ロシア大統領、核兵器使用を示唆 米「深刻にとらえる」…… 日本ではあまり深刻に伝えていないが、キューバ危機より深刻。
AFPBBの記事である。
が、このニュース、日本で流している主体は以下の方になっており、中身を理解していない人が多いようだ。
核の発言も、どういう意味か伝えている記事は少ないだろう。
以下は、ロシアのregnumの記事を元にしたものである。ロシアの今は、史実や私が祖父母から聴いた戦前の日本のようになっていることが記事を見る限りで分かる。これは、恐ろしいほど危険な状況だ。
以下はプーチン大統領が昨日演説で述べた内容の全文である。
内容で最も危険な点は、
ロシアの主権、安全、領土保全を保護するために必要かつ緊急の措置、自分たちの将来を決定するという同胞の願望と意志を支持すること、そして選ばれた(選民された)西側の一部の攻撃的な政策についてです。
西側諸国の目的は、国を弱体化させ、分断し、最終的には破壊することです。彼らはすでに、1991年にソビエト連邦を分割することができたと直接言っており、今ではロシア自体が多くの致命的な敵対的な地域や地域に崩壊する時が来たと言っています。
と述べた上で、国を守るための動員をするとしたことだ。
また、この為に、あらゆる防衛のための戦力(兵器)を動員する覚悟を持っている事を示したことにある。
その上で、以下の記事が重要になる。
これは、ショイグ国防相が昨日述べた言葉である。具体的に、核トライアド(ICBM、SLBM、ALBM※の3つの核戦力のこと)をタスク(作戦)に載せており、いつでも履行できる状態にアクティベートしていることを示したのだ。
※ICBM(大陸間弾道ミサイル/地上)、SLBM(潜水艦発射型弾道ミサイル/海上・海中)、ALBM(空中発射型弾道ミサイル/航空)の3つの核兵器及びそれに匹敵する気化兵器のこと。これら3つが戦力として同時運用されると、全てを射程到達までに撃破するのは現状では不可能である。
また、ショイグ国防相は以下のようにも明言している。
「ロシア軍はもはやウクライナ軍と戦争をしているのではなく、西側集団と戦争をしているのだ。」とこれはどういう意味かというと、元々ウクライナ軍はロシア製(旧ソ連製)の兵器で戦いを始めたが、現在使っている兵器はそれではなく、西側から供給された物であるため、事実上、西側兵器と戦っている以上、敵は西側でもあると示したようだ。
後は、ロシアの西側(主にEU諸国)に対するエネルギー関連の記事も上がっている。ロシアから見たそれは、欧米で流れているそれよりいくつか誇張されている面もあるが、日本で流れているそれにはない事実情報も多分に含まれており、欧州の各国議会と民衆がエネルギーで揺れていることが分かる。
一方でこの記事に見られる傾向は、米国(アメリカ合衆国)に対して、嘲笑を持たせるような内容が見られることだろう。これが、ロシアの狙いであることも確かであると同時に、昨年12月の大統領訪問の際に何かが壊れたことから、こうなったのはもう間違いなさそうだ。
それから、この時系列記事の中には石炭関連で1つ台湾の侵攻を匂わせる記事があることに注意が必要だ。
<日本はインドでも中国でもないではないのに……報道は遠い>
欧州はかなり深刻であることを既に理解している。米国や南半球で距離の遠い豪州でさえもだ。しかし、日本はまるで報道管制された国か、それとも阿呆で当事者じゃないと思っているから分からないのか、報道が他人事になっている。実際は、昨日国連で日本も西側の立場のみに立って発言しており、ロシアからみれば宣戦布告チーム一員に入っている。実際に、いくつか(最低でも2つ)の記事では日本に影響を与えるエネルギーや日中戦争・太平洋戦争に関する記事で、元々日本贔屓だった国民(元々ロシア人は8割が親日派で侵攻前なら世界でベスト3ぐらいに入るほどロシア人から見てイメージが良い国だった)を徐々にプロパガンダで変化させようという向きで記事が書かれている。
