高速道のトラック、最高時速90キロに 2024年問題で4月から…… 時速10kmアップっぷ。やった風に見せたい官僚と政治家。

毎日新聞社の記事である。


これで、どうなるかというと、80km/hだと1時間に80km走行する訳で、90km/hだと1時間90km走行になる。
一日の労働時間は凡そ8時間(但し8時間なら間に60分の休憩が必要、7時間でも45分程度の休憩が求められるがそれは無視するものとする)が基準になるので、それを元にずっと高速道路を走り続けたと仮定した場合、

速度/走行時間80km/h90km/h
1時間
8090
2時間
160180
3時間240270
4時間320360
5時間400450
6時間480540
7時間560630
8時間640720

8時間で80km/hだと640km走行できる。90km/hだと720km走行する。8時間ぶっ通しで高速を走ってやっと1時間分の距離を稼ぐことができる訳だ。尚、高速道路や自動車専用道路(速度標識が90をこえるもの)でなければ、90km/hで走行できる道路でなければ、この効果は得られないため、お察しレベルの話であり、例え高速道でも渋滞や道路の状態、運転者の疲労に左右されるので、常時この速度で走れるとは限らない。

普通はこれを閣議で決める流れに至ったことが残念でしかない。

ついでに大事なことだが、大型トラックは高速走行すると燃費が下がることも知られている。大型の牽引車などの場合は、最も安定する燃費が70km/h~80km/h付近で、90km/h超えると燃費が悪化してくる。(以下はいすゞの燃費に関する燃費マニュアル)

中型でも80km/hが最適なように作られており、それ以上だと燃費が悪くなると言う問題がある。燃料費が高騰する中で、トラックドライバーは速度だけではなく、コストの削減も求められるケースもあるので、これが対策だというなら……冗談だろという話が出てくるのは当然の話である。

ちなみに、トラックにリミッターが付いた理由は、以下の内容に基づいており、1つは追突などによる死亡事故が多発していた事が理由だ。だから、過去の政府(自民党を中心とした政権)がそれを決めたのである。もう一つは環境対策であり、CO2削減を狙って80km/hにしたのである。では、何故10kmアップしたのかというと、それも以下に書かれている内容に基づいて10km平均速度が落ちたという点から逆算して10km上げれば労働時間が下がると見たのだろうと思われる。だが、元々はリミッターがない時代からリミッター80を適用して10km/h下がっただけで、しかも、当時はまだ鉄道や船などの輸送が今よりあった中で、それが置き換わった後の話をしているわけだ……これで改善をという話でなあいだろう。むしろ、+10km/hは事故危険度が上がると過去の報告では示していたわけで、やっていることが小手先であることが分かる。

まあ、今の世代は知らないだろうという安易な発想なのだろう。そして、対策を考えて実行したという官僚や政治家、それと連んでいる団体の上層部のポイント稼ぎのための施策と思われる。


尚、輸送の最適化という点で好ましいのは、鉄道や船舶などの輸送網の再整備だろう。自動車工業会が許さないだろうから出来ないのだろうが、拠点間輸送には、昭和の頃(あの頃はコンテナ荷物などの仕様がまちまちだったので、効率が悪かった)とは異なる貨物鉄道の励行や船舶の使用を推進する方が好ましい。欧州ではそういった政策も掲げられている。実際に出来るかどうかは別として、SDGs/ESGだと言っている国であれば、こういう現実的な最適解を段階的に取り入れるだろうが……まあ、この数年は急峻に進めるのが政府の方針なので……後で軋みが、痛みになり、痛みが炎症を起こして、気が付いたら壊死しているということになるのである。今回はどうなることやら……。まあ、良くて思った程悪くも良くもない。悪くて、事故増加や運送業の働き方改革処か、激務と労基の調査が大量に入って送らなければならないものすら滞って衰退という地獄かもしれない。

本当に今は上が、資料だけ、頭のなかのお花畑だけで動いているから、大半の現場が回らなくても、一部の上手く回っている現場を真似ろというポンコツしかいないので、どんどんその影響が国内の爆発や破裂寸前の亀裂として蓄積している。後はいつどんな形でそれらが破裂するかだろう。