XPERIA 1 Mark Ⅵの海外先行レビュー登場…… 性能や特筆性より実用性に舵を切ったスマホだが……価格が問題。
日本では、先行レビューがあるサイトで公開されたようだが、厳しく書いていたこともあり……記事を公開する時期が間違っていたのではとか、いろいろ憶測されたようだ。今は、削除されているようだが……(アーカイブされたものを読んだが大した内容じゃなかった)
ちなみに、日本ではスマホの長年先行レビューを当日に行うケースが少なかったので、こういうことになっているが、海外では当日公開されることが多くある。その一つがGSMArenaのXperia 1M6の実機レビュー(製品候補版なので製品版とはOTAビルドが異なる)である。
デザイン(筐体)、スペック、実際の運用性能、カメラの性能、音の品質(周波数特性)、バッテリーの持続性、画面の明るさや品質、それから競合提案などがいつもように評価されている。
まず良い点から示すと、バッテリの持続性、画面の品質評価は少し上がっているようだ。それでも、画面は少し暗めのようだが……。これはディスプレイの解像度が下がったことで開口率が上昇したこと。解像度が下がるとフルスクリーングラフィックスの演算に必要なパフォーマンスを抑えられることが理由だと思われる。
それから、スピーカーの音質はさらに向上しており、出力品質も上がっている。後は、SDメモリーカードスロットやイヤホン端子があるのはメリットだ。
可もあり不可もありという点を言えば、カメラ機能になる。カメラ機能はPhotography ProやVideography Proを終了させ、シンプルなカメラアプリにProモード(Videoは今後対応するかもという話らしい)を追加する形となった。それでも、これまでのGraphy寄りではなく、誰でも使いやすいスタイルに変更している。これを良しとするか、物足りないとするかが、まず一点ある。次にズーム域が広がってマクロも4cm対応するなど撮影の幅は広がったことが素晴らしいが、センサーは変わっていないので撮影の品質向上は僅かであり、低照度でのズーム撮影は5倍を超えると大幅に低下するとしている(これは今後改善を目指しているらしい)。この辺りをどう考えるがカメラの部分だ。
欠点といえる部分は、まずストレージが少なくともテストに使った256GBの製品についてはUFS3.1世代の製品と同等とみられるようだ。UFS4でもLane1なら3.1と同じになる。512GBになると容量がLane 2で速度が倍になるのかもしれない。
ベンチマークでは耐久テスト時の性能の持続性がなく1度サーマルスロットリングが働いて性能が低下すると、負荷が終了しない限り回復しない。平均性能は最大性能の65.4%(0.65倍)になり、最悪だと0.6倍まで落ちるようだ。元々性能という点では同じフラッグシップモデルのGalaxy S24 UltraやVivo X100、Find X7 Ultraより低めなのでこれは厳しいとなっている。これはGPUも同じ傾向があるとしており、まあXperia 1はずっと引き摺っている。ただ、筐体が熱いということもないらしいので、ケースに入れて普段使いする人や夏場の熱暴走を避けたいという点では、この選択は間違っていないだろう。フレームレート重視のゲーミングなら向かないかもしれない。
あとは先に書いたようにモニターの解像度は4Kから1080p(FHD+)に大きく下がっている。これを批難するかしないかは4Kが必要かどうかになるだろうが、これのお陰で最大ディスプレイ輝度は、実に30%も向上したようだ。バッテリー持続時間もGMSArenaのテスト評価で歴代2位という凄い評価が出ている。これはLTPO OLEDディスプレイのお陰だろうとし、絶賛している。
何せ通話約37時間、ブラウジング14時間39分、動画再生23時間20分、ゲーム10時間47分という数字で、ゲーミングパフォーマンスなどが良かったGalaxy S24 Ultraなどを圧倒しているのだから……これが、ベンチマークの性能が低めにされている理由と見ることも出来る。
Mark VIの狙いは当該記事でも少し触れているが、尖りすぎた部分をもう一度補正する最初の世代と言うことだろう。
だから、コストばかりが嵩んで要らないものを今そぎ落とす段階にある訳だ。そうすることで、逃げた大衆をもう一度引っ張り込みたいのだろう。そのためにカメラアプリ等もシンプルにリセットしつつ個性をプラスする方向にしているわけだ。それと同時に、無理をせずに利便性、持続性、安定性を高める努力をしていると思われる。だから、性能はフラッグシップとしてはそこそこだが、長く使った時のバッテリーの性能低下などは抑えられる可能性がある。まあ、OSのアップデート・セキュリティ保守が未だ4年(以前は3年だったので1年延びた)と短いのでアレだけどね。いっそ中途半端なXperia 10とかを止めて、これで8~9年保守にして、少しずつ価格を下げながら2年~5年ぐらい併売されるなら2年目3年目辺りからヒットしそうなんだけど……
閑話休題、SONYスマホの一番の問題はお値段である。
欧州で見ると販売価格はiPhone 15 Pro Maxより高い訳で、Galaxyの方が買いやすい。後は、そういう点を加味しても絶対にSONYが欲しいと言うほどの熱意があるかどうかだろう。SDメモリーカードスロットが必要とか、音が綺麗なスマホが欲しいとかなら、きっと良い相棒になるだろうという、最後まで書いて値段の部分でニッチになり、どうしてもSDカードスロットが、音質が……という人じゃないなら推奨されないのが昨今のXPERIA 1である。
製品として向いている方向は間違っていないように見えるが、沢山売りたい(シェアを少しでも引き上げるつもりな)のか、ニッチを狙っているのかこの価格を見ると分からない。ニッチなら、4Kでも何でも好きにすれば良かった。沢山売ってシェアを狙うなら、価格面で少し無理をしてでも下げて攻めるかしない。OS保守も4年だしfreak以外には結局売れず、そのfreakすら4Kを失ってもうダメとなるパターンも有り得る。
このモデルから見えるSONYの開発コンセプトは私が思うに2つある。ディスプレイなどでコストダウンして製品価格も下がり、売れるはずだったけど……予想以上にコストが上がって安く出来ず結果的に当初予定していた売れそうなターゲット層から外れているとかそんな感じにも見えるし、もう価格よりプレミアムだけに振って、文句を言いながらも絶対に買うSONY推しのファンだけに少量を高く売って利益を確実に出す路線に吹っ切れたか……どっちかに見える。
前者なら、先が厳しい。後者なら、そういう売り方なので価格対性能とか考える人は最初から対象にしていない製品になるだろう。
既にシェアが殆どないだけに、どっちも有り得ることだ。