動画初心者脱却! 撮影のコツは「耐える」こと!? ソニーに特別講義してもらった…… 撮影より編集が重要なんだけどね。
AV Watchの記事である。
これ読んでいて思ったのは、単に機材のCMついでだなという雰囲気だった。
というか、初心者への撮影テクの説明で、なんでこんな話になるのだろうか?
そもそも、下手な撮り方をするから面白映像になるのだが……
私は、人の撮影した動画を頼まれて編集したこともあるのだが、元の動画が多少変でも撮影量があれば、思った以上に形を作ることが出来るものだ。私の場合は、撮影しての編集が好きだから苦にもならないのもあるだろうが、どちらかというと、動画より写真の方が撮影のために耐えるシーンは多い。
何せ、狙った1枚を確実に撮影するには数だけではなく、そこで粘ること、何度も納得いくまで露出や露光、角度などを調整する必要があるからだ。さらに、それが何かの移動シーンなどを撮る場合で、一発で上手く行かないなら、何度もその時間に足を運ぶ必要がある。
動画は、そういう失敗は殆どない。もちろん、スチルカメラで露出や露光を変えたり、被写界深度(絞り)を調整してというなら、多少のリテイクはあるだろうが、写真とは比べものにならないほど楽である。どちらかという動画の難しい点は編集の仕方だ。
ただ、このケースの場合は、どうも動画(Movie Video)もスチルカメラも初心者っぽい人が、露出や露光も気にしなければいけないカメラを持って、撮影に臨んで撮影したら、こんな感じになりましたという感じの動画が出来ている。映像を見てDisplay HDRの動画なのかと疑ったほどだ。そもそも、カメラで動画を撮るにしても、最初からプロ機材を使う必要など無い。むしろ、使い慣れた機材(スマホでもタブレットでも、安価なスチルカメラでもよい)で取りあえずオート撮影でカメラに任せて撮影して綺麗に撮れればそれで十分だ。
画質や画角、被写界深度(絞り)、色味などで納得がいかない時が来たら、機材をそれに向いたものに買い換えるのである。大半の人はそこまで至る事は無いだろうし、多くの場合、スマホでもスチルカメラでも、望んだ映像の色味や被写界深度殆どを実現できるはずだ。今は、ソフトウェア技術も進んでいるのだから。問題は圧縮比やレンズ口径を含めたノイズぐらいだ。
では、撮影において大事なのは何かというと、基本的には目的のものだけを意識して無理に撮影しないと言うことだ。
ソニーのそれとは違うだが、初心者だと特にこれが重要かも知れない。また、撮影時にマニュアル撮影をプロっぽいと使ってはいけない。
そもそも撮影になれていないのに、設定とかを無理に考えて、綺麗に撮影しようとか、またこういう目的で撮るから次はあれ、今度はこれという撮り方をすると、上手く撮影出来なくなるどころか、どちらかというと単調で下手になる。そもそも、プロでもマニュアルで最初から撮影する人は今や減っている。まず、オートで撮影してみてから、それが気にくわないならフルマニュアルやプログラムオートを使う人も多い。これはプロに剥けたい初心者が填まる罠である。
次に目的のものを撮る場合だが、目的のものだけを撮影してはいけない。これは、動画における重要点である。
例えば、橋を撮影するとして、正面から橋の看板を撮って……次は橋の中央からの景色……では何度もというか初回でも最後まで見たくなることは「まず」ない。例えばずっと遠い場所から、橋の看板にズームアップして行くと周りの風景とセットで橋の看板に辿り付く、それが味になるし、数年後に周辺の風景が変わっているなら歴史にもなる。
橋の中央にたってビルを撮影するなら、横に下スイングさせながら、最終的に目的の被写体に合わせるとか、野鳥などにズームしていくまたはその逆に野鳥などの画から、広角にむけていくのも手だ。これに暈かしなども足すと面白くなる。
次の映像に繋げるなら、青い空や白い雲にズームアップして、次の映像がその空から降ろしてくる映像にすることも出来るだろう。
但しこれらは、面白い映像ではない。あくまで、プロっぽい映像の撮影方法だ。
だから、自分がイメージする構図があるとしても、無駄も撮影してしまえということなのだ。別にバンバンスイングしても良い。どちらにしても、後で編集しなければ見られた映像にはならない。そして、大半の人が初心者で留まるのは、編集が面倒くさいからという理由なのだから。
