ソニーグループのゲーム子会社SIE、世界で人員8%削減へ…… 主に欧米の事業かな!?
ブルームバーグの記事である。
世界では景気が良いように見えるが、実際のところで言うと、販売単価の上昇で何とか稼ぎが得られている事業者と、ドロップアウトする事業者の均衡によって成り立っている高いインフレが、ある種関連事業における大手を中心に成長させることで、株高をもたらし、それが景気が良い状態を何とか保っているという感じだろう。まあ、悪い訳ではない。ただ、全体で良いわけではない。既に、よい企業が悪い企業を駆逐することで、成り立ついわゆる拡大ではなく、縮退または停滞の中での投資景気である。
だから、大手企業でも業績の悪いまたは利益効率が悪い事業なら従業員を減らして効率化を急ぐ訳だ。今回のSIEは主に米国や英国の事業における余剰人員の削減が中心都思われる。まあ、Sony Interactive Entertainment Inc.のゲーム開発主体は今では海外事業が主体になっているはずなので、日本でも当然減らすだろうが、どちらかというと海外の方が今では多いだろう。
実際ブルームバーグの記事にあるゲーム子会社は米国拠点の企業である。
ちなみに、PlayStation 5のハード事業が問題だと思っている人も世の中にはいるだろうが、業績面で見るとハード事業は今のところ堅調である。ちゃんとホリデーシーズンに販売数量を達成しているからだ。しかも、値上がりしても売れている訳で、上々と言ってよい。
しかし、SONYはこの数年で大口のソフトハウス買収をしていたこともあり、それらが期待通りに売れるゲームタイトルを出してくれないならば、縮小するようになるのは当然の流れである。最終的には、いくつかのハウスを統合することになるかもしれない。ソフトハウスをM&Aで取り込んでいるのは、単純にゲームの制作権利を得るためだ。有力なゲームの制作権利を獲得すれば、プレイステーション専用タイトルとして投入することで、ゲーム機ハードウェアを売ることが出来るからだ。
逆に言えば、ハウスを買ってその会社が期待通りのものを出せないなら、その会社をそのままにしておく理由もない。他の子会社と統合して1つにするなどしても良いと言うことになる。そうすれば、リソースの共通化も出来る可能性があり、開発コストも下がるかもしれない。そういう判断がいまされ始めているのかもしれない。
尚、ゲーム機はPCやスマホがあるからオワコンという人もいるが、それは日本だとそうかもしれないが、海外だとそうとは限らない。特に新興国などでは、ハードもそれなりに売れている。要が、既に物が充実している国と、今から物が増えて行く国の違いだ。日本の場合はこれに、高齢化が重なっているので、ゲーム機は売れにくいが、10代ぐらいの子どもがいれば、Switchでは物足りず、PS5のような高性能ゲーム機を欲しいと思う子も増えるだろう。
ちなみに、PCの方が高性能でも、PS5の方がゲーミングコストは安い。
PS5と同等の性能になると、PCだとGPUだけでGeforce RTX 3060か、Radeon RX 6600 XT並の性能が必要になる。このGPUだけで、3.5~4万円である。しかも、4Kでのアップスケーリングで安定して動くのは、PS5の方であり、PCではこれらのGPUだとDLSSやFSRを使っても、2Kクラスが限界だろう。CPUとGPUのリソースをゲームに可能な限り回すことができるというのは、全くPCとは別の強みだ。だから、玩具として考えるなら、ゲームコンソールの方がお得なのだ。
まあ、こういう点があるから、ゲーム機側の問題ではなく、あくまでソフトハウス側の収益上の理由で人員削減をするということになると思われる。ただ、今後も物価の動向次第ではハードウェア側にもメスが入るかも知れない。日本では顕著に出てきているが、物価の上昇が個人消費という点で景気の足かせになってきている国が、中国や欧州の一部の国、途上国の一部で見えているからだ。まだ米国では起きていないだけで……。そのため、それがもしもさらに顕著になってくるなら、ハードウェア事業にも影響が出てくるかも知れない。
ちなみに、Proの話が出ているが、形が見えないのもある意味でこれが影響している可能性はある。これは、NintendoのSwitch2の話にも言えるが、ゲーム機はもしも景気が腰折れすれば娯楽商品故に、ぱったり売れなくなるからだ。そして、ぱったりの影響が出て拙いことになるのは、新商品や大きな変更した商品を出した直後である。これに物価の影響まで加わって今は、まだ上がるのか、それともそろそろ落ち着くのかの先が見えない状況にある。だから、発表や出荷のタイミング、製造のタイミングを慎重に見極める段階にあるのだろう。
何せ、ここ数年の情勢はコロナ、戦争といった地政学や政治的な影響によって左右された経済コストや社会活動の変化であるため、自由な経済や社会の緩やかな変化によって変わってきた時代とは違って、見極めが難しいからだ。投資資金を使って次を開発する側としては、失速する前に次が必要だが、次を上手く売れる時期に出すのも楽じゃない時代になっている訳だ。