Qualcommにベンチマーク不正疑惑?……Snapdragon X EliteとPlusの性能水増し?別の意味での不満かな?

tomshardware.comの記事である。元はSemiAccurateが記事にした物についての転用記事である。
上がtomshardware.com下がSemiAccurateの記事である。基本的にはしたを読んでから上を読む方がよいだろう。


実際に不正をしていると言えるのかは、今後実際の製品のベンチマークが出てくれば分かることだろう。ただ、Semiの記事を読む限りでは、どうもSemiや一部のOEM側で行いたかったテスト要件をQualcommが酌んでくれないとか、そういうのがあって、その不満も合わせて漏れているのかもしれない。

即ち、不正と言うよりは、例えばゲーミングなら解像度や動作条件などの細かな情報提示がないので、参考にならないし、記事が書けないじゃないかという部分がいろいろ不満になっているのだろうと思われる。キャッシュは42MBがどのレベルを指しているのとか?そういう内容だ。42MBは全てのキャッシュを合わせた容量だからである。

この不満分からなくはない。
実際に最近のQualcommのSnapdragonはGPUの型式も昔のように説明しないし、CPUの仕様詳細も出さなくなった。昔は出していたHexagonやISPがどう変更されているのかも隠され始めている。一方で、QualcommのSoCはHexagon Direct LinkのようにGPUとDSP/NPUそれからCPUの間での協調性をかなり重視しており、ファームライブラリーでCPUやGPU、NPUの役割分散を徹底していることは分かっている。

これはどういうことかというと、いわゆるVLIWと同じだ。その昔のTransmeta Crusoe(トランスメタ社のクルーソー)やEfficeon(イフィシオン)に近い機能を元々Hexagon DSPが持っていたのだが、それをSnapdragon 820より後の世代から拡張してCPUやGPUなどの他との連動にも応用しているように見える。だから、いちいち個別のスペックを出さなくなってきたとも考えることが出来る。というか、出す理由もないし、競争相手に変わった点を見せるのはマイナスと踏んだのもあるのだろう。実際に、Appleも最近はこまかな仕様を出さない中で、Qualcommが出す理由もなくなっている。


ちょっと話は逸れるが逆に言えば、その連動をより上手く活用するには、OS側をはじめとしたソフトウェア側もSnapdragon SoCというものに適したプラットフォームでなければいけない。

きっとそこがWindowsとSnapdragonのギャップなのだろうとも考えられる。Windowsは元々グラフィックスとそのためのバッファ(VRAM)は別系統だったため、グラフィックスアダプタドライバーは別物である。OSそのものがそういう前提で作られている。それは、DSP/NPUも同じである。しかし、これがAndroidや組込向けのLinuxやUnix系OSになるとそれらの連動をある程度、ハードウェアメーカー側でお金を出して開発を主導すれば調整出来る。オープンソースの製品だしね。

しかし、Windowsは汎用OSとはいってもマ社が開発しているので、その部分に細かくコミット(確約を付けて対応)するのは難しい。なぜなら、それを下手にすると確かにSnapdragonは高速で効率的になるかもしれないが、他のプラットフォームには逆効果になったり、他のプラットフォームでも同じような要望に応えて合わせないといけなくなれば、効率的な汎用OSの開発という環境が崩れてしまうからだ。セキュリティ問題などへの対応にもコストが嵩み難しくなる。

それをある種Qualcomm側としては、性能評価がもしも実際とベンチマークで違った場合の風除けに使っているということなのかもしれない。

閑話休題。
こういう状況の中で、昔は詳しくスペックを出していたQualcommへの不満が記事書きから飛び出して、それが証拠はないと言いながらベンチマーク不正の疑惑にも向かったのだろうと考えられるのが元の記事だろう。実際にもしも数字の水増しなどがあるなら、きっとそれは実際の製品が出た後に、ベンチマークすればすぐに分かる事なので、こんな記事を書かなくても良かったのだが………発表後の製品先行レビューもなしに書かれている辺りが、何となくネタが得られないもどかしさと相まっているように感じる。

尚、実際問題としてベンチマークが水増しされているかどうかは、今後製品のレビューで分かるだろう。このメーカーが製品発表時に出すベンチマークにおける数字というのは、たいていの場合は、水増しというか一番良い条件で出されているので、見方によっては水増しであり、通常の運用環境ではなかなか出ない数字であることも多い。そう考えると、まあ水増しはある程度あるだろう。ただ、semi当該の記事ではQualcommの示す条件では同じ数字の結果は出ないと断言している。但し、そのOEMでテストしたはずのテスト動作要件をSemiは示してないので、確認しようもない辺りが、消費者はどうしろというのだという内容である。

これ、実ベンチの性能が結果的に良いのに、記事が広まって売れない(購入意欲が上がらない実際の理由が性能じゃ無くても)なんてことになれば、訴訟とかありそうだ。

まあ、新しい物好きでも、人柱や熱による不具合、揉め事がいやなら、今はCPUならRyzenが一番良いってことだ。