Core i9-14900KSの発売日がようやく確定……予定では最後のLGA1700系プレミアムモデルとして2024年3月14日に

VideoCardz.comの記事である。


既に昨日の時点で出ていたのだが、一日ズレて記事にしたのは、元々記事にする予定ではなかったからだ。
本命は以下の記事である。

この記事を見る限り、全コアを安定して高クロックで稼働させた場合の発熱が相当大きいことを示してる。
何せ405~430Wもあの小さなダイで消費するのだから。上記が最終のそれではないのだろうから、製品版では変わるかも知れないが、14900KとKSでは性能面でのアドバンテージは弱く、逆に放熱対策をしっかりしないと14900Kを下回る成果しか出ない恐れがあることを示しているようだ。

何故なのかというとこれは放熱の問題なのだ。MTP(PL-2)の許容発熱量は変わっていないにもかかわらずピーククロックだけは上がっているので、瞬発的に最大クロックは上振れする。

しかし、その少しのクロック差で生じる熱量がこれまでとは段違いに多いのだろう。すぐにサーマルスロットリングで抑制されると考えられる。すると14900Kよりもクロックが下がることもあるだろう。

では、何故たかだか200MHzぐらいのクロックアップでそういう事が起きるのかというと、これは半導体回路におけるJUNCTIONの敷居熱量の問題である。クロックを上げる為に回路に掛ける電圧を高めて、速度を強制的に上げると、回路と回路の敷居を超えて漏れる電力が増えていく。これが、熱に変わる訳だが、熱が増えていくとその熱によって回路の動作に僅かなばらつきが起きるようになり、さらに抵抗が発生する。ただ、これが熱暴走と呼ばれる現象だ。重要なのは熱が回路の能力を変質させより熱を生み出してしまう点だから、冷却能力をより高めれば高クロックでも暴走せずに動く訳だ。

これを、KSに当てはめると今の放熱技術(冷却装置)でもJUNCTIONの上限熱量に迫っているぐらいギリギリのクロック周波数だったことで、それよりも最大クロックを上げても、そのクロックが出る時間は極めて短くなり一方で、消費電力は瞬発的に膨大になり熱として漏れ出すようになり、今度はそれを冷ますために、クロックを抑制してしまうということが起きる。これは、ハイエンドスマホではAndroidなどで近年よくあることだし、昨年iPhome Proでも経験した人がいるかもしれない。一瞬の最高速のために一時の冷却期間と大量のエネルギーがいるというわけだ。


これを起こさないようにするには、とにかく冷却を今までよりワンランク上にしたり、ヒートスプレッダーやグリスの種類を良い物にしたり、夏場の部屋の温度をしっかり冷やす必要があるということになる。まあ、オーバークロッカー向けとして見るなら、14900Kの方が選ばれるだろうから、あくまでKSという最強のブランドというものが欲しい人向けだろう。

まあ、先行テスト版(FS仕様/Field Sampling)が製品版(Retail saler)と同じとは限らないが、多分最大熱量(電力量)は概ねあっているだろう。後は、14900Kと同じ冷却で果たしてKSがそれの性能をきっちり安定して上回れるかどうかだろう。というか、元々噂ではもう少し早く出てくるとも言われていたので(この手の最上位製品は近年熱量が膨大なので北半球が冷房の依存度を下げる時期で寒い時期に売り始めることが多い)、苦労したのかも知れない。