スマートフォンの充電でやってはいけないこと …… 最新の機種なら関係ないのもあるけどね。
ITmediaの先週からトップの記事である。
これ基本的には間違っていないのだが、機種依存があり今では関係ないものもある。
また、布団やマットレスにおいての充電は、最新じゃなくても問題は無い。昔の携帯電話でもニッケル水素電池でも、多分末期のニカド電池でも影響はないだろう。何故ダメと思ったのかが不明だ。そう思い込んでいる人もいるのだろうが、膨張破裂の原因の殆どは、外から与えられる熱や衝撃が運用の既定値を超過することで生じるからだ。基本的に、ケースや箱などが断熱することで生じる熱の隠りは、ただ最大性能での充電や、処理速度の運用時間を下げるだけで、破損の直接要因にはならない。
もちろん、あまりに熱が隠った状態で長時間、何度も酷く性能を酷使しつつ急速充電していれば、そういう運用をしない場合より影響はあるだろうが……。それは微微たるものと考えて良い。ついでにいえば、こういうのを心配するほどなら、スマホをケースに入れて運用することから止めた方がよい。ケースで保護すると筐体のフレームからの放熱性が下がるからだ。
温度という点で言えば、気温や急熱温度(主に太陽光線や遠赤外線などを本体が受けて作られる光線熱伝導)が運用温度を下回っているなら、問題はない。逆に言えば、布団やマットレスよりも、暖房器具の目の前で熱が直接当たる場所の側で充電に限らず運用する。真夏の炎天下の下で充電したり運用するといった作業の方が危険である。
それから湿度だが、運用定格湿度の範囲内なら問題はない。風呂では無理だが……雨空の下でモバイルバッテリーとか使うのも本来は好ましくない。まあ、この場合でも火災は起きないが……充電ケーブルで充電して起きるのは、USBまたはLightningの端子がショートして接触不良や充電不良が起きるぐらいだ。これが起きると、充電が上手く出来なくなったり、再起動のループに陥ることがあるので、乾燥させても治らなければ、修理が必要になる。それだけのことだ。リチウムイオン二次電池(ポリマー電池)は、短絡防止のサーキットブレーカーが入っているので、発火などに繋がることはない。純正バッテリーならば。
ながら充電は機種によっては、影響がない。
SonyやGoogleなどのスマホはそういう機能が内蔵されているはずで、これは既に国内のノートパソコン等には10年も前から搭載されている。充電しながら放電するのではなく、バッテリーを介さずに本体にも電力を直結で供給するパススルー機能を搭載すれば良いからだ。一応、バッテリー内の整流回路(コンデンサー)は通す。但し、充電時間は通常より長くなることがあるし、ゲームなどで使っている場合は、熱量が多くなることがあるので、充電速度とゲーム性能が両方落ちることがある。
8割充電も一部機種では関係ない。一部フル充電が恐ろしく短時間で終わる機種などでは、バッテリーの公称で最大としている容量と、実際に載っているバッテリーの容量が異なる機種もあるからだ。これは、どういうことかというと、リチウムイオン二次電池に限らず、バッテリーは0から50%ぐらいまでは猛烈なスピードで充電出来る。セルに電力が残っていないため、電力をセルに取り込むのが容易だからだ。しかし、それを過ぎてくると、電力をセルに閉じ込めるのに、一定の圧力を掛けて、押し込んでやらなければいけない。
そこで、熱が生じると同時に、充電速度が落ち始めるのだ。だいたい7-8割までなら、緩やかに速度を落としながらではあるが、急速充電が使えるが、80%~90%ではそれが難しくなり、90~100ではさらに低速になる。しかし、一部の製品では、これを最初から8割までとして、それをバッテリーの最大容量の公称として設定する。
すると、100%(実際のバッテリフルの8割)まで30分等で充電が終わる。そういう方式を取っている製品もある。この方法だとバッテリーのサイクル寿命も長くなる。
ついでに、0%なんだが、これも機種による。上記と同じような技術が使われている製品が一部にあり、さらに最近だとバッテリーのファーム自体が0%=実際のゼロではなく、昔で言えば5%ぐらいを残して運転を止めるように作られている製品がある。(この部分の容量は公称値のカウント外になるはずである)こういう製品だと、0%まで使ってもすぐに問題が生じることはない。ちなみに、スマホ側で0%でも若干残る製品は、ゼロになってからもSMSの受信やFeliCaなどであれば利用できる。今あるかは分からないが、過去にはあった。これも、3-5%ぐらいを残して運用する仕様だった。
尚、スマホのバッテリー寿命を伸ばす上でやらない方が良い共通項目は、
・充電回数を多くしないこと(一日に何度も充電せず中途半端に何分充電とかは避ける)
・落下などの衝撃を与えないこと
・直射日光や暖房器具の熱、輻射熱があたる場所に放置しないこと
である。
特に1番目が大事で、ITmediaの記事にあるように8割充電して利用し、そろそろ20%を下回るからとそこで充電を始めて、35%まで増やして、家に帰ったら20%で、その日2度目の充電で8割にしてとかいう使い方をするなら、100%充電して1日で1回しか充電していない状態の方が長持ちする可能性が高い。これはバッテリのサイクルカウンターがセルによっては1つ進むからだ。今のバッテリーは、ある程度ランダムに充電回数をブロック管理しているので、誤差の問題ですむとは思うが、バッテリー半寿命サイクル(性能が半分になるまでの充電回数)は、充電回数換算で500~1000回未満である。1日に2回まれば250日~500日で寿命が来る。1回なら、500日~1000日だ。
フル充電が好ましくないとされるのは、連続充電でフルにすると、セルに昇圧して押し込むため、セルから熱が継続して出てくるからだ。熱が多くなると、セルの分子が膨張するため、セルが破壊されやすくなる。だから、ソニーのスマホなどにはいたわり充電のような機能がある。これは、夜間など1日のうち決まった時間に充電する場合、翌朝の取り外しから逆算して一時間ぐらい前までに、充電を終えるため、最後の1割~2割の充電を温度が落ち着く、取り外し2時間ぐらい前からゆっくりと行う方式だ。これをやるとセル周りで加熱することなく、フル充電しても劣化が抑えられる。こういうもう新しくもないが、それなりの技術が今も一部メーカーで新たに搭載されていくことで、バッテリーの持ちを伸ばすための人がやるべき対処も、その機種毎に合わせて行かねばむしろ、寿命を縮めたり、本来はそれよりもっと寿命を悪化させる要素があっても、見逃す原因になる訳だ。
上記した・の3点は、今も昔も変わらない点であり、これを守る中で、プラスアルファとして記事にある内容も考えるなら、好きにすればよいぐらいだ。尚、現在スマホに使われている電池はいずれもリチウムイオンを用いたポリマー二次電池であるが、その制御はバッテリーの種類やメーカーによって異なる。今の二次電池はいずれの製品にもバッテリー制御ユニットなどの制御用のソフトウェアファームが内蔵されているので、使うユーザーがもっとも考えて置かねばならないのは、外から極端な熱や衝撃などを与えないことである。
バッテリーの持ちだけでハードを選ぶなら、
熱量の発生が少ないスマホを選ぶことや、
ケースに入れるなら放熱性や耐衝撃吸収が考慮されたケースを選ぶこと
それから、充電は闇雲にしなくて良いように、BluetoothとかWi-Fiとか、回転機能とかバッテリー消費が大きく、電源に心配があるならこまめに切って使うなどすることが大事である。