世界を席巻しかけたMDはiPodの登場でつまづいた悲しきメディア …… いや、世界を席巻する程では無かった。
ASCIIの記事である。
Mini Discが流行ったのには日本では、1990年代であり、95年以降に普及が始まった。ただ、00年代に入ると、シリコンオーディオデバイスと日本ではフィーチャーフォン(ガラケー)が普及を始めたことで、その地位は徐々に消えて行くことになる。携帯オーディオの代名詞はiPodだったが、MDは途中で使わなくなり、携帯オーディオも一端使わない時期を経て、2004年には携帯で音楽を聴くようになっていた。
尚、ソニーもMDの後にシリコンオーディオの普及は考えていた。その中で発表したのがMagic Gateと呼ばれる著作権保護機能だ。
これを搭載したMGメモリースティックとセットで、ウォークマンを売り出したのである。これに世界を制覇どころが日本市場もまだ不十分だったMDが置き換わることを夢見て。
しかし、それが著作権保護を使わないiTunes StoreとApple iPodに負けて、そのあとは……
今ではメモリースティックも終焉を迎え、Magic Gateってなんだという状況だ。CCCD(Copy Control CD)とかがウィルス扱いされた時代もあった00年代はAppleがデジタルオーディオ事業とネットでのそれらの販売事業で成功し始めると同時に、iシリーズが膨大な利益を生み出すことを知る切っ掛けになった時代である。
MDが主流だった時代は長いように見えて実はかなり短い。玄人は、PCが普及する中でMP3デバイスへの移行を始めたし、何よりCD-R/RWがPC経由で普及を始めた時代だ。日本だと携帯電話にオーディオ機能が載り始め、着うたなどの機能が乗り始めた。
マルチメディアという言葉がWindowsで世間一般になり、PS2やPCでDVDを見たり、PCに音楽を取り込むという用途が生まれ始めた。
それに、PCへのテレビチューナー内蔵なども始まるほどになり、ハードディスクの容量も5年で100倍単位という増加スケールという途方もない容量アップが始まって居た頃だ。それ故に、一気にMDからパソコンで音楽を管理するというCD-RやMP3デバイスに変わっていたのだ。
その時代をより明確に示した製品もある。それが以下の製品だ。ソニーがNetMD対応のPCまで出していた時代である。この頃には既にCD-Rが普及を始めていたため、MDは媒体としても魅力を失い始めていたが、ソニーはそれにNet機能という売りを加えたNetMDを打ち出すことで、PCと親和性を高めて売ろうとしたわけだ。
だが、結局MDの時代は終わった。MDの最大の難点はSCMにあったシリアルコピーマネジメントと呼ばれるセキュリティ機能だ。これによって、親となるCDからMDにコピーした音源は、デジタルで別の媒体にコピー出来なくなる。アナログなら可能だが、デジタルでは出来ないのだ。そのため、今でいう映像のBlu-ray Discと同じどん詰まりになるのだ。そのMDが何らかの理由で再生出来なくなれば、ダメになるし、その私的な範囲で聞かせるにも、コピーは等倍速で且つアナログになるため音質が下がる。
それに対して、MP3などの媒体やそこからCDにコピー出来るなら、何枚でも作ることが出来る。実際に人に配ったりすることは少なくても、その差は大きい。何より重要なのは、書き込みの速度がCDは最盛期に48-52倍速まで拡大した。1枚のCD/80分が数分で終わったのだ。MDは最も高速化出来た時代でも4倍速である。これは、光磁気記録という媒体を熱してキュリー温度にしてから磁界変調を行うという特性が、速度を落としていたからである。
ちなみに、CD-RはPCオーディオに限定すればもう一つメリットがあった。それは、CDDBによるタイトル情報の供給が無償で行われていたことだ。そのため、PCで音楽を扱うならCDDBを介してタイトルが自動的に付けられた。CD to CDでも本来のCDにはないCDTEXTを加えることが出来るソフトウェアも最盛期にはあったはずだ。価格も安かったCD-Rは猛烈に売れた。
これが、MDとシリコンオーディオの間において、海外ではMDがさほど普及しなかった要因でもあり、日本でも完全にならかった原因だ。だからこそ、MDを知らない若者が多いとも言える。
これを知っていると、DVDとBlu-rayの関係と今におけるテレビ録画の関係も何となく廃れる理由が分かるだろう。
価格競争力やあまりにも強すぎる著作権保護、そこに世代の古い媒体を未だにメインで唯一のアーカイブ媒体として売りこんでいる滑稽さが重なる訳だ。
尚、私がMDを使っていたのは3年ほどである。その後はPCとCD-R(携帯CDプレーヤー)になり、そしてそれも3年~4年で、auのLISMOを使えるau WIN携帯にその後は、スマホまで携帯オーディオは続いている。当初は音質面では悪かったが、それでも持ち運ぶものが少なく、PCに繋いで使いやすかったので、使い始めて結果今でもその延長線上でスマホが携帯オーディオになっている。
考えて見ると私にはiPodという製品を選ぶ時間はなかったのが特徴である。
尚、iPodは昨年生産が終了している。一方で、ソニーのメモリーウォークマンはまだ今も販売が続いている。携帯オーディオプレーヤー専用という商品を今もソニーは続けているのは、それだけブランドに対する評価があるからだろう。一方で、iPodはiPhoneに昇華されるまでの中継ぎのような役割だったことを示している。今考えて見ると、このオーディオに対する考え方の差があるが故に、ソニーが先にiPodのようなものを出していたとしても、Appleように成功はしなかったかもしれない。いや、iPodのようなアイデアがすぐに湧かなかったのは、オーディオブランドのメーカーだったからだろう。
これと同じ事を未だに日本は映像コンテンツの記録媒体でやっているのだから、二〇年以上変わっちゃいない。
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