「チューナーレステレビあります?」…安定財源の要だった受信料制度がNHKの首を絞めだす皮肉 …… テレビはオワコンへ。
読売新聞オンラインの記事である。
そもそも、何故チューナー不要に向かうのか……それはNHKだけの話じゃ無いと思うが……まあ、讀賣グループだからNHKへの恨み節なんだろう。
甥っ子は家にテレビ自体(チューナレスも含めて)を置いていないと話していた。そもそも、民放を含めてテレビを見ないなら必要ない。1人で見るなら大画面じゃ無くて、スマホやタブレット、ノートPC画面で良いのだ。何せ、民放も含めてテレビ番組の大半は、バラエティと速報性が弱く同じ内容を何日も伝える情報番組(ニュースを含む)と旅系などのふれ合い番組であり、ドラマ、映画、アニメ、音楽、ドキュメンタリーなどはもう殆ど昼間~プライム、ゴールデンの時間帯には放送されていない。
だから、見る人は減って行く。見る人が減って行くから、スポンサーが減る。スポンサーが減るから制作費が減って、質が下がるを地で進んでいく。だから、地方局でもキー局やサブキー局でも人材流出がもう止まらない。正直、ネットのサブスクで見ている限りでは制作委員会で作っている深夜枠のアニメやドラマの放送を、ゴールデンに持ってきた方が、明らかに視聴率が取れるんじゃないかと思うこともある。
ニュースはもうどの局も、どこの国のニュース報道よりも、テレビニュースをやっていない。殆どは、エンターテイメントと広告になる情報であり、時事としての必要な報道は後回し以下である。だから、結果的に1日中同じようなニュースをするような時代になった。だから、1日1回もテレビニュースは見なくてもよい。時事通信社のサイトと共同通信47NEWS辺りをこまめに見た方が、速報性があるニュースは掴めるだろう。ちなみに、大手紙は、テレビ局と大差ないのでよほど大きな速報が出た時だけ意味がある。
但し、今の大手紙は詳細を小出しにして、無駄に解説するので意味と価値は別である。
即ち、問題があるのはNHKだけではないということだ。
尚、NHKの問題も当然深刻だ。
そもそも、NHKの受信料を支払いたくないと思う人が増えているのは、NHKの放送の質が下がっているのに、受信料は高いからだ。ニュースは地方のニュースでも人材流出が激しいのか、中身は下手すると民放以下である。土日とか、イベント情報がニュースになる。平日でも、主要な全国ニュースは国際ニュース中心。時事ニュースは全体として少ない。その割に放送時間は長い。逆に、5分のヘッドラインニュースとかの方が内容が濃い場合もあるから、主要ニュースを見ずにそういう時間のニュースを探して見た方が全国ニュースは満足度が高い(これも当たり外れがある)。
問題はここからだ。
当初は受信料不要と自ら豪語していたワンセグなどにも、受信料を求めたことで、一気に不満が増加したのが最初のNHKの失態だ。カーナビやスマホなどに搭載されていたワンセグが、今はお荷物になり始めた訳だ。
さらに、締め上げが強くなる一方で、BSと同じように地上波でもB-CASを使う受信料確認信号(BSでは電話等によるB-CAS/ACASチェックが入っており、設置確認メッセージを消す作業が必要である)による対応などを行わない姿勢も嫌われる要因になっている。
そして、極めつけが、各放送局の放送センターなどはどんどん新しくしていくが、その費用が高かったというのもある。そこに、ネットでの受信料政策まで出てきたわけで……笑えないという奴だ。
ちなみに、NHKには1つだけ強みもある。それは、子ども向けの放送が充実していることだ。しかし、子どもの数が減っている昨今では、それが機能しない。元々子どもが多いか子ども向けの需要が高ければ、民放も子ども向け放送を充実させているだろうが、需要が低いことから、民放が離れたことで、NHKだけが残っているという状況にあるのが現状だ。
以下は昨日(2024年3月24日)の東京の番組ガイドである。(一週間ぐらいすると閲覧出来なくなるので注意)
日曜日でも、子ども向けの番組は午前中と夕方の一部時間帯しか無いのは、既に子どもがテレビ放送をさほど見ていないことを意味している。
