「世界一汚い男」死去 94歳、半世紀以上入浴せず―イラン……世界一位の男とジンクス。
時事通信社の記事である。
最近見直したばかりなのだが、世界一と言えば、思い浮かぶのが以下だったりする。
世界一汚いにもいろいろあるだろう。
日本語だと性格が悪い、ひねくれ者だって汚いであるし、今ではほぼ見ることもないが、肥だめに落ちればその瞬間に世界1汚い認定されることもあるだろう。汚いは結構評価が難しい。入浴していないとかシャワーを浴びていないから現実に汚いとは限らない。
尚、この人は94歳なので多分老衰だろうと思われるが、考え方によっては、数ヶ月前に入浴したことでなくなったという見方をする人もいるだろう。これは、いわゆるジンクス(jinx)というものだ。いつもと違う事をしたり、何かやっちゃいけないと言われることをした後から、悪いことが起きるようになった場合、それが原因だと思うようになるという災いである。
それがこの記事だけだとそれが起きた可能性も否定は出来ないが肯定も出来ないだろう。
jinxの興味深い点は、あまりにそれに対する思い込みが激しいと、悪く考え込むようになるという点にある。
例えば、フラッシュを焚いて写真を取ると魂が抜けるとか、昔は言われていた時代もあるわけだが、それを強く信じる人は、その後からたまたま体調を崩したりすれば、だんだんと気力が低下していくことがある。これは、たまたま起きた悪いことと、聞き捨てや言い伝えで知っていることが、重なることで、心が弱るという連鎖が起きることで証明される。いわゆる病は気からという奴だ。こういう研究は、昔から結構行われていて、医療系の論文を扱うジャーナルを読めば、それなりに立証されている例である。
面白いのは、コロナの影響なのか、皮膚の常在菌バランスが崩れることで(不衛生を衛生にすることで)、体調が悪化すると思う人も世の中にはいることだろう。これは、高齢者の場合は大間違いだが……。
基本的に、衛生面に関しては、年齢を重ねるほど雑菌やウィルスが少ない場所に居た方が、長生き出来る可能性がある。これは何故かというと免疫力は高齢(老齢)に向かうにつれ年を追うことに低下するからだ。免疫のピークは20代である。そこからは徐々に低下を始める。そこからは、記憶された免疫がどれだけあるかが、勝負になる訳だ。
そして、新しく免疫記憶を獲得してそれを維持する能力は低下する。これは、SARS-CoV-2の死亡者が高齢者中心であることを考えると分かる事だ。年を取ると言うことは、抵抗力、免疫力があらゆる面で下がっていくことを意味するからだ。
逆に言えば、若い頃には、多少不衛生な方が、獲得免疫数が増える可能性があり、病気には良い可能性もある。実際にそれを検証することは難しい。子どもを使ってやることは倫理上問題があるからだ。但し多少は証明されている側面もある。アトピーやアレルギーの傾向から衛生状態が良すぎると、免疫にマイナスの効果が付くことも分かってきている。
高齢になると逆に不衛生で複数の危険な細菌やウィルスの常在を許せば、病気になりやすくなる。
これは、医学的にも常識である。だが、人によっては不衛生な人は不衛生な方が長生きしただろうと思ってしまうわけだ。これが面白い。
これも、一種の作られた(事実かどうかは不確定な)ジンクスだ。
まあ、そもそも世界一というのも先に示したダウンタウンの昔のコントのように曖昧なものである。
確かに、何かしらの基準で世界一かもしれないが、果たしてその世界一は本当に汚いのか?と言われると……もっと汚い人は必ずいるだろう。証明する統一した術がないだけで。逆に本当に世界一汚いなら、94歳まできっと生きちゃいないはずだ。ちなみに、本当に世界一汚くなると、褥瘡が出来、そこに蛆が湧いたりすることもある。皮膚が生物(細菌や蛆)に犯され壊死するということだ。
まあ、一部のハエの幼虫となる蛆は皮膚細胞の早期再生を助けることもあることが分かっているので、これもまたイメージや見た目とは違う現実である。我々が、社会で育つ中で得た教育や知識、感覚や経験で思っているそれと、現実には結構ジンクスが含まれており、イメージとして凄そうとか悪そうとか、臭そうとかそういったものを作りだす。それは、社会生活を送る上で悪い話ではないが、あまりにそれを強く信用すると、現実の科学がもたらしている事象とは離れていき、それが別の意味でジンクスに繋がる不幸を生み出すことを忘れてはならない。