いつか編集して何とかするつもりぐらいに思って好きに撮影した方が良い。
尚、風景Vloggerを目指すならある程度編集は大事かもしれない。
<上手な動画の9割は編集で成り立つ>
以下の動画は、5秒で3つのカラーに分けた動画だ。最初が、撮影したそのままの映像、2つ目がコントラストを際立たせたもの、3つ目がコントラストをグレースケール(白黒ではない)に落としたものだ。
同じ映像3つでも色の取り方一つで雰囲気が変わるのが分かる。最初の映像は、晩秋で少し靄がかったように見える。2つ目は、秋の晴天で紅葉が映えているように見える。3つ目は、すすきがあるので秋か冬の初めかもしれないが、そらが晴れているのか曇っているのかは分からない。
これは初歩的な映像編集の一つだが、色スケールを変えると雰囲気が変わるので、例えば逆光や手ぶれなどで上手く行っていない映像を、敢えてモノクロにして見たり、オーバー(白飛びさせて黒とのコントラストを際立たせるよう)にしてみると、失敗が逆に映えてくれることもある。さらに、これにBGMをそれぞれ付けるとどうなるか……そういう風に、如何にも使えないような映像を引き立たせることも出来るのが編集だ。
私は、手ぶれの写真でも映像に入れることがあると以前書いたことがあるが、バックグラウンドや連写風に処理させるには手ぶれ写真は美味しい。失敗動画も、シーンの切り替わりなどでぼかしてインサートさせて使う事もある。その映像の音だけ欲しいので、ブレがあるシーンなどは映像だけ使わずに、音だけそのまま連続させ、映像静止画や他の映像に差し替えることもある。
これは、アニメーションなどで使われる方法だが、主人公などが嘔吐するシーンをキラキラエフェクトさせたり、しばらくお待ち下さいのようなシーンにするそれのように映像を作ることも出来る訳だ。バックの音だけは続くのだから……。
ちなみに、上記の映像は、私が車内から撮影した数年前の映像で、帯があるが、これは16:9の映像の画角を意図的に絞った物だ。こうすると、スコープ動画のような再現性にもなる。
動画の一番の肝は、動画をどういう目的で撮るかではなく、どういう目的で撮ったあとにどう編集して保存するかである。
これ、同じように見えるが実は全く違う。
最初に撮影するときにイメージして撮る時、多くの人はその順番で撮っていくはずだ。しかし、実際にその通りに編集するのが本当に正しいかを撮った後の映像を確認して再考することも場合によっては必要になるからだ。
尚、AV Watchのあの動画だが、穏やかで哀愁あるBGMを付けることと、フェードアウトやクロスフェード型の入れ替えをいくらか減らしてぶつ切りによるカット割りを増やすこと、手ぶれのあるパンを全部カットすれば、そこそこ良い動画になるかも知れない。それから、最後の花は最初に持ってきた方が良い。それがある場所が目黒川の周辺だという雰囲気で、最後に川から逆回し(本来は空から川に下がる映像を逆に回す)で空に上がって行くように、編集しフェードアウトさせていくとそれなりに趣ある映像になるだろう。
喧騒の音だけを他の映像に重ねるのも手だろう。また、時間が短時間すぎるなら、一部の同じ映像を前半と後半で2回重ねて一方を白黒やセピアにしてみるのも手かも知れない。
これ、制作がAV Watchなので実際にやることは出来ないが、1曲いけそうと思った商用音源を使っても良いなら、姪っ子のために昔使った以下のサントラの29曲目を使えば、もう少し趣ある映像になるだろう。ちなみに、長編のドラマやアニメのサウンドトラックは複数のシーンに合わせて曲調の異なる音源が入っているので馬鹿に出来ないと、知ったのは十数年前のことである。
尚、Youtubeなどで広告収入を得る目的に使ったり、商用のコンテンツに使うならJASRACや権利者の許可が必要である。
<撮影が上手くなるには……>
ー先ずはオートで撮影してカメラの設定を知ること-
撮影は確かに失敗を許されない場合には、肝である。
だけど今はスマホのオート撮影なら殆ど失敗はしないはずで、それなりに撮影はできる。デジカメも安物じゃ無ければオートで困る事は少ないだろう。むしろ、マニュアルを使った方が、上手く撮れないケースが多いという人もいるはずだ。その場合は、まずオートでとにかく撮りなれることだ。ああやればもっと上手く行くかもとか、そんなのはどうでも良い。とにかく撮影になれることである。
