新「Fire HD 8 Plus」の記事に思う……書籍ならKindle。

PC Watchの記事である。


コアブランドが書かれていないのが気になった。多分、日本語だけの開発情報を確認したのだろう。
Amazonは発表直後に出る開発者向け情報が英語サイトのみで各国ローカライズは後になることがしばしばある。そのため、こういう記載をする国内サイトが結構あるのだ。

ちなみに、新型はMediaTek MT8169Aである。以下を見れば分かるが、Cortex-A55×6コアという構成で最大が2GHz(全コア共通のクロックかは不明)で動作する。Mali-G52 2EE/MC2となる。Android 11 ベースでABI32/64のハイブリッドバイナリー(Fire 7の新モデルと同じ)に対応する。尚、一つ前のHD 8(2020年)はABIが32bitだった。64bitになったのは現行世代のHD 10(2021年)からである。

ちなみに、記事中では解像度を1920×1080以上にすればという雰囲気もヒシヒシ伝わるが、それをやらないのはトレードオフが大きすぎるからだろう。

8インチで高解像度にするとMT8169Aでは性能がガクンと下がり、メモリー不足が深刻になる恐れがあるからだ。3GBしかないメモリーで開口率が高いHDディスプレイ(フルではないディスプレイ)を採用することで、バッテリーの公称時間も伸ばしたが、CPU性能はCortex-A55×6と大人しく、GPUもG52 2EE/MC2であり、フルHD向きのSoCではないことが分かる。

これをフルHDにするとなると、HD10に採用しているMT8183(A73-2GHz×4、A53×4/G72MP3 最大800MHz)か、それに相当するSoCを入れると同時に8インチでフルHDになるディスプレイを入れないといけない。こうなると、特にディスプレイは新規調達になるので価格が1.5~2倍以上になる恐れがある。その上、バッテリーの持ちが落ちる可能性もあり……。現状では今のリーズナブルな売り方が出来なくなると考えられる訳で、世界中で会員がいるAmazonサービスの利用者にとってのリーズナブルなタブレットデバイスと考えれば、戦略的に正しいと言える。

どうしてももっと解像度が必要なら、HD10を選ぶか、他の高解像度タブレット(iPad)などを買えと明確に示している訳だ。これが差別化というものであろう。尚、Fireはあくまで多用途タブレットであり、電子書籍リーダーはAmazonの場合別にKindleが存在する。
Kindleはグレースケールディスプレイ(BW/モノクロ)なのでその点は妥協する必要があるものの、こちらはどの製品も300dpi以上の精細度を維持している。最初から書籍オンリーでAmazonのサービスだけを使うなら、これがベストチョイスだろう。但し、Kindleシリーズは、書籍専用なのにFireよりお高目である。これがある意味ではディスプレイの質が良いということのコストとも言えるだろう。

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