済州(チェジュ)航空の胴体着陸失敗事故…… 今のところ救助は2名のみ。乗組員は全181人。

ロイターの記事である。ただ、情報は今も更新中で、機体が炎上したので、今後死者数は増えていくと予想される。


まず、亡くなられた方のご冥福をお祈りする。

事故を起こした場所は、務安国際空港(ムアンこくさいくうこう)でバンコク発ームアン行きの航空便である。

着陸失敗した機体の種別は
Boeing 737-8AS(WL)で、737 Next Generation(737NG)シリーズである。
登録型式はHL8088(機体の登録遷移はライアンエア・2009/09 〜2017/02以降済州航空)
最終フライト情報は以下にようになる。

事故原因はこれから調査される見込みであるが、一応はバードストライクが原因ではないかと報道はされている。

機体は、滑走路に胴体着陸し、その後滑走路を外れてオーバーランし、壁(空港滑走路を過ぎた先にある終端壁)に衝突した。
Google Mapとストリートビューで実際の事故映像と比べた結果なので間違っているかもしれないが、着陸は滑走路北から南に向けての着陸で、滑走路終端を超えて終端先にある壁に激突し大破炎上したと思われる。以下はGoogle MAPの場所画像である。ちなみに、正しい情報かどうかは分からないので、転載はしないで欲しい。これはあくまで、個人的な事故検討の情報である。

GMAP.png

尚、この滑走路の長さは2800mなので、737を運用するという条件なら特に問題ない長さである。例え胴体着陸でも燃料をある程度消費し速度を可能な限り落として(737NGは空中での投棄機能がないはず)着陸をすれば、停止は出来たと思うが……。どうも速度が殆ど落ちていないように見えるので、逆噴射や主翼による抗力調整などの措置が行われていないか、行えないような状態だったと推察される。

先に上げた映像からは、着陸前に右エンジンからの出火の映像も含まれているので、それが何らかの問題を起こしたのは間違いないが、これでランディングギアが下げられない状態になったと……いうのはまた難しい。

基本的にランディングギアは、ロックを解除すれば、自重(重力の力)で降りる機能を持っていたり、それらに問題があっても手作業で下ろす機能も備わっているはずで、それらが出来ないとなると油圧系のトラブルやギアボックスに何かが引っかかっていることを意味する。ただ、少なくとも航空機には足が3つ(主翼の左右と動体)はあり、中型~大型の旅客機は特にしっかりと複数のセーフティがある。全部が機能しないことそのものがとても希なことであることは留意する必要がある。

今回の場合は、少なくとも1度は着陸復行しているようで、先に書いたように逆噴射などの作業が一切出来ていないことが見て取れる。ここから考えられるのは、緊急の措置が必要な何らかの制御系統異常があったと考えられる。その結果、ランディングギアの出し入れに焦点を当てる時間をパイロットが捻出しなかったか出来なかったと考えられ、系統不具合がどこにあるのかも、パイロットは確認し切れていなかった可能性がある。まあ、ランディングギアを出せたとしても、着陸後にエンジンを停止したり、逆噴射やフラップを調整し抗力を上げて、減速が出来ないならどうにもならないから……この航空機の乗員対応では状況は詰んでいたと考えざる終えないだろう。

空でもう少し落ち着いて考える時間があったのか、無かったのかが焦点にはなるかもしれない。あったなら、少なくとも燃料を減らす時間を稼いでからとか、系統の不具合の特定をした上で、もっと滑走路が長く、規模の大きな仁川などの空港で対応する方法もあっただろうから……。それが出来る機体状態だったのかが重要になるかもしれない。

何があったのかは、今後フライトレコーダーの解析によって分かるだろう。
後は、その結果に従って、上記したようにパイロットは取るべき最善の手を取っていたかどうかなどが、調べられていく。手があったなら、緊急の手順や、緊急時の教育プログラムに加わることになる。

最後に、この手の調査は、1月の羽田の事故の中間調査に約1年掛かっているように、この事故でも1年~2年(長ければ何年もかかるが、地上事故なら殆ど事故の原因物が得られているので、1年~2年で報告される)ぐらいは調査結果が出るまでに掛かると思われる。それまでは、あまり報道を鵜呑みにしない方がよいだろう。報道機関は、そういう憶測で稼ぐのが仕事だから、どうにもならないけどね。

個人で検討(考察)するなら、報道の内容などを見るより、映像などから状況を把握した方が良いだろう。