シャープ営業赤字へ 経営危機以来7年ぶり …… エレキには厳しい時代。
ITmediaの記事である。
ここ最近、白物家電の新型製品が価格を大幅に引き上げてきている。エアコンは最上位クラスだと2.2~2.5kwクラスでも30万円台に突入しているし、冷蔵庫は先日日立の冷蔵庫の記事を書いたが500~600Lクラスの最上位が、50万円台に突入した。前の機種が実売で30万円台の冷蔵庫が殆ど同じ電気代でここまで値上がりするのだから、もう電気代がお安いから元が取れるはずとか言えないほど割に合わなくなっているのが分かる。
これはエアコンにも言えることだ、この数年で最上位の価格は2倍近くに上がっているはずだ。
そういう現状で、売れる家電は、故障した白物家電の買い換えや、必須家電の買い換えと、ひたすら省エネルギーでお得だと判断出来る家電への買い換えのみの需要になる。大型テレビなども売れなくなっていく。大型にすると消費電力が大きいため、電気代に響くからだ。今年は特に北国のオール電化住宅や太陽光発電を入れている住宅などは苦しんでいるだろう。
そういう住宅はテレビなども無駄にでかく、リビングも広いので、エアコンの出力も大きくしなければいけない訳で、新しい住宅だと高断熱住宅でも自動換気システムが法令上必須なので、暖房がなければ極寒になる。
これは蛇足になるが……
最近は、ネットの記事などで日本は新築でも断熱レベルが低いから寒いなんて記事があるが、あれは間違いである。そもそも、自然換気の住宅じゃ無ければ、一定の暖房をしなければ寒くなる。今の新築住宅の殆どは自然換気システムを殆ど採用せず、24時間換気を入れているはずなので、当然外が寒ければ暖房なしだと中も寒くなってしまうのだ。
ちなみに、欧米は暖かいとか言うが、これは2つのパターンがある。1つは自然換気の住宅である場合、もう一つは24時間換気でセントラルヒーティングや据え付けのストーブ(暖炉)などを導入して作る家が多いからだ。24時間換気にそれを組み合わせて温度を調整していれば、冬場の温度は一定に保つことが出来る。日本は、それを個別の暖房システムでやっているので、家全体で見ると寒くなる。
話を戻すと、こういう時代だと家電はエネルギー消費が少ない品で且つお得な製品か?または、故障してどうしても必要な必須家電しか売れなくなる。また、電気代の高さを理由にダウンサイジングを行うケースもある。不要家電を小さくしたり捨てると言うことだ。
結果、プラズマクラスター頼みの家電とかは売れにくくなる。電気代がお得とか、他社よりお値段がお得とかじゃなければ……。お値段で勝負するなら、他の事業が補填しなければいけないので、それがなければ赤字転落する。まあ、実際にはディスプレイ事業が一気に底を踏み抜いたことが見て取れるが……
シャープという会社の問題点は、他の全ての事業を足した売上げよりも、ディスプレイ関連(SDPを含む)の事業の売上げが未だに大きいという状況にある。そのため、ディスプレイが風邪を引くと全体が損失を計上する形になってしまう。それを見直すために、Dynabookなどの事業も東芝から買収したわけだが、それが今回は機能しなかった。
もう一つは、円安の影響で赤字が拡大している事業があることだろう。これは、国内での販売が多いか、海外での価格転嫁が出来なかったことを示している。これは、シャープに限った問題ではないが、円安の効果が機能しないほどに急速に進んだ後、今度は急激に戻している円相場を考えると、日本企業が為替市場に翻弄されている現状が見えてくる。
これ、今後も為替や物価が予想に反する動きをすれば、長く尾を引き、それなりに大きな企業でも、業績を大きく崩す事になるだろう。