ウクライナに防空システム提供を表明 米大統領 …… 迫る核戦争、踏み込む米国。微妙に亀裂が入る欧州。

AFPBBの記事である。


Regnumには、核兵器の使用に関する記事まで出はじめている。


日本では、こういう記事まで書かれることは少ないが、現実の方法論としてロシアは国民にも、使う事を想定した動きを伝え始めていることが分かる。


一方で欧州では徐々に米国ウクライナ寄りの流れが崩れ始めている。米国、ウクライナに寄っていく国は主にロシアに近かったり、元々ロシアと関係が強かったが、西側に流れた国と、ウクライナに近い国が多いが、西側のそれ以外の国は、一応週に1度ぐらいは、政権の閣僚などがウクライナに心を寄せる発言をしている国があるものの、以前に比べるとトーンが低下している。元々ジョンソン政権時代に米国と強い発言をしてきたイギリス(英国)も政権が変わってから、いくつかの掲げた政策の補正に追われ、それどころではない現状に戸惑い弱まっている。

ドイツやフランス、イタリアなども今は強い反応が出来なくなりつつある。下手すると世論が別の意味で沸騰する懸念が強いからだ。
それだけ、物価高が国民感情に影響している訳だ。もちろんパイプラインの問題とか、いろいろありEU国民も、英国民もロシアに良い感情は持ってないだろうが、それでもいつまでも耐えられる状況にはない訳であり、ロシアだけでは無く、米国やウクライナに対しても不信感を強めているように見える。

何より、米国が多分次の大統領選挙でバイデン勝利の流れになりそうなことも、欧州の懸念なのかもしれない。
そして、そこがある意味でロシアがもう一歩を進むべきかを決めるタイミングなのかも知れない。その辺りで、核とは言わずとももう一歩何かが起きるかもしれない。


<後からやってきた共和党の悪夢>

尚、米中間選挙でバイデン政権が辛勝する公算となっている理由は、共和党のトランプ政権時代に連邦裁判官を共和党支持者中心に変えたことで、中立性が損なわれ、それが結果的に人工妊娠中絶の禁止法案を通すという結果に至ったからだ。これによって、バイデン不支持の人間でも、共和党に投票する流れは消え始めたのだ。

一方で、共和党自身にも問題がある。それは、トランプ離れが出来ないことである。夏の予備・補選などで、トランプ陣営ではない共和党の反トランプ陣営が負けており、世代交代が進まないことも共和党に無党派中間層の支持が回らない原因となっている。じゃあ、バイデンの支持が素晴らしいものかというと、2者択一でどっちと言われればバイデンとなっているわけだ。これは、アメリカ合衆国における二大政党の弊害が出はじめていることを意味している。国民が望む沢山の施策をバランス良く議論して、最善にして通すという流れが、急速に廃れてきているのだ。

そして、それが見えてきたから、バイデンはウクライナに注力していく流れを加速させている訳だ。もう、これしかバイデン政権が生き残る道はないと見たと言える。そして、それを見て欧州は一部の国でこの先に進むという選択に躊躇し始めている訳だ。米国とは国の事情が違うからだ。燃料の問題、経済や社会の問題などが異なるため、EU全体としては便宜上纏まっているが、政府として見るとどっちとは言えなくなり始めている訳だ。

少なくとも、中間選挙でバイデンが負けることがあれば、流れが変わるかもとか考えていたのかも知れないが、それも難しいことが見えてくる中で、流れが良い方向では読みにくくなっていくわけだ。


<北朝鮮も刺激する対立>

尚、この問題は今、中国と台湾の問題も徐々に厳しい方向へと変えつつある。
米国政府が、半導体関連の中国への技術提供を止めているからだ。これがあまりにも進むようだと、中国が台湾へ侵攻する可能性は増す可能性もある。そして、その空気に敏感に反応しているのが北朝鮮だろう。

何故、米国が制裁をすると、中国が台湾侵攻する可能性があるのかというのは、これは半導体技術を何に使うのか?
半導体で何を作るのかと、その半導体をどこが作っているのかという点に依存する。

そもそも、米国でも中国でも、日本でも、欧州でも最先端のロジック半導体を作っているのは、TSMCである。
しかも大半は台湾の工場で作られている。そして、それをIntel(GPU、チップセット)、AMD(RADEON,Ryzen)、Qualcomm(Snapdragon)、NVIDIA(Geforce RTX 40)などで利用している。

もちろん全部をTSMCが作っている訳では無いが、最先端ならほぼTSMC一社であり、SamsungやIntelが作っているのは、それより少し質が下がる製品になる。米国が平和の終了と力による戦争を望むならば、台湾に侵攻すれば、先端の半導体製造ラインを持つ台湾を落とせば、取りあえず世界の先進国での半導体を使ったソフトウェア、ハードウェアビジネスを数年過去に戻すことが出来る。

北朝鮮は、ウクライナとロシアの紛争や、そういう空気を見て、核開発を加速させることにしたのだろう。
何故それに繋がるのかというと、そもそも中国やロシアから見ても、北朝鮮はあってもなくても、今やどっちでも良い国だからだ。緩衝ラインとして存在してはいるものの、国力が凄い訳でもなく、言うとおりに動く訳でもない。政治的に時代が止まった国だから、それほど協調するメリットもないのだ。ただ、だからといって切り離せば、暴走することこの上ない。そんな国である。

それが、核開発を加速させると言うことは、それだけロシアや中国の状況を見て北朝鮮自身もヤバいと感じている事を意味している。そして、ロシアや中国も、ヤバいと思わせたままで放置していることを示しており、自分達に目を向けさせないために北朝鮮を利用し始めた事を意味する。

これらから言えるのは、この先、もしもロシアが核を本当に使う事になれば、極東でも何らかの戦端が開かれる恐れが強い。
問題は、その流れになった時に、欧州や日本のために果たして米国の今の大統領は本当に動くのかだろう。動けば、間違いなく米国本土にも核攻撃などの何らかの報復はあるだろう。動かなければ、欧州や韓国や日本にも何らかの影響が及ぶ。


それが分かった上で、ロシアや中国との直接的な戦端を開かないギリギリを攻めているのか?それとも、認知症で思い込みの激しい爺さんが、どんどん薪をくべているのか……後者だったなら、米国が大国で欧州と日本がそれとともに世界経済を支える時代が終わり、中国ロシアなどと共に、北半球が経済圏から消え、東南アジアやインド、アフリカ、南米、オセアニアが次の社会拠点になる時代に変わるかも知れない。


考えて見ると、今一番ヤバいのは、米国、ロシア、中国の3ヵ国が自分のこと以外で何を考えているのかよく分からない事だ。
世界の先を見据えていると言うより、もう目の前のことで手一杯になり、世界がその覇権争いに飲まれていることが、結果的に不安定という問題を引き起こしている。


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