ゴーカート事故2歳児死亡、3人怪我(大人1人、子ども2人) …… 事故を起こした子どもとその家族も被害者という不幸。
これは週末のニュースで、重体だった子が亡くなったという続報である。
朝日新聞デジタルと北海道新聞、読売新聞オンラインの記事だ。
これは、いわゆる道路ならただ事故なのだが、今回は事業者の業務上過失致死となるため、事業者責任が生じる事案となる。
今回この事故で業者の問題はいくつか判明している。
1つは、車輌の問題だ。通常のゴーカートは最大速度が30km/hで車本体上部にハンドブレーキが搭載されている。ハンドブレーキとは、引っ張るなり押すなりすれば、強制的にブレーキパッドを押し込む仕組みのあるブレーキが搭載されているのだ。また、車体にも衝撃吸収の構造が採用されているはずで、子どもが乗ることを前提にアトラクションカートとして安全性に配慮されている。
今回の車輌はトヨタ自動車系のディーラーが主催した「函館地区オールトヨタクルマファンFES」という販売商談ではなくただ自動車と親しむ祭典(フェスティバル)で、函館トヨタ・函館トヨペット・トヨタカローラ函館・ネッツトヨタ函館の4社が共同主催した事実上地域トヨタ主導のイベント事業であった。その目玉として競技用(主に大人が乗る向け)の200ccモーターカート(メーター最大時速40km/hだったようだ、外部補助ブレーキなし)がゴーカートに使われていたようだ。これが、事故を大きくしたのは間違いない。
ちなみに、このうちのいくつかはトヨタ本体からの出資比率が過半を超えているはずだ。ただ直営事業社ではない。
2つ目は、コースの問題がある。そもそも、ピットインする際には速度が落ちるから……という発想でコースを考えていたようだが、プロのモータースポーツでも暴走事故は時よりある。それが大惨事にならないのは、ピット人員もそれを想定した訓練をしているし、また、観客席がピット走路より高い場所に設置されていることで、ある程度の安全を確保していること。そして、ピットへの侵入構造が事故を起こしにくい場所に作られているためである。
特に運転に慣れない人が運転する場合、絶対にピットは高速加速をした先においてはいけない。
加速する前の場所にピットは置くべきである。また、ピットへの入り口は緩やかな弧を描くように設置すべきで、直角を使うのは論外である。ゴーカート場のように周りが完全に安全柵やゴムなどで囲われているなら別だが……。何故、加速した先の直角はだめなのかというと、ハンドル操作、アクセル→ブレーキ、ピットの場所確認の3つを同時にする必要が出てくるからだ。
大人で免許を持っている人なら、制動距離を知っているから、どのぐらいの距離に対して、どのぐらいの地点でブレーキを踏むべきかが分かっているが、子どもの場合、例えゴーカートが好きだったから頻繁に乗っていたとしても、モータースポーツ用は初めてだったなら、制動速度10km/h(30km/hと40km/hだと制動から停止に必要な距離は8~9m増える)の見誤りが生じることがある。
そこでパニックになれば、大人でもブレーキとアクセルを踏み間違えることはあるわけで……子どもなら尚のことだ。だから、熱狂の先にピットインを作るのではなく、自発的に速度を落とせる場所の先にピットを作ることが重要になる。そもそも、ピットインの場所をわざわざ作らずに、コースを少し長めにして、その代わり1周だけで必ず降りるようにしていれば、踏み間違えも少なくなっただろう。
3つ目は、観覧場所のコーンって何だよという話だ。映像を見たのだが……観覧場所にあったコーンというのは、コーンポストを多量に並べて障壁にしたものでは無く、ただ工事現場などで使われるコーンポストを土台に立ち入り禁止の黄色と黒のバーを乗せただけのそれだった。これがどんな意味を持つかというと、コースの中に外の人が入ってこないというだけで、コースの中から飛び出してくるかもしれない車輌はその下をすり抜けるkとは、大人でも想定できるものだった。これは、観客側も集まって見ていたなら甘い。普通はそういうコースであるなら、見学するのを避けて離れた方が良く、主催者にその点を注意する人がいたかは分からないが、いて欲しかった。
