増える関東の地震と火山噴火の心配よりもプレートの状況を想像した方が良い。

深夜~今朝に掛けて山梨県で2度の中規模地震があり、その余震も数度繰り返されている。
これによって、SNS上では富士山噴火を心配する声まで出ている。最近は各地で活火山が活発に噴火する姿をニュースに取り上げているので、無理からぬことだが、震源の深さから考えるとすぐに噴火が起きるといったことはないだろう。

噴火の前触れは低周波地震(人には感じにくいがコップに水を入れて、置くと小さな波紋が立つ地震)で分かるからだ。大きな地震=噴火にはならないのである。噴火をするには火道(かどう)が形成される必要があり、過去に噴火した溶岩道が存在しないか塞がっている場合は、溶岩ドームと呼ばれる山体隆起が起きてから噴火する。それまでに道を溶かしたり、押しのけたり避けたりするのに、低周波微動が生じるのだ。それが火山性地震や火山性微動と呼ばれる地震だ。大半は人が感じるほどの大きさではないが、人によっては空気がざわつく感じなどを感じ取れるかも知れない。

噴火直前には震度1~2の地震が観測されることもある。
今回は震源が深さ20~21km付近なので一般的な地震である。
ここはフィリピン海プレートと北米プレートの境界面に位置している場所付近で、フィリピン海プレートが角のように張り出した岬の北東側または突端付近に相当する。さらにユーラシアプレートの境界にも近いため3つのプレートの力加減の変化が生まれると地震が起きる場所でもある。これは昨今北米プレートと太平洋プレートの境界で起きている地震や、最近能登半島で頻発している地震の余波を受けた結果だろう。

これを書いている途中に震度5弱が和歌山の紀伊水道で起きている。
震源の深さは推定20~21kmである。M5.4である。前回の3月より大きなマグニチュードである。この付近も最近は地震が増えている地域だが、中央構造線より南で起きており、多分未知の断層があり、そこが動き続けているのだろう。これはフィリピン海プレートと連動しているとは言い難い。むしろ、中央構造線とフィリピン海プレートの間にあることから、この隙間が何らかの理由で詰まってきているとか、開いてきているとかそんな感じの方が有り得るのかも知れない。


尚、これとは別に千葉-茨城沖での地震も増加している。こちらは本当に頻発しており、同じ場所に集中しているのが分かる。この辺りの地震は北米プレートが関与しておりユーラシアプレートと太平洋プレートの両方から押し込まれている北米プレートの最も南東の下に近い場所でプレートが圧に耐えられなくなっているのだろう。この震源地付近の海底より南東や南の海底の深さなどが変わるような状況なら、結構大きな変動が他でも始まる恐れもある。


<中規模地震が極端に多いのは北米プレートとの境界で、それに続いてユーラシアが揺れる>

とにかくはっきりしているのは、この数ヶ月で極端に地震が増えているのは北米プレートとの境界に接する場所かその中である。北米プレートがかなり不安定な状況にあるのは間違いないだろう。中でも10年前に東日本大震災を引き起こした太平洋プレートとの境界付近では未だに地震が減っていないことも見て取れる。そして、それが玉突きのように周辺のプレート境界面やユーラーシアプレート上での小さな地震を起こしているように見える。

逆に静まっているのは北米プレートと触れている範囲が狭いフィリピン海プレートである。これは海の中にあるため、小さな揺れは見えないというのもあるが、北米プレートとの接している面が少ないからというのもあるのだろうし、ため込んでいるという可能性もゼロではない。

これが南海トラフ地震を近い将来引き起こす前兆なのかなどは分からないが、はっきりしているのは北米プレートの地震はまだ落ち着く様子がないということだろう。そして、それは東日本大震災後にプレート境界面の南に下がってきたような雰囲気があり、それがユーラシアプレートをも頻繁に揺らしているように見える。

この先暫くは列島は揺れ続けることになりそうだ。特に、ユーラシア側は北米が収まりを見せないためこれから酷くなる可能性もある。

ここで問題なのは東日本大震災から尾を引いている地震が未だに続くことを考えると、この暫くが人類にとって何年なのか、何世代とか何十年なのか分からないことが一番の問題だろう。TBSのドラマで日本沈没をやっている時期なので(私は見てないが)、それを見て話題にする人もいるようだが、あんな短時間で終わるものではなく、嫌らしく中規模な揺れが襲い続けながら、時々凄い揺れが来る可能性の方が圧倒的に高い。

だから、とにかく、地震の被害軽減の対策として、家具の固定や防災グッズの準備などをしっかりしておくことである。
尚、地震と大雨洪水では用意する防災対策が異なる事にも注意が必要だ。

地震の場合は、基本的に避難所に必ずしも急いで避難する必要はない。倒壊や周辺の火災などがある場合に避難が必要になる。
そして、これが最も大事だが、耐震性が幾ら高い住宅でも、家具を固定していないと、家具に押しつぶされて死ぬ可能性もある。だから、家具の固定が絶対に第一条件で、安全確認である。そして、その場に留まると危険なら避難路の確認(出火などしてない場所を探して避難する)、最も近い避難先、公園、河川敷(震源が海でない場合で津波の心配がなければ※の一時避難場所では使えるが最終避難場所にしてはいけない)、運動場など広い敷地があり上が開けた場所で、可燃物が少ない場所)への移動である。

大雨などと違って火災や倒壊がなければ、食料や衣服などは後から取りに来ることも出来るので、取り急ぎ避難時は、換えの衣服、タオル、飲料水など最小でも何とかなるかも知れない。尚、電柱の倒壊や火災が見られる場合は、車での避難はしないことだ。

後は、※を付けているが、海に近い地域は津波の心配があるかないかにもしっかり気を配ること。津波の心配がある場合は、家の被害とかそういうのは後回しに、高台避難を速やかに進めることが命が助かる一歩である。これは、M6~7以上の地震で海の中で起きた場合の地震(津波警報や注意報が出る地震)に対する対応である。この場合は河川敷などがある川沿い避難やそれを避難経路に含むことも場合によっては避けなければいけない。



この記事へのトラックバック