ある程度なれてきたら、ディスプレイに可能な限りの撮影情報を表示してそのシーンでカメラがどういうシャッタースピードを選び、どういう絞り、感度で撮影しているかを見ることだ。スチルカメラなら動画モードでも、F値(絞り)や、シャッタースピード、感度などが表示出来るはずなので、それを表示した状態にして周りの明るさや被写体によってオートで制御しているカメラの撮影の仕方がどう変化しているかを少しずつ覚えていくと良い。
それが出来てくると、やっとフルオートから、絞り、シャッタースピードなどの優先モードぐらいで1つか2つは自分で変えて好きな表現に変化させることも可能になっていく。それにもなれたらフルマニュアルでの撮影もある程度出来るようになるだろう。
これが最も簡単に動画撮影を上手くしていくステップアップの手段だ。
-手ぶれを防ぐならば画面を目線(90度)に合わせるのが大事-
それから手ぶれを防ぐ場合、特にパン(横移動)での手ぶれを防ぐなら、絶対に支えもないのに目線より下にカメラを持ってはいけない。これをやる場合は、下向きハンドル(カメラより上側で持つハンドル)が付いたジンバルで、且つローアングル撮影に適したLCDディスプレイを搭載したバリアアングル液晶のカメラで、LCDアングルを目線方向90度に合わせて使う場合である。
基本的には、ジンバルやグリップを使う場合でも、カメラは目線の正面位置で脇を締めて撮影し、撮りたい向きに体ごと(胸ごと)合わせていけば良い。カメラを低めに持たずに、目の高さと同じ位置で、横に振れば上下ぶれは減るのだ。絶対にやっちゃいけないのは、目線の高さ以外でかつ、撮影機材のモニターの画角が合わない場合と、脇が締まっていない撮影の仕方で腕だけが動く場合である。
何故、他の高さだと上下ブレが起きやすいのか、そして目線の正面なら上下ブレが減るのかというと、それは敬礼した状態で、ゆっくり横を向くと分かる。
意識すると多少震えるかも知れないが、たいていは敬礼した状態でも手は殆ど動かないはずだ。そして、敬礼していると腰が回転する。
これは、視線の正面に腕あることで、体の骨格の動きに対して、視線補正が自動的に掛かることと、腕で物を動かすのでは無く、腰より上が雨動くことでブレが減るのだ。人の目は目の前にあるものだと立体的に視野角内で上下左右の位置を同じポジションに留める能力を持っている上に、上体でも特に顔より上に手が来ると脇を締めて撮影していると自ずと、上下左右のブレが減るのだ。
だから、カメラを構えるときには正面に構えた方が上下左右のブレは起きにくい。
逆に気を付けないといけないは、目線より大きく下で構えるときだ。このときには下構の持ち手の製品を使ってはいけない。簡単にいうとシューティンググリップはダメなのだ。何故かというと、下構だと上下左右に揺れやすくなるからだ。ショルダーで構えるなら、グリップの持ち手は上から下方向に手下げる形(バッグのように手で握って下にカメラがある)の製品を使うか、腕をダランと下げて手の平で下から支えるようにカメラを持つように(この場合でも歩くならすり足のように歩くように)しないとブレることになる。
これは、手首や腕の可動域が無意識に動いてしまうからだ。
今回のAV Watchの映像をみて横の動きに対して、上下のブレが私が想像した以上に大きく見えたのは、シューティンググリップを使って、カメラは目線よりかなり下で持っていたことが原因であろう。実際に撮影している時のWatchが出している写真を見ると、そんな感じに見える、あの持ち方はあのシューティンググリップではダメなのだ。片手でも良いから、脇を締めて、もっと画面が正面になるように構えた方が良い。グリップを使わないなら両手で持つのがベストだが、グリップを使うなら両手持ち専用の製品じゃないならば片手でよい。
どうしても目線より下持ちで行動したいなら、少なくともLCDの角度を目線90度に合わせて、体に対して上下や左右のブレがあると気がつけるぐらいにしておかないといけない。また、手首のスナップを使ってパン(左右)の撮影をしてはいけない。
-アクセサリーの使い方(使い処)なども大事-
