何かを変えないと日本は消滅する…… このレベルをGoogle翻訳しなくても……「何も変化がなければ日本は消滅するだろう」

Yahooのトレンドサーチに上がっていたものである。なんだろうこの日本語と思って調べたのである。

Japan will disappear if something doesn’t change

というのを少子化記事を元にMusk氏(イーロンマスク)が投稿し、それを誰かが訳したようで、何かを変えないと日本は消滅すると、謎解きのメッセージみたいな妙な表現になったようだ。いや、これが日本語としておかしいと思わない時代なのかも知れないが……。そういう点では、人口減少による日本の消滅という前に英語をまともに日本語に翻訳する人がこのままでは消滅しそうだ。

これ中学英語レベルの文法である。
最悪でも辞書片手に……単語も簡単なので大半の人は覚えている単語の記憶だけで自然に翻訳できる言葉である。

だから、普通に人が訳すなら、
「日本はもしも何か変化しないなら消滅するだろう」が直接翻訳であり、この方が日本語として分かり易いはずだ。ただ、Somethingの表現が少し変なだけで……。

私も今では機械翻訳を使う事が多いのだが、機械翻訳にはいくつか問題がある。

それは、意訳の仕方が極端になったり、逆に応用が利かず辞書をそのまま使って表現することがしばしばあることだ。しかも、それが何とか読み取れる文節になっているから、それをそのまま使う人も結構多く、結果的に全体の質が上がらないという問題が起きることである。我々大人なら、気が付けば原文を読み取り直して確認するが、これが子どもだと、そのままの言葉を正しいと思いこむこともあるので、気を付けないといけない訳だ。これちょっと変かもと思ったら自分で原文を確認して翻訳し直すことも大事である。

これは、日本語を英語など多国語に翻訳するときでも同じような問題があることを意味している。


ちなみに、
今回の場合で、最も日本語として失敗しているのは、doesn’t changeを「変えない」と訳している点である。これ表現として間違いなのだ。「変わらない」の方が自然だ。日本語でもこの表現の差は難しいが、変えない、変わらない、変われないというのは、全部微妙に意味合いが異なる。

変えないは意図的に変えない変えたくない場合を中心に使われる。
変わらないは、変えなければいけないのは分かっているだろうが、自分だけでは、または自分以外の人が手助けしてくれないと変えられないことを意味する。要は当事者の皆が理解して協力する必要があるのだ。
変われないは、自分一人でもその気があれば変われるのだが、変わりたいけどその勇気がなくて変われないとか、変わろうと努力しているけど、空回りする場合だ。

これにサムシングという「何か」が絶妙に掛かって、何かを変えないと日本は消滅という、謎解きかクイズのような言葉になったようだ。

もし、Somethingを主語に置く意訳なら、「何も」変化がなければ、日本は消滅するだろうという表現が意訳としてよいものになる。何かを変えないとではなく、Something=「何(事)」も「チェンジしない」なので変化しないならである。では、機械語では何故「何か」となるのかというと、コンピュータなどによる直接翻訳だと辞書ベースになるので、Somethingは「何か」と書かれているからだと思われる。しかし、これは何(事)を何かと辞書上では示しているだけで、「か」は前後の文節を読み取って無理なく認識出来る内容なら、別に必要なく、「何も」でも問題はない。
要は、機械学習は完璧ではない事を意味している。いや、むしろ機械学習を見てこの表現で納得している人が多いなら、今後人の方がこの表現で満足する時代になるのかも知れないと思うとちょっと怖いところである。外国語翻訳で、片言になる日本人とかやめて欲しい。


Googleでは、Willを切り捨てて表現しているので、「日本は消滅する」と断定表現になっているのも面白いところだ。Willは未来完了故に「だろう」「きっと」とするのが好ましく、今の世間の砕けた表現でもし示すなら、「消滅する」で断定してから「しらんけど」をつけるのだろうが、Will断定の表現もあるので、意訳に近づけるために、そちらへの対応依存度が上がってきたのだろう。

まあ、人の場合は意訳翻訳の仕方もそれぞれに少しずつ変わるが、機械翻訳の場合は、沢山の関連フィードバックを受けて最適化されていくため、これが正しいとこの文書だけフィードバックしても、実はその通りに通るとは限らないのも影響している。

これは、現在のAIと呼ばれるものが、人の思考と同じ立体的なニューロリンクによる接合で情報を識別しているからだ。「りんご」というものに対して、

赤い   丸い  甘い
果物 「りんご」 デザート
酸っぱい 青い   固い

といった具合にイメージ出来る言葉の繋がりが情報を繋ぐ仕組みで、作られており、人の場合でも、美味しかったりんごが「不味い」「嫌い」にもし変わるとすれば、甘いや酸っぱいを超える程のインパクトがあるか、何度も繰り返し不味いものに当たったときにやっと置き換わるぐらいの変化が求められる。乳幼児だとパッと1回や2回で好き嫌いが変わることもあるが……
年を重ねると、人が頑固になっていくのは同じ(常識の)経験が繰り返されているが故だ。AIの場合はフィードバックの数と、その周辺にある関連情報とのリンクの優先密度で決まるため、ちょっとおかしな表現になっているのだろう。それ故にバズる場合もあるのだろうが、気を付けないと、変な日本語翻訳をそのまま真に受けて大人になっていく子どもこの先増えて行くかも知れない。