dGPUのシェアでIntelが成長、NVIDIAとAMDが下落……ノート向けのシェアが約7割。

Wccftech.comの記事である。


これは昨年の四半期ベースの話であり、10-12月期の話のようだ。
dGPUのシェアでNVIDIA とAMDが下落したようだ。そしてその分をIntelが取り込んだらしい。
ただ、これはモバイルデスクトップ両方のシェアであり、69%がモバイル向けで、31%がデスクトップなので、IntelのCPUとの抱き合わせでオンボード販売されているArc Mグラフィックスの販売シェアが伸びたのだろう。日本でも、DynabookやNEC-PCなどのゲーミングを売りにするノートに採用されているからだ。

一方で、AMDとNVIDIAは下落したようだ。前年比での出荷ユニット数の伸びは過去最大だったようで、市場全体では6%近く伸びたようだ。
ちなみに、シェアはNVIDIAがトップで67%、Intelが2位で18%、AMDが3位で15%となっている。AMDはこの数年でかなりシェアを落としているが、これはNVIDIA TensorやIntel XMXのような機能を持たないため、ビジュアル演算面でも活用できるNVIDIAや、それが期待されるIntelに対して、AMDのRDNAがそれを十分にキャッチアップ出来ているとは言えないからだろう。

最もAMDの場合は、それ以前から時世の読みに失敗したことが大きいだろう。Vegaの標準サポート切りが想定より早かったことや、Vegaでは使えていたFluidをRDNAで外し、NVIDIAやIntelがDLSSやXeSSでゲームと映像の両方に相応の機能を載せると戻しはじめたこと、コロナ渦でRX6400やRX6500からエンコーダーを外したモデルを出し、逆にNVIDIAなどは外した製品の製造を終了して、ゲーム以外をコンシューマ向けでもより強めてきたこととの解離が大きく作用している。

即ち、ゲーミングだけに特化するというAMDの戦略と、世間のGPUはゲーミング以外でも使えるより新しいハードウェア技術を組み入れていくという潮流の選択ミスが今シェアに出ている訳だ。AMDは次の世代では多分、RDNA3と同じ路線で行くだろうが、その次のRDNA5か6までにはIntelやNVIDIAの潮流に合わせる流れに切り替えることだろう。それまではRyzen AIと組み合わせて耐える形となりそうだ。


Intelの方は、Coreとの抱き合わせが功を奏していると同時に、UHD/HD Graphicsの頃とは違ってArcではゲーミングドライバーの開発と、APIの開発資金を以前の数倍に引き上げ両立させていることがかなり上手く回り始めたと言える。Battlemageをどういう形で出荷するのかにもよるが、今後もこのシェアは伸びる可能性が高い。

NVIDIAは今のところ敵なしである。
こちらはDiscreteのハイエンドなら圧倒的なシェアを持っており、性能も圧倒的だからだ。しかも、ワークステーションでも実績がある。10単位で育てたCUDA沼の効果は絶大であり、当分は崩れないだろう。ここをもしも崩すならば、IntelかAMDのどちらかが、NVIDIAに先駆けて新しい命令セットや演算機能でも組み込んでそれを大々的にゲームやビジュアル処理での優位性として示すことになる。IntelはCPUとNPU、GPUで一部のベクトル命令を共通化することでそれを狙っているようにも見えるが、成果が見えるのは5年後ぐらいだろう。それまでは、多分、AIがバブルだったと言われることがない限り、NVIDIAが優位と思われる。