4つ目は例えコーンだったとして、コーンから観客席までの距離が十数メートルほどと距離があまり離れていなかったようだ。時速40km/hの自動車が、1秒間に進む距離は11.1……m/sになる。子どもの体重且つ競技用であればリミッターがあるのかは分からないが、アクセルべた踏みで平面の道路ならアクセルをベタに踏めばそれ以上出た可能性もある。この場合、飛び出した瞬間に車に取り憑いて、止めようと作業しても、空走距離が10~12m、制動を開始して止まるまでの距離が10~12m※ある。これの意味を五つ目に繋ぐ。
※尚これは普通の公道用で使うノーマルタイヤを利用した乗用車、ABS(Anti-lock Braking System)付きの場合である。モーター競技用はABSレスが多い。また、競技用のタイヤやゴーカート用のタイヤはトレッド溝がないフラットタイヤを使った車輌が多いので、ドリフトなどがし易い一方で、制動距離が長くなることが多い。
5つ目は、以下の記事にある担当者の発言だ。これも、言っている内容は緊迫感を伝えて頑張ったように見えるが……この人自身がパニックになっていたことを物語っている。
少女がパニックを起こしていたようで……だから、ブレーキをとか引っ張ってと言っているが……これは正しくないことになる。何故か?
そもそも、異変に早期に気づいて、車輌に飛び乗り、例えブレーキやアクセルに手が届いたとしよう。観客席まで50mぐらいあれば、この説明は成り立つだろう。しかし、現場はせいぜい20mぐらいしか観客と本線の距離は離れていないようにみえる。その場合、車輌に乗ってない人間が、危険認識して、車輌に飛び乗れたとしても、止める作業をするまえに観客のいる場所に乗り上げていたと考えるのが妥当だ。本来それを防ぐなら、ハンドル操作を何とかして人が沢山いる場所を避けるしかないのだが、止める事に目を向けすぎたのか、もうぶつかった後になって追いついたの分からないが、止めようとしたのだという話になっている。
即ち、一番側にいた大人が周りの状況認識を出来ていなかったことを示している。
もっと言えば、体を引っ張っても時速40kmの車輌を止めることは出来ない。
出来るとすれば、ハンドルを人のいない方向に切るように制御するとか、そのぐらいが唯一できたかもしれないことである。もちろん、それで惨事がよりおおきくなることもあるので、それが出来たとして最善だったとは限らない。
<主催者は被害者と加害加担する形になった家族へ償いを>
この事件の後味の悪さは、加害加担する形になった少女によって幼い子どもが亡くなっていることにある。亡くなった子供のご家族や怪我をされた方にはもちろん、十分出来うる対応すべきだが、加害加担してしまった少女の情緒に与えた影響は計り知れない。このような状況に追い込んでしまった周りの大人の責任は大きいと言える。これは、単に主催者だけが責められる話ではない。
その会場にいた大人が、事故が起きてからきっと分かったであろうが、事故が起こる前にあそこに観客がいるのは危険じゃないか、場所を変えるべきでは無いかと言っていれば、この事故は起きなかったかもしれない。
また、主催者側も、より迫力ある車輌でと思って準備したのだろうが、ならまずすべきはより迫力ある車輌よりも、安全対策にコストを掛ける必要があった。例えば、今までが100の性能で、対策が100だったとして、それで事故がない。もっと迫力あるイベントをと性能を200にして、対策は100のままなら、それは危険な事態になる。
これは当たり前のことだ。
今回のケースは普通のゴーカートでも同じ事が起きれば重症者が出ていた可能性がある作りだったと考えられる。ただし、速度が2割遅ければ避けられる可能性も上がるし、10km/hの差があればぶつかっても死亡する危険は大幅に下がる。即ち、これまでこれでやって来て問題なかったかも知れないが、いつかは起きる事故が起きるべくして起きたと言える悲しい事故である。

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