中国、肥料原料の輸出規制強化 国内需給逼迫で …… 減少が近づくリン鉱床と、需要が増えるリン(P)化合物。

時事通信社の記事である。


リンという物質は生き物にとって必要な物質である。遺伝子の二重連鎖の鎖を司るのはリン系化合物の鎖も含まれており、地球に存在する生命体全般にとって欠かせないのがリンである。まあ、だから探せばどこにでもリンは含まれている訳だが、濃度が極めて低いので、今は鉱山頼みである。その鉱床を含む鉱山がある国では、ゴールドラッシュと言えるほどリンは掘り出されている。

何故なら、当該の記事にも書かれているが化成肥料の原料としても使われるし、工業製品、化学製品の主要な材料としてもリン系化合物の需要が高いからだ。でも、鉱床として掘り出せる場所にあるリン鉱脈には限りがある。一方で、必要とされるリンの量は、今も年々凄いペースで増加しているとされており、今のペースだと2030年代~40年台までに新規鉱脈の発掘開始速度より、リンの需要が圧倒的に上回るとされていたのがコロナ前の話である。

今は、コロナ渦を経て戦争もあり、もっと厳しい。資源国であるロシアのサプライチェーンが崩れた事で、ロシアでの天然資源開発の速度が落ちたと推定されることと、物価が上がっていることで、採掘機材、人権費などのコストもまた上昇しているため、新規投資額に対して新規開発の速度が落ちていると予想される。

一方で、食料生産や電池、ハイテク機器などで求められる量は変わらないか、むしろ増えている。
で、結果的に価格も上がることにあり、量も足りなくなる。

ちなみに、リン自体は生産コストと効率を考えなければ、海水などからも手に入るし、粗大ゴミ、有機廃棄物からも手に入る。ただ、今でも実は割には合わない。これは、技術が追いついていないとかではなく、単純に含有量全てを取り出しても、鉱床から得られる量には遥かに満たないため、結果的に分離時にゴミの方が沢山出てしまい……元が取れないのだ。

ただ、し尿、糞便など下水道で処理するものなら、少なくとも肥料としての利用なら比較的安価に生成できるはずで、そういう面においては、今日本でも方法を模索しているようだ。まあ、それで足りるかというと難しいだろう。何よりそれも海外で作るより安くなる見通しがある訳では無い。

日本の問題は、結局その金の問題があり、そこにどこから金を回すのかという話があるから……難しい訳だ。

今は、そういう議論は殆ど世間では出て来ない。政府にしても有識者が何を語ったかの議事録は一応出ているのだが、基本的に「ありき」の議事録が多く、活発な議論がという流れはまずこの10年ぐらいで殆どなくなった。結果、今の総理の発言や指示がそうであるように、最初からだれかが筋書きを書いていてその通りに進んだ結果、どんなお馬鹿さん共が議論してこんな穴だらけで通ったのかという内容に墜ちていくわけだ。

まあ、循環社会とか出来ない話ではないのだ。但し、発端を作るには、お金がどこかから生まれる必要があり、そのお金を元に原料の国内循環(少なくとも国外に出さない国内向けのみ、国産原料を使う)を義務付けるなどしなければいけないのだが、日本は、安く、海外に売ることだけを狙う国になり、それを国も推し進めているから……結果的に日本の財が出ていき、今に至っては日本の質の良い物を安く(日本国民から見れば高く)売って、海外の質の良い物はより高く買えないなんて馬鹿な道を選んでいるわけだ。


話を戻すと、中国がやる資源政策というのは、欧米がやっていることでもあり、別にこれ自体がおかしいと言うことはない。問題は、この状況が改善する見通しは今後も低いと言うことだ。それに対して、どのように対策を取るのかがこれから日本には求められる。日本で出来ることと言えば、生ゴミの分別を徹底して、肥料としての資源活用を義務付けることや、機械やバッテリ、電子機器、家電、自動車などからの金属資源の回収精度をさらに上げるぐらいだろう。

但し、それにはコストを下げるための補助が必要で、補助をする場合は海外への転売や拠点移動、海外資本の事業者を許諾しないなどの法整備が必要である。日本は、この後者の法整備をこの15年ぐらいでほぼ亡き者にした国である。

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