直販価格4万9800円でどこまで行ける?aiwaデジタルのWindowsタブレット……4年遅い製品。

ITmediaの記事である。


この手の製品は、Windows 10が出た頃には沢山あったが、既に元々少なかった国内勢はもちろん台湾メーカーでさえもこのクラスからはほぼ撤退している。理由は、IntelがAtom製品群のブランドから撤退したからである。現在は、中華系のブランドと時々台湾のASUSやエリート(ECS)辺りが日本を除いた新興地域で出して、そのお零れがネットや国内のPCショップに流れるぐらいである。

それを、日本メーカーが製品に落としたのがこれである。

ただ、価格から見てもこれは欲しいと思う人が少ないだろう。Gemini Lakeは2017年第4四半期の出荷で最も華やいだ時期から考えても、登場が3-4年遅いのに、この価格なのだから。物価高を予想していなかったのかも知れないが……。

ちなみに、SoCのGemini LakeはCherry Trail(Atom x5/x7のZ8000世代)の後継となるAtom系コアである。
この製品ではAtomを既に冠していないのは、産業用はまだ残していたが段階的にAtomを廃止する流れに入っていたからだ。

これは、Goldmont Micro-Architecture(MA)を採用した製品で、その2次キャッシュを2倍に増やしたアッパー版となり、Goldmont Plusとも呼ばれる。GPUにはUHD Graphics 600が搭載されており、HDMI2.0にAtom系では初対応し、VP9の10bitデコードをサポートする。性能はクロック辺りの数値で第一世代CoreであるNehalem MAを採用したClarkdaleよりは良いが、第2世代コアのSandy Bridgeより下である。
グラフィックス性能は当時のHD Graphicsより高いが、今の製品で見るとEUが12基しかないため、性能は低い。

この後に登場したTremont MAのJasper Lakeがコアクロック辺りでSandy Bridgeとほぼ同格となり、GPUも11世代になる。現在GPUのゲーミングアップデートのサポートが行われているのは、ここからである。これもXeの前世代なのでいつまで持つかは分からない。

そして、Tremontの次が、Alder Lake/Raptor Lakeに採用され始めてAVX2を統合したEfficiency Core(効率コア)のGracemontとなる。これはAVX2を内包したことでクロック辺りの性能がSkylake並(第6世代~8世代または10世代までと同等)となった。ここからはPentiumやCeleronすら廃止される。

この製品はWindows 10で使うなら確かにある程度の動きをするだろうが、11で使うには重いだろう。11は32bitサポートを終えたことで、64bit前提での挙動に変更されている。それ故に、メモリーが4GBだとOS動作の最小要件になるからだ。Windows 11でOSの挙動が良くなったと感じる人がいるのは、この32bitサポートに配慮したコードが消えたからだ。64bitと32bitのクロスバイナリーのなごりを全部捨てると同時に、元々2GBに制約していたであろうUI層の先読みを、それ以上に拡大する事で見た目の速度を上げていると考えられる。

だが、これはメモリーに余裕が十分にあり、CPUの並列度も高い場合にのみ機能する。コアは2つで2スレッド。さらに、メモリー4GBでストレージは64GBという状況だと、Windows 10のタブレットより見た目の動作は遅くなる恐れがある。

これで、RAMが6GBでも厳しく8GBぐらいはあって、ストレージが256GBぐらいあれば、まだマシだろうが……N4000よりもN5000やN5105辺りの4コアモデルじゃなければ、体感性能はAtom x7やx5を下回るかもしれない。ベンチマークの最大性能は上でも、並列コアの数が少ないため、マルチタスキングがおぼつかなくなるのだ。

よって、高いだけの製品になってしまっているわけだ。

まあ、業務用なら日本メーカーブランドに越したことはないのだろうが、メモリー容量が4GBでWindows 11はない。
最低でも8GBぐらいはあることが重要である。そもそも、これらの製品も組み立ては海外(良くて組み立ては日本で部品は殆ど海外)だろうし……サポートを求める前に性能面で使えるものを選んだ方がよい。

持ち運ぶことがないなら、以下のミニPCとBluetoothキーボードやマウス、ディスプレイ(テレビでも可)辺りを揃えれば、それでも良いはずだ。



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