ボーイングの安全性に対する危機 …… 告発者が亡くなってから広がる危機
BBCの記事である。上は日本語下は英語だ。
ボーイング社(The Boeing Company)は航空機製造で知られる会社である。特に旅客機ではB747やB777、B787などで知られエアバスと並ぶ大型航空機の製造メーカーでもある。ただBoeingという会社は、それだけに留まらない。軍事用のヘリコプター(旧bell Boeing・現在はBell Textron Inc. )、戦闘機などの製造、衛星打上げ用のロケット部品やロケット装置(Boeing Defense, Space & Security)の開発なども手がけており、米国における航空宇宙産業の複合企業体でもある。
米国での製造輸出事業者としてはトップクラスの企業であることも知られている。
その会社を今揺らしているのが、旅客航空機事業における品質管理や安全管理の不正疑惑である。
737MAXの後部脱出ハッチの破損から始まった一連の事故調査の後、日本語版の記事にある787の安全管理担当者の死がさらなる疑惑を、突きつけているのだ。何故なら彼は、787の製造において一部納期を急ぐためか規格外の部品を使っていたと告発していたからだ。そして、そういう問題が737MAXではFAAで指摘されていることもあり、今後のB787や737、またはその他の機体における納期の遅延をもたらしているわけだ。
さらに、一部で購入予定だった航空会社やリース会社の契約キャンセルにも繋がっており、ライバルのエアバスに需要が集中し、さらに更新予定や追加予定だった機体の納入が遅れたり、価格が上がるという事態が起き始めているようだ。結果、欧米の航空会社で航空料金の値上げや、航空便の大幅な減少という自体がこの春から夏にも起きそうだと書かれているわけだ。
しかも、記事で直接それを指摘している訳では無いが、このBoeingの安全性に関わる調査や対応は長引く可能性があると関係者は見ているようで、今エアバスで8000以上、ボーイングさえも6000以上の受注を抱えている中で、もしも、これが長引くなら相当な期間において航空便のやりくりに苦労する状況が続くと考えられる。
即ち、中大型機市場にはこのボーイングとエアバスしかない中で、ボーイングが適切に回ってくれないと、エアバスでは捌ききれないということを意味している。
尚、これ既存機体があるならそれを使えば問題ないと思われがちだろうが、そう簡単な話でもないようだ。
問題なのは、納入している機体にも規格外の品を使った懸念があることと737MAXには実際にその問題があったことだ。即ち、実際に737であったことから、信用度が下がっており、787などでももしも見つかれば……という話になっているわけだ。それが発覚すればそれらの点検と問題対応としての緊急対応による部品交換が必要になる。その時に、代替となる機体が無くなるわけで……その部品交換が急がれると、そちらに優先して部品供給が必要になるため新しい機体の製造数も減る恐れが出る。ここで、もし無理をするとまた規格外のような問題が起きかねないからだ。
要は、過去の品質不備が今の逼迫と重なってより深刻な逼迫ドミノとして機能してしまうのだ。だからといって、エアバスに求めてもすぐには製造出来ない。何せ、今の段階で万近い受注残があるのだから……。これが、深刻な逼迫ドミノをもたらし、暫くは厳しい状況をうむかも知れないとしているわけである。
まあ、今のままの輸送景気が続いていくならそうなるだろう。