これには絶対的な子どもの数の減少と言う問題も避けて通れない。子ども向けの放送を見る子ども自体が既に日本の人口カバー率を考えた時全局で同時に放送して、広告放送が成り立つほどの比率にない訳だ。そこに子ども向けの放送自体の大幅な減少が重なることで、子どもがテレビに興味を持たなくなるという悪循環が重なっていく。
だから、結果的に大人向け放送を増やすことになり、結果的に子どもがテレビを見なくなる流れが生まれる。大人が見るのがテレビになるのだ。ただ、その大人も、惰性で長く愛着を持ってみている放送があれば別だが、そうでなければだんだんと見なくなる傾向が生まれる。何故なら、スポンサーも減り、放送分野に入ってくる優秀な若手も減るか、すぐに離れていく中で、使える金が減りジャンルの幅が狭くなるから、前の番組の次に生まれてくる番組の質はこの数年下がる一方だからである。
結果、前の方が良かったというまるで政界のような話になるわけだ。その前の方が果たしてそのまま続いて安泰だったかは別である。あくまで、今よりマシだったかもしれないレベルである。だから、オワコン(終わったコンテンツ)と称されるようになる。今のテレビ業界は、それに加えて不正や不手際などにおける自浄効果が弱いというのもあるだろう。
で……チューナーレステレビを買うのかというとそうじゃない。
そもそも、テレビという名称になるのは「大きな画面」のモニターを欲しがるからだろう。PCのディスプレイだとせいぜい20インチ台~34インチぐらいが限界だ。だから、大型になるとテレビのような製品が良いわけだ。問題は、何故チューナーレスを望むのかだろう。それはNHKが映らないことを求めているのか?それとも、別なのか?
そもそも、チューナーが要らないのは、電波によるリアルタイムのテレビ放送に興味がないからである。そこに、NHKの受信料の問題もあるが、それでも民放でリアルタイムに見たい番組あるなら、チューナーありのテレビを誰もが買うだろう。そこまで既にテレビに価値を持っていないと言うことが言える訳だ。
まあ、一部のテレビ番組はABEMA、TVer、Netflix、Amazon Prime Videoなどでも見られる。しかも、人気のコンテンツならまず殆どがネットのIP放送で再配信される。だから、そちらで見た方が確実というのが1つあるだろう。もう一つは、そもそもテレビでは生放送のコンテンツが脆弱だという点もある。
例えば、朝のニュース情報番組でエンターテイメントのニュースを中心にやられても、実は会社員とかからすれば、必要性は乏しい。むしろ、どんな番組を流しているにしても、その時間に家の近くで事故渋滞が起きているとか、電車やバスが止まっているという情報が、ニュース速報ででも、流れてくれるぐらいの方が、点けている価値があるだろう。
これが、生放送の速報性であり価値である。しかし、今のテレビ局はそれをやらない(出来ない)のだ。何故なら、それだけの取材力を今や持っていないからである。
生放送で音楽番組とか復活させようとしている局もあるが、実はああいうのも、下手すると長く続かないだろう。理由は、単純だ。昔は生放送の音楽番組は30分枠などもあった。そうやって短くすることで、質を上げて長く放送回数が重ねられるように努力していた。しかし、今は他に埋められるコンテンツがないので、1時間とか2時間とか3時間になる。
結果的にどうなるかというと、同じようなコンテンツが使い回されるようになる。長すぎて、ネタ切れがコンテンツ内で起きるのだ。結果、過去に反響が大きかった物や安く仕入れられたコンテンツなどが使い回されたりする。それが質を下げ、放送回数などを減らす結果へと繋がる。
これは、生放送のワイドショー系やニュース番組の時間がただただひたすらに長くなっていくのも同じである。
間を埋められるスポンサーにも優しいコンテンツが見つからないというか、見つける気もない。だから、タダひたすらその時間にしか見られない生放送を増やす訳だ。しかし、中身は、ずっと大谷翔平かもしれない。これからはNISAだみたない広告かも知れない。生放送で、ずっとどこかの安売り店のネタをやり続ける広告が情報番組というケースもある。それを楽しく見た人でも、後からそれを思い出して、面白かった有意義だったと思うかは別問題だ。きっと時間を大事にしている人などは、それが続けばテレビのチャンネルを変えたり消すようになるだろう。