これは、当初の米国等西側に対して断れないのが悪いという状況を超えて、一線を越えたとロシア連邦政府が見なした訳だ。
これが意味するのは、ロシアからのエネルギー供給はいつ止まってもおかしくないということ。それから、北海道などで遠洋、沿岸漁業をしている漁師は、今後、この関係悪化が長く続けば長く続くほど、ただの拿捕ではなく、スパイ(戦犯者)などとして逮捕・起訴、最悪攻撃される懸念が出てくることを示している。
国家が戦時モードに入ると秩序は軍部と指揮官によって作られる
というのを、日本人は既に知らない。ドラマや映画の時代劇、アニメとかゲームのお話とは違って、現実の社会では戦争では国家と国家が端から見てそれで争うのかというようなちっぽけな威信を掛けて戦うことになるからだ。何故そこまでするのかというと、戦争や紛争は人と人が殺し合う業であるため、罪深いのだ。その罪深い戦いを煽動した(先導した)人間は、勝たなければ生き残れる確率は上がらないからだ。
最近の日本では、ハッピーエンドを望む人が多いので、この発想自体を持たない人も多いが、その戦いに勝ったから生き残れるとも限らない。戦時に入ると、戦争の後に再び戦争が起きることもしばしばある。これは、力でねじ伏せることが当たり前の国や社会では、若い人も力でねじ伏せることしか、勉強しないから戦いという下剋上が続くのである。だから、幾ら勝利しても再び、下剋上の因果が巡ってくることがしばしばある。
そして、それを防ぐために、軍部やそれを指揮する指揮官が、力による秩序を形成する。
問題は、力による秩序を示すと、住民が恐怖する事がしばしばあり、それが畏縮や反抗に繋がることがあるのだ。そこで、指揮官は外からの侵略から自分達を守るという名目で、外の全く無関係だけど敵国認定した国の領海侵犯や領空侵犯に対して、防衛のために排除して臣民を守ったと示すことも出てくる。これが、戦時モードの怖さだ。
それにロシアが昨日入ったと大統領と国防相が示したのだ。相手は、ウクライナではなく、ウクライナを焚き付けている西側の為政者(首脳)だとして……。
狂っていると思うかもしれないが、これは見てる情報次第でどうとでも取れる。
私は、西の情報も東の情報もこうやってみているが、発端がある意味で大日本帝国と似ているのだ。そもそも、今日本は国連の常任理事国をウンタラカンタラと言っているが、日中戦争が起きる前、満州国樹立に対して国際社会の同意を得られず、当時の国連(国際連盟)で自らの脱退を選ばなければ、日本は国際連盟の常任理事国のままだった。実は今のロシアと傍目は似ているのだ。最後に太平洋戦争になる過程は、ABCD包囲網でエネルギーなどの調達が止められたからだ。結局、自らでその包囲を崩す道を選んだのだ。
圧力を加えれば、日本は諦めるとおもったのだ。しかし、そうじゃなく内情としては戦争へと進んだ。結果、日本は負けた。
ちなみに、戦争反対を訴えていた人も当時はいたが、特別高等警察などに捕まり、拷問などを受けて処分されている。また、近隣住民からも差別を受けることになり、その声は小さくなっていった。
今、欧米がロシアに同じ事をしているとも言える訳だ。
これは、当時の日本が正しかったという話ではない。とてもとても分かり易く言えば、戦力以外で圧力を掛ければ、相手が諦めるだろうという発想こそが、より酷い戦争を起こすことがあるという例えだ。
その上で、当時はネットも無かったし、情報は各国統制されていたが、今はそれがオープンでその国の言葉さえ分かれば、双方の言い分の矛盾点が見えてくるはずだが、残念な事に西も東も言語の壁や報道の機関の差があって、本質の問題を見ていない。結果、情報負けしたロシアが、一方的に追い詰められたと感じる状況になってしまっと、大統領やその側近達が思い込む流れになり……それに国民の多くが同調している恐れがあるのだ。
