サッカーW杯クロアチア戦、日本はPKで敗北 ABEMA視聴者数は2300万人超え …… これだけ視聴できるバックボーンなら今後広告も十分に付く。

ITmediaの記事である。


2300万人の中にFire TVで見ていた私も入っているが、後半の15分頃にリモコンのボタンを間違って押して、抜けたら入れなくなり……フジテレビで見る羽目になった。こっちは解説がショボかった。本田圭佑の解説の的確さが素晴らしかったのは間違いない。次は決勝辺りを見たいところだが、19日月曜の0時なので起きられる保証もなく、翌日に響く可能性があるので……厳しいかもしれない。


Abemaは、今回のサッカーで200億円をFIFAに支払ったと言われる。
一方で広告はこの大会にはそれほど付いていないと思われ、赤字の可能性が高い。ただ、当初に比べてスポットのCMが増えているようにも見えるので、決勝T進出までにだいぶ広告が付いた可能性がある。当初は、FIFAのオフィシャルスポンサーばかりだったからだ。そして、何より重要なのは、2300万人もABEMAのバックボーンでアクセスして運用できる力があったということだ。

これは、その時間帯の日本のテレビ放送視聴者より遥かに多い人が、ABEMAを見ていた可能性がある。何故なら、テレビの視聴率は世帯視聴率に過ぎない上に測定機器の数が少ないため、実際の総数は分からず人数も正確には出ないからだ。
ABEMAは端末視聴者数(サーバーセッション数)になるため、FireTVやGoogle Chromecast with Google TV(built-in含む)、Apple TVなどの機能を使って家族みんなで見ることも出来るが、基本端末のセッション数で人数カウントされるからだ。それは、1つ繋がれば、少なくとも一人以上が視聴していることになるわけで、広告として大きなアドバンテージになる。少なくとも1台で1人以上が見ていたと考えると、視聴して居た人の数は19%を総人口の越えているのは間違いない。最低で1人だろうが、時間帯も考えると実数は1.05~1.1人ぐらいで見ている可能性が高い。

これが、夕方~21時台ぐらいまでのコスタリカ戦と同じぐらいの時間なら、1セッション辺りの視聴人数はもう少し高くなる。テレビのbuilt-in視聴やドングル(HDMIに接続するStickデバイス)での家族視聴があるからだ。

こういう点を考えると、ABEMAという無料IP放送がCMを地上波テレビから奪うことが出来ると証明したと言える。
これに対して、地上波放送を行っているテレビ局がどう動くのかは気になるところだ。場合によっては、テレ朝が3割金を出しているが、この先Abemaに他のテレビ局も出資をしたいチャンネルを持ちたいと言い出す可能性もある。ABEMAがそれを許すかは別として、電波を使った全国放送が負けたといえる瞬間である。

尚、だからテレビ放送が終わりとは言わない。まだ、ローカル放送が地上波にはあるからだ。
ただ、その強みであるローカル放送も昔は、キー局(東京、大阪)サブキー(名古屋、仙台)地方主局(札幌、新潟、広島、福岡、沖縄)でブロック分割していた放送を、ほぼ全てキー局放送(東京のみ、大阪は激減)に切り替えてしまったため、一日の大半がキー局になり、ABEMAと大差ない放送になってしまった。そのため、ABEMAでもCSやBSでも東京発と競合しており、沢山地方局があるメリットがテレビではいかされていないのだ。強いて言えば、朝の番組でTHE TIMEが地方発の中継放送を扱っているぐらいだろう。これは、比較的、地方では評判が良いはずだが、これも十分に生かせているとは言えない。結局、人口が東京に集中する中で、地方を扱いすぎると総人口の3~4割を誇る関東広域圏の視聴率が下がるからだ。

これをもしもABEMAが地方局放送をABEMAローカルCHような形でANN系列(24局)などから取り込みでもすれば……そもそも、テレビ局のようにローカルの放送を垂れ流すチャンネルを作るだけでよい訳で……。もう国内の24都道府県は、タイムテーブル(番組表)を見て見たい地域放送の時間だけABEMAで見れば済むようになるだろう。場合によっては有料でタイムシフトを使う人も増えるだろう。もう、速報&会見専用のニュースチャンネルもあるので、ABEMAだけでNHKも要らない時代に成り得る。

そういう可能性も既にABEMAは選べる側になった訳だ。後はここにお金を出している朝日放送を介して、系列の放送局がそこまで踏み込もうとするかどうかだろう。ローカルCMをABEMAにも回せるように出来るのかとか、そういう部分も調整する必要があり、それが結局ネックになる。でも、それが出来ればサイバーエージェントと組んだ朝日放送系列が一歩IP放送で秀でることになる。

ここまで進んでくれることを願っている。


<単独黒字は可能である>

日本の人口の2割を支えられるバックボーンがあるということは、無料放送の広告としてかなり有望で、TVerをも霞むレベルの放送だということを示している。これにPPV放送や有料の見逃しなどもあるので、あとは投資をもう1度か2度大きく行うことが出来れば、固定客が付くようになり、広告も大手が沢山付くだろう。

重要なのは、2000万の接続があって、やっと制限が掛かる程度までバックボーンの信頼性が高いことだ。多分これまで広告業者は、日本のIP放送が、そこまでの接続に耐えられるとは思っていなかったから、そちらへの広告も避けていたはずだが、これが成り立つと分かれば、特に若者や現役の視聴者という購買意欲が高い層が多いことから、一気に広告はこちらに流れてくるだろう。

自動車や食品や飲料メーカー、電気メーカーがABEMAの広告に入りはじめたら、その瞬間から黒字に転じるのは間違いない。
まあ、ベスト8まで日本は行かなかったが、期待が弱い強豪揃いのリーグで1位通過し決勝T入りという成果を残した日本代表のお陰と、解説に本田圭佑を起用こともあって、ABEMAの知名度が上がったのは間違いなく、これはABEMAにとってもたぶん想定した以上の成功であると考えられる。

これから、この成功を絶やさずに突き進めば、自動車会社や食品会社辺りのスポンサーが1社でも付けばその1社から、他に連鎖し黒字へと一気に転じるだろう。まあ、CMは民放との契約もあるので、すぐには置き換わらないものもあるだろうが、今は12月で3月末辺りで、契約が変わるものも結構あるはずだ。その辺りで、大口スポンサーもABEMAシフトを始めるかも知れない。


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