認知症になりやすい人の「夜」のワースト習慣 …… 広告だった。

MSNに上がっていたダイヤモンドの記事である。


面白いことが書かれているのかなと思ったらただの広告だった。認知症になるのを遅らせる方法は、記事にあるものでは足りない。既に明確に分かっている内容だと記事中のものは、それを証明していないものもあるからだ。

一般に認知症になりやすいのは、脳血管障害(外傷を含む)によるものが1つ、それから脳の病気によるものが1つ、最後が脳や体の衰えによるものが1つ、となる。

このうち脳血管障害とは脳梗塞、脳出血などの血管障害によるものである。これらのうち、梗塞と出血は生活習慣病や外傷性の傷害によるものがあり、頭を強くぶつけたとかで出血することで脳に高次障害が残ったり、生活習慣病による動脈静脈の硬化や梗塞から血管が裂けて出血して、というケースがある。手術で一命を取り留めても、失った脳機能(記憶野)のデータは戻ってこないため、生活に支障が出るわけだ。それによって認知症を伴うこともある。

2つ目は、脳の病気によるものだ。これは脳腫瘍などの病気と、若年性の痴呆症などによる脳萎縮がある。一部は遺伝的な要因であるかのうせい否定できない。腫瘍は、いわゆる癌と呼ばれる悪性腫瘍と、良性の瘤がある。どちらの場合でも進行性の特徴があると、脳の機能を圧迫するため、認知機能障害から死に至ることがある。基本的には早期治療(手術や放射線など)で対象の細胞を殺したり切除するしかない。もう一つが、遺伝と思われるものによるまたは突発的な若年性の認知症である。これらは、何らかの原因となるものが発覚しているわけでは無い。ただ、突然物忘れが出はじめてそれが酷くなっていくという形で顕れる。だから、改善策がある訳でも無い。
ただ、物忘れが酷くなったら医療機関を受診する必要がある。若い人でも出てくることがあることに注意が必要だ。


3つ目は、衰えによる認知症だ。昔は老人性痴呆症と呼ばれていた老人性認知症である。

これの要因で最も大きいものの1つが、聴力の低下と言われる。聴力が下がって耳が聞こえにくくなると、人とのコミュニケーションが取りにくくなり認知症が出やすくなるからだ。だから、聴力の低下を感じたら早めに補聴器などで聴力を補うのが好ましい。

次が、運動習慣の減少であり、その運動習慣の減少原因となる食事量の減少である。特に、タンパク質と糖質のバランスが崩れると拙い。何が拙いのかというと、糖質は元々、糖代謝として熱と運動時のエネルギーとして直接消費される。一方でタンパク質は血肉になるもので、細胞(筋肉、血球、髪の毛、爪、骨のカルシウム結合を支える組成)を作る骨格と機能の主成分である。要は燃料が糖分、そして体の機能を守り、修復し続けるのが、タンパク質だ。

ちなみに、タンパク質が足りない時に、糖は糖代謝の中でアミノ酸回路に糖を送ることで、タンパク質と同等のものを合成する機能も備えているが、効率が悪いので若い頃ならともかく、年をとってからは糖代謝を使うのは好ましくない。血糖値が過度に上がる危険があるからだ。だから、タンパク質を取ることが求められる。特に近年は朝の食事が重要とされ、朝の食事でタンパク質と糖質をある程度取ることで、昼間の活動量が向上し、さらに夜間の睡眠の質が上がることが分かってきている。

そして、最後が睡眠になるわけだが上記が出来ていると実は自ずと睡眠の質が上がる。但し、だから認知症にもうならないかというと、何とも言えない。

最終的に認知症を防ぐには、本を読むとかではなく、多趣味に動き回れるかどうかだからだ。ちなみに、1分間瞬読ドリルのような短期思考のものを扱っているからと言って認知症にならないということはない。実は、認知症予防と言うだけで、短期思考をいくら鍛えても、認知症を防ぐ効果が十分にある訳では無いからだ。何故なら、短期思考だけをいくら鍛えても、他の記憶野が弱れば、認知症が出てくるからだ。


尚、認知症予備軍となりやすいのは、小説やドラマなど長い順序だったお話を読まない見ない人、これは次週に続きがあるとかそういうものを覚えておく能力が低下していく恐れがあるからだ。実は、小説を読んだり、書いたり出来る人、あらすじのあるお話などを読む人は、認知症になりにくい。

人から、こうやると良いよとか、こういう方法だと上手くいくよなどと言われたときに、受け入れられないまたは、分からないとしても理解しようと努力しない人も実は認知症になりやすい。これは、常識的な理論の破綻を意味しているからだ。自分がやっていることを否定されたという認識(ストレス)になってしまって、結果的に孤立しやすいからだ。

それから、生活のスタイルなどに強い拘りがある人もダメだ。簡単に言えば、何時に○○をやって、何時にこれをやって、次はこれで……というルールを全てにおいて作り守っている人は、本当に気を付けた方がよい。きっちりと時間や手順を守る人は、その例外になったときに強いストレスに襲われる上に、非日常がないので、脳機能が同じことの繰り返しのみに最適化されそれ以外の脳を使わないが故に老化し易い。本来は、状況に囚われない臨機応変な日常が続く方が良いのだ。

認知症は子や孫がいると進行が遅い(進行しない訳では無い)なんてこともあるが、それはこれが影響していると考えられる。


睡眠は確かに重要だが、睡眠は認知症の全ての因子ではない。睡眠で生まれる認知症は老人性であってもアルツハイマー型の認知症における因子の1つであり、睡眠が十分に取れていても、アルツハイマー型の認知症を発症するケースはある。率として低いだけで……。それらの場合は、いわゆる睡眠よりも、周りからの刺激が減少していたり、活動が低下していることによって、認知機能が衰え続けた結果である。認知機能を保つには、認知機能を常に新しい方向で活動させ続けると同時に、その活動能力を保つために、食事の量と質を保つことが求められるのである。そして、それらを保つとなると運動や休息のバランスが必要になるわけだ。

尚、認知症で最大の「毒」は、日常習慣として何かをきっちり決めてそれから乱さないようにすることが一番の毒である。時に笑い時に泣き、時に苦しく、時に楽しいという活動が続くことこそが認知症において最も重要な予防または遅滞効果をもたらすだろう。そのためには五体満足であるか、そうでなくても、何か新しいことに挑戦し続ける生き甲斐を持つことが大事だ。

まあ、これは簡単な話じゃない。ただ、知っておいて損はない話である。

ちなみに、認知機能障害が本格的に出てくると、物忘れがあることを忘れる症状が時々でるようになり、性格が変化するようになる。これの軽い物が運転中などに出ると、アクセルとブレーキの踏み間違いや漫然運転(意識レベルが下がった状態で運転を続けること)という形で出てくるかも知れない。このときはまだ、自分が後から考えておかしいと分かるのが特徴だ。そして、最初は短時間だが、それが徐々に長くなったり、突然変化するようになる。それが悪化して行くと、それが表に顕れている時間が増えていくため、自分はおかしくないという認識へと変わっていく。