発売当時世界最大の重さとサイズのブラウン管テレビの話……
日本のGigazineとtomshardware.comの記事である。
KX-45ED1はテレビとなっているが事実上はディスプレイモニターである。これはチューナー別売りだからだ。しかもスピーカーもない。スピーカーはチューナーセットのKX-45ED1Tを買うとテレビ左右に2Wayバスレフスピーカーが付いてくるといういわゆるコンポーネント方式で販売されたプロジェクションモニターの置き換えを狙った製品である。
尚、クリアビジョンというのは、日本でNTSC放送波に加えられていたアナログでの弱点となる混信や雑波ノイズ、信号減衰などを抑える為の同期、エラー訂正などの画質補強信号に対応した放送のことだ。通称EDTV(Enhanced Definition Tele-visionの略)と呼ばれる。Y/C分離(Yは輝度-ルーマ/Y'のこと、Cは色差<彩度>-クロマ/Chromaのこと)に対応しているのが特徴だ。
この延長線上に今のテレビ放送や動画の色空間処理(映像の圧縮-エンコードや伸張-デコードにも関係する部分)も存在している。今はアナログでもYCC-Y(輝度)/Cb(青色差)/Cr(赤色差)で処理するのが一般的である。
一応、何故テレビ放送がデジタル時代の今も昔もYCbCr(通称YCC)に基づく色空間を使って、輝度と色で分離されているのかも書いておくと、元々テレビの始まりが白黒(モノクロ)放送だったためだ。白黒テレビの時代には輝度信号の強弱だけで白黒を再現していた。これをテレビの仕様変更をせずにカラーにするために、カラー信号を加えたのがアナログのカラーテレビだ。白黒のテレビ受像機でもカラー放送が見られるように互換性を持たせるには、この方式が良かったのだ。しかし、これをやると色と輝度の信号が混じったりズレることで、滲んだり、色が変に混じったりといったクロスカラーという現象が起きる事がある。そこで、対応した機器では信号を別々に扱う仕組みと、それぞれ別れた信号のタイムキーピングをする機能を加えたのがY/Cの信号回路を別にするというものだ。特に電波などから受け取った後すぐに分離することで、アナログ信号ではよく起きる混信(クロストーク)を減らすことが出来る。それが、Y/Cの発想である。
この上位にあるのがコンポーネント端子である。Y/Cb/Crの3本のケーブルからなる端子である。主にゲーム機器やDVビデオ/W-VHS/Hi-Vision LD/DVD VideoとVideo CD共用デバイスと衛星放送(BS)及び通信衛星放送(CS-JCSAT/後のスカパー!)などで使われた。そして、それを1本のケーブルにしアナログRGB端子のように同期補強したのがD端子である。これらは全て映像のみで映像情報はアナログである。
これは、90年代にはワイドクリアビジョン(EDTV-II)へとパワーアップし、ワイド放送とプログレッシブ放送に対応することにもなった。まあ、アナログ時代はテレビでもラジオなどの音でも、混信と減衰という問題があり、ノイズが敵だった時代である。だから、音を良く、画質を良くという話には信号ケーブルや、信号増幅用のコンデンサーの質、信号分離用の分波器の質、それからフィルターの性能などが求められた訳だ。それをデジタルでも引っ張り込んでしまって拗れている人は、あれ(あのツボ)は良い物だ!!!プラシーボなドツボとというツボにお金を払うようになる。
このディスプレイの素晴らしい点は、大きいことである。
ブラウン管(CRT/Cathode-ray Tube/カソードレイチューブ)のディスプレイは画面の対角サイズが大きくなると、それに比例……というより反比例かな?ーして奥行き方向と重量方向が大きく重くなる。これは、画面の表示に電子ビームを使いそれを偏光ヨーク(deflection yoke)と呼ばれる磁気偏光コイルを使ってビームのスポットを偏光(光線をずらすこと、偏らせること)し、画面のRGB蛍光ドットに当てて発色させる。これを、画面全体でライン上に行うことでCRTモニターは映像を表示していたわけだ。
ディスプレイのサイズが大きくなると、ディスプレイの隅々まで電子ビームを偏光して届けるには、偏光ヨークも大型になり、電子ビームの出力も必要になる。そのため、画面が大きくなれば、ディスプレイも大きく重くなると言う問題があり、コストも掛かるという問題があった。また、CRTはその受像の特性上、電子銃とヨークとの距離差による焦点特性から画面を平らに出来ないという問題があり、大きくなるとその差が大きくなり、上下左右の四辺が歪むという問題もあった。
だから、大型なモニターは液晶が出てくるまでは、背面投射型のプロジェクション方式が採用されていた。これは、分かり易く言えば、プロジェクターや映画館の映写機と同じ方法だ。違うのは前からではなく背面から、投射するという点だ。ただ、この方式だと輝度が下がる上に、元々スクリーンに投射する方式で水平走査は垂直走査のあるドット処理ではないので、至近距離で見ると不鮮明になるという欠点があるので、直接CRTにこのサイズに受像できるのはスゴイ事だったわけだ。

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但し、莫大重たいし、大きいのである。しかも、CRTはガラス真空管(陰極線管)だから、割れ物で且つ強い衝撃などでズレたりすると……偏光ヨークとの水平垂直バランスが崩れて、画像が上下に流れたり、画面の一部だけに縮んで表示されたりするというかなり繊細な一面もあるので(昔のテレビは叩けば直る<ことがある>と言われていた理由がこれである)、この大きさだと輸送とかは大変なのだ。
それで、動いているのもある意味では奇跡とも言える。
SONYのテレビで重要なのは、Trinitron(トリニトロン)というCRTブランドである。これと同じ技術には三菱のダイヤモンドトロンがある。これは、アパーチャーグリルと呼ばれる蛍光体透過スリットを利用したCRTモニターのことである。要はドットの形状が細長い簾状に上下に下がっているのがアパーチャーグリル方式である。これは、SONYが開発した特許技術であり、他にこの技術を使って開発していたのは三菱とView Sonicぐらいである。これだと開口率が高く、ドット径を細かく出来るという利点があった。欠点としては制振用のダンパーワイヤー(ダンパー線)が映像の状態によっては見えることがあるぐらいだ。
ちなみに、ブラウン管テレビにも劣化はある。特に電子銃の焦点性能や出力の低下と、偏光ヨークのずれ、それからビームを浴びてRGB発光する蛍光ドットの劣化は徐々に進んでいくものだ。だから、移動後の調整も大事になるわけだ。ただ、よく日本から米国にお金を掛けてまで移動させたなとは思うが……その分、こういう記事やSNSなどの発信で元をとっているのだろうけど。
尚、アナログ時代のビデオとか、ゲームとかはCRTモニターでやった方が粗が少なく大画面でも綺麗に映るのも、アナログの特徴である。これらには、細やかにドット単位で制御して表示するという仕組みはなく、単純に解像感が低い物は、画面に合わせて拡大しているだけからだ。線画の部分はボケるものの、ジャギーが出ないのである。
このモニターの場合は、3D Y/C分離(時間軸フレームから受像するフレームの色被り等に繋がる成分をフィルター分離する)と、輪郭補正(輪郭のボケを軽減する)、デジタルノイズリデューサー(信号からノイズ周波数成分を除去・低減する)が入っているので、何もないよりはボケなどもへるかもしれない。ただ、3Dノイズリダクション(時間軸フレームと比べてノイズに該当するものを除去する)などはまだないようだ。
まあ、大画面でのゲーム目的なら十分だろう。フィルターなどの付加機能が少ない方が応答性能も高いし……。