デスクトップArrow Lake-SにXe LPG Plusはなし……Meteor Lakeと同じLPG Plusはモバイルのみ。

VideoCardz.comの記事である。


これが示すのは何かというと、AMDのRyzen 7 8700Gのようなデスクトップ製品をIntelでは初期製品では計画していないということだ。まあ、Ryzenのように後から出てくる可能性はあるが、最初から出すことはないだろう。元々分かっていたことだ。

ちなみに、Xe LPG+(Plus)はMeteor Lakeに搭載されたDP4A処理をGPUのFPU(SIMD)で処理する機能を備えているのが特徴だ。元々IntelのXe GPUでDP4Aを処理する場合、Xe Matrix eXtensions (XMX)がなければ処理出来なかった。即ちXeSSやAI関連の処理を大幅に性能アップするのに、XMXが必要だった訳だ。それを、Xe LPG+ではSIMD用のFPUで処理出来るようにした訳だ。これをやることで、XMXほど大電力を喰わずに、且つ、小さなダイサイズでAI関連の処理やXeSS関連の処理が出来るようになった。但し、ゲーミングなどの性能はXMXのような専用回路を使うより下がる事になった。何故これを、デスクトップには展開しないのかというと、多分だがモニターディスプレイの関係だろう。

モバイルの場合は、ディスプレイが一体化しているので、フルHDぐらいであればLPG+でXeSSの処理が出来、且つバッテリー電力の消耗を抑えることにも効果がある。一方で、デスクトップではDP4AをGPUのFPUで演算させると熱密度が上がりCPUのクロックレートや電力ゲートに回せる熱容量が減ってしまう。即ち、CPU側のクロックが上げられなくなる懸念が出てくる。

だから、Xe LPGに留めて、LPG PlusやXMXを搭載する方向は取らなかったと考えられる。これは、AMDもデスクトップでは8700GなどのGシリーズが出るまで出さなかったことでも同じことが言える。高性能なGPUを統合すると、パッケージの熱密度が上がるので、CPU側のクロック耐性の上限が下がったり、メモリーのCPU帯域幅をGPU側が奪うことに繋がるからだ。

Sが付くようなデスクトップ製品は内蔵GPUだけに期待して購入する層は、初期の段階では少なく、GPUはdGPUを利用するので、初期投入される製品は、iGPUの性能を狙っていないと言うわけだ。もちろん、後になってiGPUが高性能な製品も出てくるかもしれないが……それは、需要があればだろう。

尚、デスクトップでGPUの世代が次世代(Battlemage)に変わるのは、今のところPanther Lakeになると推定されている。ここでは、GPUやNPUとCPUのDP4A命令セットの統合が予定されている(今のところ)ので、この辺りからデスクトップでもモバイルでもある程度のGPGPU品質に一気に置き換わっていくのかも知れない。それでも、デスクトップのGPU性能はモバイルより低めに抑えられるだろう。