ちなみに、これがIP配信の生放送だと、30分でも1時間でもネタが切れるまでで良い。
何故なら、広告収入はPVの数と間に挟まれる広告の視聴数によって得られるからだ。そして、24時間放送し続け無ければいけない見たいな制約はない。もちろん、配信者がそれを目指した放送をしていれば別だが、そうじゃなければ放送するもしないも自由だ。
だから、短くても良いから最後まで質が維持出来るものを求めるのがIPコンテンツだ。
即ち、ネット上ではある程度評価が高い物が残る傾向があり、その評価が高い物が残るからこそ、ネットで見ることになれた人々は、テレビをつまらないと思うようになる訳だ。さらに、ネットにはニュースなどの情報も、いち早く上がってくる。交通機関もいつも使う交通機関があるなら、それに関する情報のサイトを、ブックマークでもしておけば、それだけですぐに分かる。テレビは今ではそういう対応はしてくれないから、最初から期待もしなくなり、テレビに対する期待が一定を下回った人々と、最初からテレビに利を感じない人々は、それだけあれば取りあえず困る事はないから、テレビを持たない。
結果、テレビ離れが急加速する。
後は、そういうネットコンテンツを日々見られる環境にあったり、そういう知識がある人と、無い人の差だ。要は、ネットのコンテンツを簡単に見られる環境を整備出来る人や、そういうアプリを使える人というのは、年齢や経験によって差があるということだ。若いほどそういうのに強くなる。そういう点で、高齢者はテレビの方が優位に機能するが、彼らがそれに満足しているとは限らない訳だ。満足度は低いけど、他にないからコンテンツ媒体としてのテレビ放送を見続けているだけで……。
実際問題として、私の親はそういう傾向がある。FireTVなどの操作が苦手なのだ。だから、テレビを取りあえず点けてみていることがあるのだ。で面白味もないから気が付いたら寝ているとか、よくあることだ。こういう世代が減っていくこれからの世界で、NHKだけの問題ではないことを、民放も理解しなければ、いくらIP放送に有力なコンテンツを公開して稼げる時代でも、赤字時代に落ち込む可能性は十二分にある。
何故なら、広告がなければコンテンツ制作力は下がるのに、ショボいバラエティや、長時間のニュース情報番組から抜け出そうという努力が見られないからだ。長く弛みきったコンテンツを再び細かく放送時間毎に分けて、ドラマ、映画、アニメ、ドキュメンタリー、情報、スポーツ、時事報道などちゃんとジャンル毎に整理しないと、放送局のコンテンツの質は下がり続けるだろう。
ドキュメンタリーを報道やバラエティの一部にしてしまっていることは多い。検証系のドキュメントをドラマ型のバラエティにしたり、ドキュメンタリーで何ヶ月も調査すればきっと素晴らしい1本のコンテンツになるだろうものが、一週間ぐらいかなと思われる一方的な追っかけで、無理筋な結論に至ってしまうとか……予算をなるべく下げて、無難ギリギリを狙っていくのだから……。(場合によっては海外のドキュメンタリーを編集して利用し絶句するレベルで質が下がっているケースも過去にはあった)
今や、放送局があまり強く出資していないコンテンツが伸びる可能性も否定できない。
実際に、アニメーションやドラマや映画の一部は、直接映画配給会社やネット系のコンテンツ事業者などが冠出資する傾向が増えており、その方が質が高いケースも今や当たり前になりつつある。これは、既に過去の話になろうとしているが、田中さん問題もあったことで今後加速するかもしれない。そう考えると、テレビ局はこのまま本当にオワコンになる可能性もある程度に、期待されていない。
それには、確かにNHKの問題もあるだろうが、最も問題なのは、民放も含めたテレビ業界が生であれ録画であれ次の世代がテレビを見たいと思うような放送をしないからである。それが、予算の都合でまたは、高齢化の影響で出来ないとしても、やらなければ終わるということを理解して動かねば、落ち続けるだけなのだ。