MicrosoftがHigh Level Shading Language用のAgility SDKを更新しShader Model 6.8向けの機能をサポート。

VideoCardz.comの記事である。


これは開発者向けの情報であり、ゲーマーとか一般のPCユーザー向けの情報ではない。ダウンロードリンクもあるが、グラフィックスなどの開発などをしていないなら入れる必要もないものである。


いわゆるWindowsで新機能サポートをするDirectX12 Agility SDK（Software Development Kit/開発キット）の話である。
Shader Model 6.8はWDDM3.2（Windows 11 23H2）でサポートされているものとなる。
主な機能としては、

・ワークグラフまたは作業図表(Work Graph)

カーネル経由でCPUからの指示を待たずにGPUのワーキング管理とワーキングヒープのスケジュール管理をする機能のこと。
これによってGPUの指示待ち時間を大幅に削減し、処理の効率を改善する。また、複数の並列要求をGPU内で効率的にスケジュール管理できる。これらをWindowsのAPI群で特別な知識や組込なしに制御することが出来るようになる。また、シェーダーはメモリへの直接アクセスが可能になる。
以下は当該機能の説明と実装に関するMS（Github共有）記事。

・拡張比較サンプリング（Expanded Comparison Sampling)

サンプラー操作の１つとして比較してその結果を伝える機能の拡張。これまでの比較サンプラー（Shader6.8未満）ではいくつかの固定された要件を超えると他のプラットフォームで互換性を失うため、その部分の考慮を別に行った設計（ソースコード）の見直しが必要だったのに対して、今回の拡張版では新たに非比較メソッド向けのオプションを加えて、そういう問題の軽減を図ったものである。

・拡張コマンド情報（Extended Command Information)

頂点シェーダーに関わる新たな通知（レポート/取得）機能の追加。

・波形サイズの範囲（Wave Size Range）

Shader6.6で使われる単一波形サイズ（元々サイズ自体の情報は処理出来たがドライバー及びAPI経由でその都度要求を渡す方式だったの）に対して、拡張を行いシェーダー辺りの指定できる波形サイズを範囲指定することも出来るようになった。


という機能だ。

それとは別に
・GPU Upload Heaps（GPUアップロードヒープ）

サイズ変更可能なBSR（Base Adress Register/Resizable BAR）を利用してディスクリートグラフィックス（外部グラフィックス）とCPU内蔵グラフィックスの両方で、CPUから閲覧可能なVRAMをサポートする。これまではResizable BARによるアップロードヒープ＋デフォルト256MBのPCI固定ヒープを使っていたが、これを（利用出来るなら）GPUアップロードヒープのみにすることでコピー操作を軽減する効果が期待出来る。

・Indirect Drawing-ExecuteIndirect Increment constant

間接描画に関するTier 1.1ユニーク定数の追加


・GenericPrograms
　　（WorkGraphと並列してオブジェクトの汎用プログラムへの対応）

シェーダーモデル6.8をサポートしている製品なら、状態オブジェクト内で汎用プログラムをサポート出来る。即ち生成した画像オブジェクト　（CG）状態を辿って汎用処理が出来るということだろう。将来的にはそれをさらにトレースして、WorkGraph内の一葉にしていくことも考えているようだ。これは多分だが、NVIDIA Tensor CoreやIntel Xe Matrix eXtensionsといったGPUの新しい機能に対する最初の準備ステップなのかもしれない。


これらに対応したSDKが米Microsoftから公開されたというわけだ。
尚、WorkGraphについて現時点で対応するのは、NVIDIAのAmpere（Geforce RTX 30シリーズ/NVIDIA RTX Ampere世代）以上で551.76以上のドライバー搭載したもの、AMDのRadeon RX 7000シリーズ及びRDNA3対応のiGPUになるようだ。Intelはまだ対応ドライバを出してないそうだ。

以下が全てであるAgilityのダウンロードと説明は公式のマ社のディベロッパーサイトで閲覧出来る。

将来的にこういった機能を使ったゲームなどのソフトウェアが出てくると言うわけだ。但し、それらの機能を使ったアプリケーションをその機能を有効にして活用するにはWindows 11 23H2と対応のGPUが必要である。