「Premiere Pro」が動画クリエイターの編集アプリ使用率1位に。AdobeとUUUMが調査…… 思った程のシェアはなく、他のブランド名がない。
デジカメWatchの記事である。
うーんこのシェアの出し方はAdobeにもUUUMやUUUMのサイト運営を売る意味でも逆効果だろう。
こういったシェア評価は、ちゃんと対象となったソフトウェアブランドを全部公開すべきだからだ。シェアではなく、自社比較での何らかの性能の差などであれば、相手側からの同意が得られないこともあるので、隠しても良いが……。Adobeが主導して出しているのだろうから、こうなったのだろうが……。2社や3社の比較とかで実際はこの会社だよねと分かるとかならEPSONやCANONやHPが昔プリンターでやっていたのを思い出す。
お酒だと、A社、S社、K社と頭文字使ってやっていたこともあったような気がする。これが頭文字の通りかは知らないが、こうやって示せば問題はない。実際にその会社とは限らないからだ。そういうやり方でもすればまだ評価出来ただろうが……。
Premiere Proは値段が高いので、よほど作り込みをする人でなければ、なかなか元が取れない。一方で、今ではFilmoraなどの無料で使える動画編集ソフトもあり、有料版の1年ライセンスや永続版もかなりお安くなっているので、何でも試している人は、特に若い人を中心にこっちに流れているだろう。
もっと言えば、個人だとPower Directorでも大半の編集は出来る。画質などの面ではちょっと甘いし、重いし、操作性が他とは異なるが、慣れれば使いやすいソフトウェアであり、殆どのことはこれでも出来るだろう。
こういうソフトウェアがある中で、Premiereが381件中22.6%(86件)というのは微妙だ。2位がVegasなのか、Final Cutなのか、Filmoraなのか知らないが、もしかするとシェアを奪われ始めているのかも知れない。だから、隠しているという考え方も出来る。
尚、Premiereの利点は、企業を含めて利用者が多く、使い方の提案が多いこと。安定性が高く、最新の技術への対応が早いこと、ポストプロとして使えること。また、アドビの他のソフトウェアとの連携が高いのも魅力である。
一方で、これカット編集や、タイトルなどを入れるだけなら、コストパフォーマンスがマジ驚く程悪い。FilmoraやDirectorでもそれ以上に簡単(少ないステップで)に多少凝った物が作れるケースもあるので、そっちの方が目的によっては良いだろう。また、サブスクなので、買い切りがなくバージョンアップが頻繁なのも良し悪しがある。
Vegasなどを使えば、年間ライセンス分ぐらいの金額で、殆どのポスプロ向けのセットが揃うのでこういう製品も近年は再び成長しているはずだ。
考えて見ると、売れているから契約する人が多いのは確かだが、物価などが上がっていくなかで、そのソフトウェアをちゃんと他と比べて選んだかどうかや、他と比べて選んだとしても、結果的にそのソフトウェアの利点が価格に見合っているかどうかを、考えることはそう多くはないのが、好景気だったり賃金や利益が増えて成長している時だ。
しかし、今はそれが崩れ始めている(景気後退や物価高が長期的続く懸念がある不透明な)時期だから、高いソフトウェアはその生産性や機能性、パフォーマンスと価格が見合っているかを求められるようになる。こうなってくると、Adobeもただ待っていれば客が付く時代でもない。だから、こういうのを各社と組んで出して見たのだろうが……。
そもそも、もうAdobeのソフトウェアは使っている人は使っているだろうし、こういうシェアは日本ではトップの数字よりも、比較対象となった他が何だったのかの方を気にする人も多いので、これじゃダメなのである。
本来なら、そういう部分じゃなく、他と比べたパフォーマンスや、機能の差などでの満足度などでA社などと比較したものであったなら、それなりに納得されただろう。他とのアドバンテージを匿名のライバルと比較するというのは、シェアであってはならない。あくまで、ユーザーから見た機能性とか、会社が調べた速度とかそういうところであるべきなのだ。