日銀が17年ぶり利上げ決定、世界最後のマイナス金利に幕-YCC廃止…… まだ実質ゼロ金利レベルだけどね。
ブルームバーグの記事である。
マイナス金利が解除されたからもうプラスというわけではないのだが、記事が量産されている。
それだけネタが少ないのだろう。
日本市場は明日は春分の日でお休みであるため、無担コールが動くのは明後日以降であり、明後日は木曜日であることを考えると、欧米に特段の動きがなければ、今週はさほど大きくは動かないだろう。そもそも、誘導金利は最小-0.01~0だったものが最大0~0.1になっただけだ。即ち、コール金利だけでみればゼロ(0.0~)に戻っただけである。
まあ、利上げと言えば利上げだが……まだほぼ利無しに変わりはない。本当に利上げが始まるのは、今の予想では年後半だろう。
そこで、ベースポイントを何ポイント上げるか。それとも維持するのかが勝負だろう。そこで、0.25でも上げて0.25~0.3までコールが上がると本格的に金利のある時代が段階的に戻ってくる。
そこまで動いた時に初めて、円安などに対しても効果が出はじめるだろう。逆に、こういう流れにならずに腰折れしたり、停滞させる流れになると、海外景気に翻弄されて落ちていくと思われる。既に内需は人口減少の勢いが高すぎて改善する見通しも立たないし、実質賃金は一応今年上がる見込みだが、これまでの下げがこの13年で最悪の状況になっているので、数%上がったところで、全く盛り返すことはない。そう考えると、今後も外需頼みであると同時に、物価高を演出し続けて大手企業が稼いでいる様で海外からの投資を呼び込むぐらいしか手はないと関係者は見ているだろう。
しかし、結局マイナス金利解除は世界でも最後発になってしまうどころか、他の国が利下げを始める局面に掛かり始めている辺り、結構不気味だ。果たして、利上げを続けられるのかは欧米市場とインド、アジア、南米などの新興国の情勢によるだろう。どこかで、継続的な成長の停滞から鈍化や衰退が見られてくると日本もそれに飲まれる可能性が高い。
今の時点では、米国の不動産と欧米の個人消費の一部以外ではそれが見られないから、問題はないから良いが、逆回転への警戒は常に必要である。特に気を付けるべきは、AI関連の成長がいつまで続くかだろう。少なくともAIビジネスは個人で使う製品としての価値はよほど目的がなければ、それほど現状では需要が存在しない。一方で組織では作業の一部の自動化においてこの需要は今も増加しているが、実は期待通りに進んでいるかはまた別だ。そもそも、AIに出来るからといって、AIにさせるのかは別だからだ。
そこには、サブスクリプションコスト増大がある。結局、自動化というAIによるサービス導入を選んでも、その多くはサブスクリプションモデルであるため、1度それに業務を任せると、サブスクリプションなしでは回らなくなり、それの値上げがコスト押し上げ効果になることがあるからだ。それを示したのが、今の物価高である。Azureなどの価格が上がったことで、それに気が付きどうにかしようとしても、難しいことを知った企業は多い。そういう点から、オンプレミス型のシステムの全面クラウド移行なども一部では、見直す動きもあり、その結果、一部関連企業が欧米では人員削減(そういう会社は簡単なコーディングをAIに置き換えているというのもあって)する動きも出ている。
このように複雑に絡む先端産業投資とAIと人の中長期的コストの在り方が、AI産業がどこまで裾野を伸ばすのかの鍵となり、どこかで突然死をもたらす日がくることも有り得るということを忘れてはいけない。それは、アジア通貨危機でも、ITバブルでも、リーマンショックでも起きてきたことである。
逆に言えば、成長拡大が著しいとされる産業はどこかで落ちることを知っておくべきで、投資をするならそれ以外にこらから成長するものを探し続けることが大切だ。今の流行はいつか終わるのだから……。
日本の場合は、その今の成長の間に金利をどこまで上げられるかが勝負だ。しかし、日本国は財政もじゃんじゃんばらまくタイプになり、政府債務も大きいため、利上げすると債務の金利も上昇する……本来なら金利が上がると税率も上がるが、日本は低金利時代に税率(保険料を含む)を上げ続けた国でもう既に厳しい状況にある。そう考えると……日銀がポンコツ政府に配慮しない金融施策をとれるかどうかが重要になる。