年功給から「職務給」移行、転職・副業促進も…「新しい資本主義」概要判明 …… 寂れた資本主義。

読売新聞オンラインの記事である。


とっても簡単に体よく言えば、この記事はリストラがし易くなると同時に、年功でも、賃金が下がっていく可能性があるということを意味している。そして、副業をさせることで、それを補わせようというわけだ。ただ、それなら、まずそれを進めるのは、公務員や政治家から政治屋や生まれてこの方公務員しかしてこなかった輩で、無能を解雇することから始めた方がよい。

そうするとこれの意味が分かるだろうし、既にこれが企業の多くで進んでいることも分かるだろう。それが上手く出来ないのは中小企業であって……だからといってそれをやったから業績が良くなるわけでもない。むしろ、政府の施策としてこういう改革をやる前に、すべきことをしてくれないと潰れるとと思っている企業は多いだろう。

税金をぶん取って、その税金を回すと称して、有権者で票が貰えそうなところに撒く施策はどんどん増えているが……。


<新しくもない資本主義>

 尚、これ別に新しい資本主義ではない。日本でも大手企業や一部の企業では既に取り入れられているからだ。00年代からそれが入っている企業もある。それを法制度としても進めるというなら、良いことばかりじゃないことを覚悟をした方が良い。特に、若い世代は格差が猛烈なペースで進むだろうし、やり甲斐搾取も広がるだろう。何せ、やる気のある人を、技能や能力で比べて使い倒す形になるからだ。もちろん、それが評価されて転職し、スキルアップに繋がるという面もあるが、1度踏み外したら病むことも有り得る。

 そういう点では、政府もこれが新しいかのように示さなければいけないほど、何もビジョンがないことを示している。寂れ廃れた資本主義を如何に最もらしく新しく見せるか……若い人だけでも騙して時間稼ぎがしたいのだろう。少なくともあと3年は……。ちなみに、資本主義に新しいも古いもない。資本主義の基本は、資本を投資して、資本を増やし続けることであり、資本を失ったら終わりだ。だから、周りと資本を投資して競争するのが資本主義である。

だが、政府が言っているこれらの新しい資本主義にその発想はないように見える。日本の資本主義における構造的な問題点を見渡した上で、見直していくというなら、それは新しい資本主義なんてスローガンにならないし、もしそれを狙っているなら、この施策が成長に繋がる訳もない。何故なら、日本の資本主義が墜ちてきているのは、人口が減っていることで、元々内需型で拡大しながら外需も得ていた国だった日本が、内需の疲弊によって、外に打って出る力すら失い始めているのだから……。

本当に資本主義を狙っている企業は既に、日本に労働者など求めちゃいない。大半は海外で主に採用して、国内はそこそこやっとけば良いのだから、実際にそうなってきているわけだ。海外勤務が出来るぐらいの若手や中高年なら雇ってくれるよ……と。

それに対して、政府がこういうジョブ型とか言っているが、そもそもこれは手当にならないのだ。朝ご飯(朝食)を食べて来たかときかれて、パン食べたというのと同じようなものだ。

じゃあ、何をするべきかというと、内需をどうやって拡大させるのか、どの産業なら拡大するのかを考えて、それを示し投資するように促すことが重要だ。例えば、バイデン政権なら、環境に何兆円、半導体に何兆円という投資を何年間行うとか、そういう施策が重要であり、子育て政策でどういう社会を目指すでも良い。その中で、給料の体系変える法整備をするというなら、それは構わないが、これが新しい資本主義なんて言葉に繋がることはない。そもそも、これは資本主義が新しくなると言えるものではない。

体系的に資本主義自体が国内で変わるのだとしたら、護送船団が終わるとか、日本の企業が日本以外での採用を増やし、日本から離れ始めるとかそういう時だろう。そうなった時に、日本人は全員投資だけで生き残れとかいうなら、それは新しい資本主義だ。日銀のETFと、GPIFの資金を全部解体して、国民に専用の口座を供給し、還元するからそれを運用して稼げ、そこで稼いだ配当は現金かポイントで返す代わりに、与えた証券や債券は特殊なポイントとして使うので、現金化は出来ないとでもすれば、それだけで稼ぐ人も出てくるかも知れない。

