーションが入った方が良いとか、ゲーマーはそのリアリティを喜ぶ訳だ。こういうゲームプレイスタイルに求める要件が多様化していき、マルチプラットフォームで沢山の製品への安定対応が求められるようになる中で、コスト問題は以前より深刻になっているということなのだと思われる。
この記事を読む人が、ゲームのクオリティを画質に求めるか、それとも画質二の次で面白いかどうかだけで選ぶかは、分かれるだろう。ただ、画質が良いから売れるわけじゃないというのは、昔からある現実だ。これは、ゲームに限らず映像コンテンツでも言えるし、写真などでも言える。大事なのは、シナリオやコンセプトであり、それらが良ければ画質や音質などが悪くても、評価はされるのだ。そして、そういうものはリマスターしてもある程度は売れるし、リマスターの要望が世間が出てくる事がある。
逆に、最初から画質や音質などを売りにしても、シナリオやコンセプトが世間の期待と裏腹に残念だったなら、いくらお金を掛けたところで売れる未来はない。その部分を、クリエーターやそういう作品を作る会社はしっかりと前提として定めた上で、コンテンツ開発をする必要がある。まあ、一番良いのは低画質版のSwitchとかPCで試して、評判が良く、高画質が欲しいぞと言われるなら、それをリマスターして出すというのが一番良いのかも知れない。