パリ五輪マスコットに批判 ぬいぐるみは中国製、デザインに嘲笑も……報道の仕方と産業シフトのお話。
AFPBBの記事である。
こういう批判はだいたい開催国で起きるネガティブシンキングである。日本でもよく起きることである。
他国から見てこれはおかしいのではないかという反応であり、これがあるからある意味では今回より次回、次回よりそのあと……と改善が続く訳だ。
但し、これを当事国(開催国)以外の人々がどう思っているかというと、五輪反対を運動している人や反フランスとか考えているなら別だが、そうでなければ、特に嘲笑することもないし、決まったのか程度である。正直、キャラクターがなんであろうが、あまり気にしないのだ。実際には、スポーツの大会でマスコットとしてのキャラクターはあくまでアンバサダー(大使)として盛り上げる(賑やかす)だけだ。だから、日本のように五輪汚職でマスコットのグッズ販売で稼ぎたいとかいう業者からすれば、このキャラクターのイメージは大事かも知れないが、世界から見ればどうでも良い話である。
そういうのも理解した上での記事だから、陰核のようだということまで書くのだろう。
多分日本だと、そういう発言をする人が居ても、伏せ字にするだろうし、そう広がらないだろうし、もっと言えば報道では取り上げないか、それを行った人を叩く側に回るだろう。日本はそういう国である。報道自身が答えを決めて伝えることが多いのだ。だから、ある意味では報道きっかけによる炎上もしばしば起きる。いわゆる報道が追認する形で、私刑が起きる国である。
それから、中国製というのを問題視しているのも面白い点だ。まあ、そもそもそれをフランス国内で量産出来るのかというと無理だろうが……。
ぬいぐるみの大半はアジアで縫製していることが多い。中国とは限らず、最近だとベトナム、タイ、インド、バングラデシュなどでも製造されていることがある。先進国特に欧州で生産すると、今は高いインフレに苦しんでいるので、生産コストが一桁以上あがったり、場合によっては原材料の輸送に苦しむ恐れもある。これは、スポット生産(機間限定または数量が限られた生産)では特に綿花(綿)やポリエステル(ナフサ原料の石油系樹脂)、絹、麻(生糸)などの精製・紡績拠点が付近に十分になければ、その原料輸入のコストが掛かるからだ。
考えて見ると、日本でも40年ぐらい前までは鐘紡などの紡績事業があったが、化学繊維事業が中心へと変わっていき、帝人や旭化成などの人口紡織(ナイロン紡織、ポリエステル紡織)へと置き換わり、人件費などのコストも上がり、逆にアパレルなどのコストが下がり、価格競争に陥る中で、日本の事業は中小や大手の下請け事業へと下がっていく形になった。
これは、全ての先進国で過去に起きてきたことであり、これから発展していく途上国で起き得ることだ。
その商品が当たり前の時代に入ると、物の価格が下がるからだ。そうすると、所得が増えている国では、人件費や工場、原材料といった販売管理及び生産コストが販売原価を割るようになる。するとその国では高級品以外は作れなくなる。それが、起きてしまうと、国内にその産業は少数しか残らず、スポットで依頼しようにも、高級品用の原材料しか作っていない国では、作れないのだ。
そりゃあ、最低でも今後20年~30年この国の中で一定の生産をして売り切るのだという覚悟があるなら、国内生産のための拠点整備も進むだろうが……
この話は、他の産業にもそして日本にも言えることである。
このように外の国の中の発言から、日本を俯瞰して見ると、日本が一体どういう国の状況なのかが見えることもある。
日本に足りないのは、海外の真似をするのは好きだが、海外で起きている問題を日本に当てはめて考えることが出来ないことにもあるのだろう。

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