そうならば、不労所得に向かうある意味新しい資本主義国家の誕生だろう。


そこまで突き抜けないと、新しい資本主義とは言わない。
逆に言えば、今の政権というか、政府は自分達が、職能給の社会にいないし、資本主義の社会で働いていない輩ばかりが、机上やブレーンとなる大企業や大学の教授という一部の人の話を聞いて動いているから、この程度で新しい資本主義と言える訳だ。そもそも、これは新しくなく、むしろ廃れ行く中で、政府は企業と共に日本の国民を雇い入れるように、企業に頼むことすら責任を持ちたくなくなったということの顕れに過ぎない。


<起業を目指す若手人材を今後5年間で1000人、米国のニューヨークやシリコンバレーなどに派遣する。>

これも阿呆らしいことだ。そもそも、企業を目指す人が、政府の金使って米国に行く理由は何なんだろうか?
ロンドンではダメなのか?香港ではダメなのか、ウィーンではいけないのか?サンパウロでは?キャンベラやシドニーでは?

本当にこの政府というか官僚も含めて、何考えてこんな話が出ているのか知らないが、本当に実業家精神がある人は、派遣された結果で何かを得るとは限らない。もっと言えば、米国の方が起業精神を養えるなら、日本に帰って起業するより、あっちで起業した方がマシだと思う人の方が多いだろう。逆に、これで日本で起業するために政府の支援で米国に行ってね!というなら、まともな実業家ならその支援を蹴るだろう。

それが、寂れた資本主義だというのだ。
総理が読書大好きなので、長州ファイブとか、そういう昔の書物でも読んで、今はニューヨークだ、シリコンバレーだと考えたのか?それとも、役人や企業が考えたのか知らないが、阿呆だろう。

もし、本当に国内で起業させたい人を育てるなら、海外からそういう精神を持つ人を国内に呼ぶべきで、それとマッチングされるのが官庁であるべきだ。そうすると、国内で新しい産業が生まれる可能性があるからだ。行くのではなく、募集して優れた人材に来て貰うのだ。尚、これに若手も中高年も関係ない。それと、国内で意欲がある人材を結びつけると日本という国の中が、グローバリゼーションを惹き付け、飲み込むことで成功する可能性が高まるのだ。

本当にバァカなんじゃないのこの国の政府とそれに賛同しているっぽい企業は。


<日本が成長するのに日本人を条件にする必要はない、
          リーダーが外国人でも日本に身を埋める覚悟がある優秀な人なら良い>


日本の一番の問題点は、上にいるものが、外国人アレルギーであることにある。そして、見かけ上外向きに見えるが、内向きなのだ。
外の良い話を中に持ってくるのに出して、帰って来させれば良いと思っている段階で、それが分かる。

今、企業がやっていること、社会で起きていることと政府がやろうとしていることがそもそも逆なんだよ。だから、この方法だと、優秀な人間が海外で学んで帰ってきても、結局大きな実のなることになる確率は下がる。何故なら、国内のパイは日を追う毎に減ってきているからだ。椅子取りゲームで、椅子が減っていくなかで、椅子が十分にある外の国の実状を見て帰ってきて、頑張ろうとしてもそれほど周りからの投資を得られる訳じゃないし、少しの失敗で資金を引き揚げられる危険があるのだ。

じゃあ、どうするのかというと、外からそういう力を持った人をまず呼び込むことだ。旅行じゃ無くちゃんと永住覚悟で来て貰うこと。そして、日本で事業をしたい人を育ててもらったり、協力して事業を進めて貰うことだ。その中で、日本だけじゃできないことがあるなら、その部分を外国人が上手く取りまとめてくれれば、日本でも海外でも成功できる可能性がある。

そういうリーダー教育が必要なのだ。即ち、政府がやろうとしていることと、実際に今日本が立たされている社会的な問題が真逆の状況にあるわけだ。これに、今の岸田政権も与野党も多分気が付いちゃいない。だから、古い事というか、全く新しくもなんともないこと新しいと言うし、まるでこれで経済が成長する未来を見せられるかのような話にしようとする。


だが、国民の多くはもうこれを見ても、素晴らしいとか上手く行くとは思っちゃいないだろう。何故なら、もう制度上(法制上)の変更はなくても、ある程度の企業はこれを進めているからだ。特に大手は……それが、政府のお墨付きを持って始まれば、苦しくなる人はより多くなるだろう。


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