AppleがArmに支払うロイヤルティは30セント/チップ未満…… 他社に比べて1/4~1/10以下ぐらいか……
tomshardware.comとWccftech.comの記事である。
この記事が漏れ出した理由は、Arm側が契約更改を各社と続けている中で、Appleだけがそれに応じてくれないからなのだろう。他の企業は半導体の単価に対して、1~2%の支払いをしているが、Appleはそれより遙かに小さな額で長期契約しているため、少なくともこれから先の契約だけでも改善したいと考えている訳だ。
だが、残念な事に前回の2018~2019年にロングスパンで契約していることや、その契約時に何らかの附則でも付いているのか、上手く行っていないと思われる。予想するに、多分契約で販売する数量が多いので、ディスカウントが掛かっているとかそんなところだろう。要は、業務用スーパー方式で多めの契約なら、一括配送する分、価格が割り引かれるという団体割引という方式が使われていると見るのが妥当だ。これに加えて、全体の製品をArmに段階的に置き換えるからという条件を出していたとかそんなところだろう。
まあ、ハッキリ言えばArmがApple安売りしすぎて、甘かったというだけだ。ただ、このままだと今Armのプロセッサーライセンスを結んでいる企業や、Nuvia問題で争ったQualcommなどから見るとArmを良い企業とは見なさなくなる。
実際に、多くの企業はArmの次としてRISC-Vの開発を急いでいる。まだ、数年という短期で実るものでは無いが、リッチOS(Windows/Androidなど)が移植できる程度にバイナリー環境とプラットフォーム環境(ハードウェアI/Oの共通環境)が整えば、一気に流れは変わるだろう。ライセンスフリーは1度環境が整えば一気に普及し始めるからだ。
そうならないためには、Appleの契約を少なくとも他社と同等にするか、他社をAppleと同等にするかしなければいけないが、ArmにとってはOS事業とハード事業が一体のAppleを敵に回すのが怖いのもあるはずだ。
まあ、今までの動きを見る限り、長期契約がされていてもAppleは自分の会社に利益が出るなら、多少違約金を払っても、利益見通しが十分に確保出来るなら契約をスパッと打ち切るケースも多いので、そもそも安売りしない方が良いのだが……。
これは果たしてどうなるか……おそらく、これが漏れたからと言ってAppleが簡単に折れることはないだろう。別にこれでAppleの製品を買う人が、一気にApple製品を買わなくなると言う話ではない。だって、買う側からすればサプライヤーとの契約はあまり関係ないことを、これまでのAppleと他のサプライヤーとの交渉でも既に示している。不買運動が起きたというのは基本的に、中国などでの政府絡みの反応を除けばない。
むしろ、少しだけあげて終わるという手でも、Appleにはお得なままなので、それをやって世間のイメージとのバランスを取るというのも有り得るが、それもAppleに対してメリットはない。
むしろ、Armはじゃあ今後の契約延長はないよぐらい、強気で動くつもりがあるのか?の方が私としては興味がある。これは別にApple肩を持っているわけでは無く、Apple以外の顧客だけで回せるぐらいの立ち位置を維持出来ていなければ、この先の立場はAppleに捨てられないように、Appleを顔色を窺い続けて、最後にはRISC-Vに突然Appleが移行して……そこから雪崩を打ったように、他社も見切りを付ける路線が、必ず来るだろう。