AMD、96コアの第4世代EPYC。Xeon比で最大3倍の性能を発揮…… AVX-512を売りに出来なくなったIntel。
PC Watchの記事である。
Intelに対してだけで見るなら確かにこれで良いのだが、消費電力はさらにマシマシでx86のスケーラブル製品やサーバー製品は、殆ど電力枠をどこまで許容するかという戦いになっており、実際のコア辺りの電力比で考えると、上昇ペースは緩やかになってきている。コア数が増えることで何とか体を保っているという感じだ。
尚、最上位のEPYC 9654のTDPは360W、Configurable TDPで320-400Wとなる。
ちなみに、第3世代EPYCの7763は280W、Configurable TDPで225-280Wだったことを考えると、猛烈に上がったことが分かる。これは、AVX-512の演算拡張による影響が大きいと考えられる。
ついでに言えば、現在Intelで予定されているSapphireRapids-SPの最上位におけるTDPは350W前後で、MTPによる最大は400Wを越え、AVX-512利用時はさらに高い消費電力になるのではないかとされている。そう考えると、EPYCとしては1.28倍の電力枠上昇となったが、まだIntelのなかなか登場してこないXeon(1月出荷予定)よりは最大電力が低めである。
Intelはデータセンター市場やサーバー市場では少なくとも2年ぐらいは、厳しいという発表をしているので、EPYCを圧倒的に抜くのは現状では困難だろう。ほぼ同じか、一部で上回ることを何とか証明するのがやっとと考えられる。それだけ、SapphireRapidsの歩留まりが悪くて、遅れすぎたということだ。もっと言えば、現時点でもSapphireRapidsの歩留まりがかなり悪く、それを売っても期待通りの利益は望めないという噂もある。
暫くは、Intelには厳しい状況が続くだろう。
一方で、2年後の2024年~25年にIntelもAMDも実は大幅なCPUの刷新が予定されている。AMDの予定はZen5だが、これはAVX-512が現在256bitのFPUを2器、1対で利用していることから、拡張して512bitに変更するのに合わせた大幅拡張と考えられる。Intelはそれをやってからさらに発熱やパフォーマンスに苦しむようになり、今に至っているが、AMDもその問題を生じさせるかどうかが、注目される。
Intelは逆に今までの大電力路線から可能な限り全方位で省電力も想定した製品へと振っていく見込みだ。AVX-512の在り方も、Alder Lakeがそうであるように、サーバー以外では切り捨てるのではないかという噂も続いている。熱量の割に使える用途が限定されているからだ。どちらも、まだ最終の調整は終わっていないと考えられ、実際の製品でどうするかはまだ分からないが、サーバーでも電力や熱が問題になる中で、次の本格的な世代交代が起きる2024年~25年までは、このAMD製品が市場のリーダーとなるだろう。

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