日経平均が史上最高値更新、3万9000円台に初めて乗せる…… 円安だし、TOPIXは当時より下だし……ね。
ロイター通信の記事である。
これ、日経255平均を買っているなら、喜ばしいことだろう。
そして、それでお祭りになっている人もいるだろうし、これから報道機関などがお祭りをするだろう。
まあ、普通は淡々とみるものであって、上げ下げ、最高、最安に一喜一憂する物でも無い。今より先をどう見るかなのだから……。
これで景気や社会が当時を超えたかのように扱うなら間違いだ。そもそも当時、東京株価指数TOPIXは当時2884.80を記録したが、今は平均2650(40~60)の辺りにあり、買われているものが当時に比べて日経平均に連動する商品に向いていることが分かる。即ち、大手企業を中心に株式は売れており、それ以外は当時より悪い訳だ。
これが示すのは、全体が好業績という見方は出来ず、一部が大きく成長することで、株価が伸びていることを示している。既に、今の大手が崩れはじめれば、替えがないぐらいにギリギリの時代なのだ。だから、日本の投資は海外に逃げ、海外の大口を中心に円安で値頃感がある日本人が新規に買うには高く感じる物を、買われるようになるという訳だ。
ちなみに、円相場は今は150円台だが1989年は137-138円である。今より円高だったわけだ。そう考えると、対ドルで見た時の日経平均やTOPIXは0.92倍した値になる。逆に言えば、あと10%ぐらい上回らないと、外国人投資家からみれば当時の実績を超えられないと言うことだ。まあ、よほどのことがなければ、そのぐらいは行くかのうせいはある。
問題はTOPIXの方だろう。こちらは、日経平均が最高値を更新しているのに、最高値の91.89%となっている。対ドルベースだともっと悪い訳で、企業間の投資格差が広がっていることが分かる。当時の日本はまだユニコーン企業が多くあった時代だが、今はユニコーンと言えるような企業は殆どない。これから、上場して一気に伸びそうな企業も少ない。これはまんまなのだが、日本の少子化、高齢化と同じことが企業でも起きている事を示している。
要は、若くて有望な企業が急激に減る一方で、大きな企業だけが期待され続けているということだ。これは、先々をみれば日本社会が硬直していくことを意味している。即ち、20世紀のようなものとは違うが、21世紀の財閥による寡占のような状況が生まれてきているわけだ。だから、不祥事などがあっても、あまり日本は報道も政府も叩かなくなった。そもそも、政府が不祥事体質で報道も不祥事体質になっている。
こういう状況を見て、日本人からすると日本への投資は嫌気するわけだ。
ちなみに、外国人が日本に投資するのは、上記した円安と、こういう日本の日本に住んでいるが故の内情を知らずに、IRや雰囲気だけで選べる気楽さがあるのだ。
ついでに、報道が何かと上がった下がったとお祭りになる理由も書いて置くと、基本的にそうやって伝える人にとっての予想が、いわゆる会社の意志と連動していることもあるからだ。要は、投資信託などを運用している企業には上がってくれれば、または下がってくれれば運用信託などの益に恩恵が生じる事があるからだ。これで、素人の個人投資家を動揺させたり、興奮させるのである。
投資において重要なのは、一喜一憂することでも、喜んだり泣いたり笑ったりする事でもない。
今の状況が何によって生み出されているかを考えること、そこからこの先がどうなるかを自分で予想することだ。間違っても、他人がこうだという予想に単純にかつ完全に載らないことだ。他人が予想したものにBETしても、あなたのお金における失敗は、最終的にあなたに掛かってくるからだ。
まあ、少なくとも民放が極端にこれを嬉しい話と伝えるのは、NISA関連で証券会社の広告がうざいほどあるからだろう。本当に上がらないといけないのは、TOPIXであって、日経平均は当時とも銘柄が違うから、225平均を買っている人じゃなければ、あまり意味がないのだけどね。