「Voodoo 5 6000」のプロトタイプがeBayに出品。現在144万円 …… YouTuberとかが買って動かすイベントにでも使うかな?

PC Watchの記事である。


Voodoo 5 6000は当時のnVIDIA(現在はNVIDIA)がGeforce 256の後継として発表したGeforce 2 GTSや、ATI Technologies(現在のAMD)がGeforce 256に対抗して開発したRADEON 256に一時的にでも勝るために発表した苦肉の戦法の集大成である。
1枚のカードにマルチGPUを載せることで、性能を搭載したGPUの数分だけ倍化していくというものだ。当時の3dfxは独自の3DグラフィックスAPIであるGlideでゲーミング市場に立ち向かっていた。

これは、後にスマホ市場で成長を果たしたPowerVRのAPIと似ている。nVIDIAがこの一つ前の世代であるGeforce 256を出すまでは、まだWindowsのAPIはWinGの延長線上でWindows 95以降に開発が始まったDiret3DとDirectDrawの立ち位置が低かったからだ。3Dや2Dライブラリーの実装が不完全だったのだ。それを大きく進化させたのが、Windows 2000/Meに最初に搭載されることになるDirectX7.0/7.1だった。

これには、現在で言うところのShaderの最初の世代となるHardware T&Lが搭載されており、光源処理が定点ではあるもののGPU内で完全にシミュレーション出来るようになっていた。これが、最初に登場したProgrammable Shaderであった。これをDirectX8で実装する予定だったShader 1.x世代のVertexとPixelの2つの可変プログラミング要素も一部加えて強化したのが、2 GTSだった。

ちなみに、これ2GTS並んで投入されたのが最初のRADEONブランであるRADEON 256である。これには、3テクスチャ処理をサポートするPixel Tapestryや、charisma Engineなどが搭載され、これもT&Lをサポートすることで圧倒的なリアリティと描画速度をサポートした。


それに追いつくために生み出され出荷される予定だったのが、Voodoo 5だった。ただ見れば分かるがカード滅茶苦茶長いし、消費電力も当時としてはデカくなる見込みだった。ただ、テクセル演算の性能はGeforce 2 GTSの1.6GTexels/sに匹敵する1.45GTexels/sになると発表されていた。また、これに搭載されているVSA-100チップは4xサンプルのアンチエリアスをサポートしていたのも特徴的である。但し、ゲーミング以外では……。


尚、当時はMatrox GraphicsがMillennium G400シリーズを出荷していた時代であり、S3がSavage 2000を供給開始していた頃である。
そして、ハイエンドPCはi820だったことであり、Direct RDRAMの時代である。即ちPentium IIIとAthlonの時代だ。1GHz台の競争が始まった頃のことだ。

ちなみに、3dfxはこの後年末までに解散し、知的財産をnVIDIAに譲ることになる。

その上で、今これを買って使う用途があるかと聞かれるとない。
資料館に飾るにしても、これを知っている玄人は今では殆どいないだろうし、Macのように世界的に有名になる歴史がある訳では無い。そう考えると、144万円で買う人がいるとしたら、スゲえな~である。そもそも、本当にそこまで物好きな買い手がいるのだろうか?いや、もしかするとWindows 98SEをインストールしてGlideベースのゲームをこれでやってみようとおもうYouTuberが居るかも知れない。

そういう用途で扱うなら、結構視聴者を稼げそうだ。


ちなみに、今で考えると性能は数億分の1クラスで144万円を見ると、Geforce RTX 4090の30万とか安い。