CUDA沼を語るジムケラー …… 利益を生み出す互換性と、設計する側が求める性能の矛盾(必ずしも利益になるとは限らない)かな?

tomshardware.comの記事である。


ジムケラーがCUDAをx86を引き合いに出してお堀ではなく沼と称したそうだ。

これは、いわゆる互換性を求めると性能が犠牲になるという話である。だから、新しい特化した性能を求める分野には、古いソフトウェア基盤との後方互換(下位互換)を持たせるなという話を、ジムケラーは説いたわけだ。ただ、それは半導体アーキテクト(技術者)としての理想であり、実際に商売として成功するかどうかの話ではないのが、難しいところではある。何せ互換性がなければ、ソフトウェア技術基盤も最初から生み出さなければいけないからだ。その点では、CUDAは既に基盤があったから、今のところリードしているわけだ。それがずっと続くのか、それとも、どこかで性能や電力・価格の問題があることを理由に墜ちていくのかはまだ分からない。

でも、その欠点を追い上げなければならないライバル企業は意識して開発するしかない。そういう中で、彼が今在籍している企業の人間として、出している言葉がこれだろう。最も、これまでの開発を含めた矛盾の話に対する自己と会社の葛藤も含んだ業界や市場への嫌味もあるかもしれないが……。

尚、この記事では、最終的にNVIDIAに彼が在籍することは無さそうだとしているが、そりゃ分からない。
CUDAの次を真っ新から開発すると言われて、年俸が示されれば行くかも知れない。

ものというのは今、この瞬間に優れているから売れる訳じゃない。それを示したのは、日本(その日本の前は欧米)の凋落した家電メーカーであったりすることから分かる話だ。コンピューターの場合は、ソフトウェアとハードウェアの互換性が重要で、それに価格的な優位性が重なった時に売れる。だから、ある種沼商法というのは上手いやり方といえる。

ただ、製品単価が極端に上がってしまったこの数年を見ると、この沼が消費者から好かれるかというとそうではない。そこを知名度が高い人が突く話を出すことで、会社の広告(投資を呼び寄せる目的)としての効果を示すのがこれだろう。大企業の株価なんかは爆上がりしているが、新興はコロナ前やコロナ期間中の一部の関連株のような投資を得られていないし、結構資金繰りが大変なはずだから……