後は、重さに対して、持ち方が適正かどうかと、マイクとか大きなレンズを装備するならいくらシューティンググリップがあっても重心に合わないなら、使わない方がよい。結果的に手ぶれが多くなったり、幾ら連動操作ができても本体にしかない操作ボタンはあるわけで、その制約が期待通りの撮影を演出してくれないケースもある。
カジュアルな撮影やオート撮影、既に設定済みの質感を維持するなら良いが、シーン毎に撮影のうま味を生かすような場合は、グリップよりも本体で慎重に撮影した方がよい。何を撮るのかは逆に言えば、そのシーンに対して、自分が持っているアクセサリーの中で何を使うのかも試されることになる。手ぶれが想像以上(本人は始めてならこれでも良い方とおもったのだろうが)に多いのに、便利だと思い込んでグリップを使ってまで撮影する必要はない。
綺麗に撮影出来るなら、グリップは外してしまった方がよいこともあるのだ。売る側はそれを使えば便利だとか言うのかもしれないが、買う側はそれが本当に必要かを見抜いて使い分けなければいけないのだ。だから、初心者ならそういう装備を最初から使わない方がよい。それを使ってそれが良い物と思い込んでしまうと、使わなくても良いシーンで使ってしまって残念な結果になるからだ。
プロやある程度出来る人がそれを買うのは、あるシーンを撮影する中でそれがあると便利だと分かったからだ。逆にそのシーン以外では不要なので外す人だって沢山いる。特に、最初からそれをすすめられた買った人でなければ、そういう使い分けをしているものだ。
そして編集へ……
ただ、どちらにしても、バズる一発動画は別として、ストーリーを持たせたある程度の長さでカット割りがある動画なら、上手い撮影と思われる映像に仕上げるには、編集が重要になる。そのための素材として下手でもある程度多めに撮影して置くことが、良い映像に組み上げることに繋がる。編集が好きな人がやればだが……。映像現場では、撮れ高いとか低いとか言う話もあるが、時間が限られた場合や予算が限られているときにはそう言われるだけで、個人でやるならそんなもの気にすんなということなのだ。
即ち、一番大事なのは道具に拘る事では無く、とにかく沢山撮影してなれることと、編集も含めてコンテンツと考えること。そいて、狭い視点で撮影イメージを決めるなということだ。これを撮るぞと、運動会で自分の子どもだけどアップの親馬鹿映像を撮影して、それを編集して……といってもたいていの人は出来ないだろう。どアップの動画の中で、さらにどアップの気持ち悪い路線を選ぶか、そこそこを引っ張り出すかしかないからだ。
こういう映像を編集してくれと頼まれたなら、私ならば他にも旅行とか日頃の映像とか、遊んでいるシーンがないか聞いてそれと混ぜるだろう。なければ、運動会シーンに合わせられるような、かけっこをしているシーンなどを1日ぐらい撮ってきてくれと頼んで合わせれば何とかなる。そんな、まぜまぜにしたくないなら、ちゃんと子どもの晴れ舞台の笑顔とか頑張っているシーンの連続では無く、運動会の雰囲気を含めて撮影しなければいけない。紅組と白組の熱戦とかそういうのを入れるのだ。
発表会なら他のライバルも撮影してちゃんと作品に仕上げるのだ。
今はカメラもHDや4K撮影ができるので、広角で撮影して、編集で必要に応じて拡大しても良い。その方が手ぶれも少ないかも知れない。
そういう点が大事になるため、とにかく多くのものをできる限り、主人公なり主役となる風景なりに繋がる形で、撮ることが大事だ。
それを最後に繋いで行くと、映像コンテンツとして見栄えのよいものへと変わっていく。
これは、動画と写真の違いでもある。写真はその瞬間だけで済むので、その子が走っている様でも撮れていれば若干ボケていても、及第点だ。
しかし、動画は運動会でその子だけが映っている動画が5分間流れても、1回で十分です……いや「1分で十分です」という動画になるだろう。それは、写真と同じ感覚で撮影するからだ。動画は、一連の流れが分かる事が大事であり、その流れの中で、何を伝えたいかを示すことが大事だ。それには、撮影する順番と実際に出力するものの順(コンテンツとして編集して起承転結に纏まる順番)が一緒である必要もない。
最初に最後の方のハプニングを流して、そこにいたる迄を編集したって良い。それが動画である。
即ち、動画の場合は一発動画でなければ、撮影よりも編集の仕方で、善し悪しがある程度定まっていくのである。
この記事へのコメント