もちろん、日本の時事通信などが書いているデモで1400人拘束とかあるが……中国が一国二制度の自治権を廃止した頃の香港のデモと比べると分かるはずだ。それだけ、ロシア国内でも、プーチン大統領を選ぶ人が多いと言うことだ。
こうなると、プーチンはないと思っている人は国外に出て行って亡命するだろうが、もしその国の報道が正しく、国民の圧倒的多数がロシアは防衛しないと国が無くなるとすら思ってしまう。どうせ祖国が滅びるなら、全部を巻き添えにしてでも戦おうとなる恐れがある。そういう方向にロシアの報道プロパガンダは急激に転進し、今回のこの発表で、もう西側の声は聴かないぞ、どうせお前ら敵なんだろ!と大統領が自ら発した訳だ。これは将来に歴史が続くなら西側にとって致命的な失敗だったと成り得る話だ。
<時代の転換点>
平和な歴史は永遠に続くものでは無いこれは、日本だと古くは平家物語などで紡がれており
祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり
娑羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはす
おごれる人も久しからず 唯春の夜の夢のごとし
たけき者もついにはほろびぬ 偏に風の前の塵に同じ
という冒頭は、学生時代の古文で習ったと言う人も多いだろう。
松尾芭蕉の句では、
夏草や兵どもが夢の跡
という歴史の跡片の儚さを示したものもある。
日本は、源氏物語以来、長文のお話を書いたり、歴史書や時代絵巻を残してきた国であるため、時代の転換を示すそれなりに長大な文字列として残されたものが各種残っている。他の国では芭蕉の句のように、一文か短文の文(ふみ)が多く、それと、遺物から時代の栄枯を読み解くことが中世であっても多かった。
言葉や文字が発達した日本だから言えることだが、今は、世界の人々にとってどう見積もっても、大きな転換の時代に入っている。戦争が起きる起きないではなく、もう紛れもなく今の延長線上の社会は続かない時代に入ったのだ。
それは、SARS-CoV-2感染症の蔓延であったり、ロシアウクライナの紛争であったり、異常気象であったり、経済制裁であったりという問題を国家元首自らが大きくしてそして、解決するつもりもなく、相手が悪いと言い合っていることから見れば自ずと出てくる答えだ。
その中で、この国が選ぶべき選択は何であるべきなのかを、考えるために報道は意図的に取捨選択せず、より幅広く伝えるべきだろう。また、専門家が誘導しすぎてはダメだ。専門家が言っていることを信じたり、否定するのでは無く、自分の周りの身近な人とそれを話し合って、どうあるべきかを決めていくようにしなければ、結局最後は、自分の身近な人に自分も周りも頼り頼られ生きていくことになるのだから。
本当にこれからの10年ぐらいは凄いペースで世界情勢も社会の仕組みも変わっていくと考えられる。デジタル化だとか日本は言っているが、エネルギー危機が続くようだと、逆に機械化ではなく手動への転換こそがエコだと変わってきてもおかしくない。
戦乱などで物資不足になれば、農業などは、牛とか馬に器具を引かせる時代に戻ったりして……というのも、実際にないとは言えない。我々が楽をして大量生産して利益を出す目的だったものが、戦争が大きく広がれば壊れるからだ。
今は機械化やデジタル化でそういう点では、遠くの人と繋がることで、本来もっとも助け合える距離にあるはずの近くが遠くなり、いざと言う時により惨事が大きくなりかねない状況にある。しかし、現実は地に足を付けて身近な人と助け合い、寄り添い合うことこそが大事である。
それを忘れているからこそ、ウクライナとロシアの紛争は、ロシアと西側の戦争へと変わろうとしているのかも知れない。