紅麹に関連する小林製薬会見…… マスコミに対する質疑応答だね。要点を述べると害を証明するまでに時間が掛かりそうということ。

小林製薬の会見が行われた。

空き時間で要点を少しずつ見て書いてみたが、質疑応答で意味のない質問が無駄に長いので拾い上げるのに苦労した。
(執筆時点では未だに質疑が続いている)

小林製薬の紅麹サプリメントの被害対応状況は次の通りである。
3月28日22時時点で

死亡者:5名(腎疾患等で、全てが腎関連が死因などの病名ではない模様←これは当然のこと。世代は70代~90代※の男女)
入院された人:114名(概ね40~70代※)
入院通院相談の連絡:約680名?
電話相談:累計1万5000件、これとは別にメールで相談がある。

※但しこの年齢層に限定されていると限らないので、この情報を全てと思わないで欲しい。だから公開を渋っていたようだ。理由は後述するが、まだ原因物質がどう作用しているかの特定が出来ていないからである。

電話受け付け態勢:3月22日-55回線/受付対応率は全電話の10%⇒28日-110回線/30%⇒4月4日-280回線/50~80%
厚生労働省に28日説明し、今後は厚労省と共に対応する。相互に報告しながら対応していくと言うことのよう。物質特定は、国立医薬品食品衛生研究所で行われる見通し。

現時点で、分かっている事は、紅麹原料の製造過程で生成される「プベルル酸」を可能性として高い物質と推定し厚労省に届け出ている。まだこれがどういう効果をもたらしているのかが分からないし、これが原因なのかは不明である。実際に物質としてはデータがあるようだが、人体にどういう影響を与えるのかの情報は不明。即ち、これは調査にだいぶ時間が掛かると思われ、早期の調査には厚労省など行政が主導しないと調査にはかなり無理があると思われる。(後述する)

これが検出されたのは紅麹原料で昨年生産された33ロット中BtoC(Business to Consumer) 4ロット/ BtoB(Business to Business)6ロットで検出された。検出された期間は4~10月の製造範囲である。他に食品用のBtoBがあり、54ロットが別の菌株で生産。こちらからはどのロットからも検出していない。即ち安全である。

「プベルル酸」は本来なら紅麹原料の生産で二次生成される可能性がないはずの物質である。

生産は大阪工場である。発生源は大阪工場と推定される。
大阪工場を閉鎖した理由は、40年以上使われており、施設の老朽化、さらに敷地面積が狭いことから、和歌山に新工場を作り移管した。尚、大阪の施設自体は、現在も建屋と(全部ではないだろうが)環境は解体せず残っているが、衛生管理の状態確認は既に確認不能である。

製造過程での問題は今の時点で把握していない。製造工程や生産工程での変更手順の問題は現時点ではなかった(現在調査中)。外部の機関で調査してシトリニンは不検出(一切検出していない)、いくつかのカビ毒検査も不検出。検出法はHPLC(High-Performance Liquid Chromatography)で行われた。

※本来製品の中に含まれているべきではないという点では、未知の物質だが、構造的には既知の化合物であることは確認済みである。但し、それが正確に推定される物質であるかどうかの確認

外部供給している紅麹原料については、現時点で被害報告はないが、供給している企業団体に確認中。把握できたなら、厚労省に報告する予定である。

この麹事業は、グンゼから譲渡を受けるまで、全く技術を持っていなかったが、技術者もそのまま継承しているので、問題は無い。
事業譲渡なら当たり前だが、これを質問する辺りが面白い。

後は、保証だとか、インサイダー取引がなかったかとか、発表が遅くなったことに対する追及とかそういう質問の堂々巡りだ。
何かずっと同じような質問の繰り返しであり、その繰り返しの中で、担当者がポロっとこぼすのを待っている感じだった。だから要点になりそうな部分だけを抽出して切り上げている。


話の内容を突き詰めると、そもそも原因かもしれない物質「プベルル酸」を厚労省などに報告して今後、そちら(厚労省)主導で調査をしてもらうようだが、これが本当に原因だとしても、この物質が人体にどう影響を与えてるのか?血中でどう作用するのか?といった点が未知なので、特定したとは断言できないというのが会社としての回答になる訳だ。


だから、本当は名称も出したくなかったようだ。これがどう作用するか分からないからだ。別の何かが影響しているかもしれない。体内にある何らかの別の因子に害の機序があり、それを強く補完するだけという可能性だってある。実際に影響が出ている人がどれほど居るのか分からないが、飲んでいる総数からすれば少ないと思われるのも大きい。全員に必ず出てくるなら数ヶ月後にということはなくもっと早く大規模に症状が出ていただろう。

即ち、この物質が原因だとしても遅滞性で且つ、出る人が限定されている可能性があるわけだ。

そういう調査は、短時間で結果を求める場合、既に一企業で出来ることではない。一企業だとリソースが偏り人材も足りないからだ。だから、国-行政側-がやってくれることになったと考えられる。まあ、国の調査もすぐには難しいと思われる。よほど迅速に進めるなら、国公立大学や国立研究機関のあらゆる組織などのラボで動物実験などを優先して重点的にやって貰うかして、どういう影響があるのかを確認することになるだろうが……

何度も書くが、実際に影響が出る人の数は、このサプリを食べた人の数に対して相当少ないと思われ、それがネックになるからだ。
これ例えば1%の人に影響が出るとして、99%の人には顕著な変化や影響が現れないという場合、機序には他にも条件があると考えられる。そうなると、他に別のサプリメントや医薬品を服用していたとか、何か特定の食べ物、飲み物、飲酒、タバコ等が影響しているとか……いろいろあるわけで……特定にいたる迄の時間が長く掛かる訳だ。


まあ、小林製薬が叩かれてしまうのは、仕方がないことだ。5人がこれに関連したかもしれない死者となっているし、これがある程度社内で決定的になったと分かったのは3月16日だったようだが、そこから回収発表まで約1週間時間があいていたようだから……。

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しかし、質問時間を無制限にすると元々質が悪い日本の記者会見の質疑応答が、ただただ質が悪いままに、酷く長くなって同じような話をループしまくるから……やっぱ1人質問は1つ2つなりで決めた方が良いということは確かだ。
これも含めて考えると、この小林製薬はある種正直に対応していると思うが、その正直さ故に、決断が遅れたり、情報のどれを伝えるのが適正かという選択にブレがあり、今(この会見)に至ってそれが顕れているのかも知れない。

尚、ビッグモーターでも潰れなかったぐらいだから、会社は潰れやしないと思うが、悪い意味で未知の効能の化合物が入っていたことを、調査するということは、最終結果が出るまでに尾を引くわけで、尾が長くなれば影響も長くなる。即ち、暫くは業績的に厳しくなるだろう。まあ、糸ようじとかの芳香剤とか、衛生用品なども扱っており、そういう商品の売上げには影響は少ないだろうから、潰れることはないだろう。最悪、他の会社がビッグモーターのように救済しそうだ。