クアルコム「Snapdragon 8 Gen 1」、第7世代AIエンジンの実力とは …… それでも追いつかれつつあるQualcomm

ケータイWatchの記事である。


ソニーと協業を発表し、日本企業との連携を強めるQualcommだが、日本の大手ネットメディアがQualcomm寄りなだけで、あまり良い状況にはない。既にいくつかの製品で発熱がSnadpragon 888より大きくなっているようだと噂が出ており、その声は大きくなってきているからだ。

一方で、初動の評価が高くなっているのは台湾MediaTekのDimensity 9000(MT6983)である。性能においてSnapdragon 888を上回った製品であり、Snapdragon 8 Gen 1と比べても、GPU性能は低くなるものの、これまでのMediaTek製品に比べても遥かにバランス評価が高い状況にある。Samsungプロセス(一部はTSMCに戻そうとしている)を選んだことで落ちたQualcommとTSMCを続けているMediaTekの差が出ていると言えるのかも知れない。以下はiPhone MediaのDimensity 9000の記事である。

尚、DimensityはTSMCのN4プロセスで製造される。Cortex-X2は3GHzオーバーで稼働し、A710×3(2.85GHz)、A510×4(1.8GHz)、ARM Mali-G710MP10という組み合わせである。発熱も消費電力も、888より下がる見込みである。これの欠点は、スペック上は1つだけで統合されている商用無線のベースバンドチップがLMDS(ミリ波)をサポートしないことぐらいだろう。後は、Qualcommの方がディベロッパー向けのSDKは充実しているので、対応ソフトウェアリソースの開発は行いやすい。そこがある種、このAIの記事でも示されている強みだろう。協業するメーカーが多いのだ。

ただ、これまで居なかったハイエンド/エンスージアスト向けでライバルが誕生したのはもう間違いない。Dimensity 9000の生産量はこれまでで最大クラスまで増えるかもしれない。採用メーカーが多く、QualcommのSoCより幾分お値段が安いようなので、消費者からの期待も高いからだ。

結果としてこれまでハイエンドと言えばQualcomm一強だったところに、Dimensity 9000が入り込むようになった訳である。残念なのは日本陣営で採用する予定があるメーカーが今のところ発表されていないことぐらいだろう。この辺り日本のスマホが世界的にはあまり売れない原因なのかもしれないとも思うが、まあこの先の情勢次第では日本企業も考えるのだろう。

Snapdragon 8 Gen 1もクロックを抑えて出荷すれば、Dimensity 9000と同じぐらいまで消費電力を抑えられる製品は出せるだろうから、あまりに熱問題が大きければ公式にA、B製品で出てくるか、各社の対応のなかで出てくるかも知れない。


MediaTekとは違ってQualcommはスマホやタブレットよりさらに上や広い領域を狙っているから、こういう記事に書かれる発表内容になる訳だが、下から急激に追われている状況にある今、AIも含めてQualcommじゃなきゃならない理由も薄れつつある。AIは4倍となると、Dimensity 9000では勝てないのは間違いないとはいっても、それがQualcommが発表で述べた処理をDimensity 9000では出来ないと言う話とは繋がらないからだ。少し遅くても出来るなら十分である。

Google Tensorが性能が低くても、効率の高さを売りにしたように、演算性能だけが全てではない。圧倒的な演算性能があっても、チューニングが低ければ処理のロスは生まれるだろうし、目的が決まっていれば、低いテンソル処理でも十分に用途は満たす。後は、利用する目的に対して最高速の性能がなければ処理出来ないケースがどれほどあるかだろう。スマホの場合は多分もう、Gen 1でなければ対応しないような用途はないと思われる。

そうなると、スマホは価格の勝負になり、それ以上の用途を探してQualcommは他の組込市場を模索しつつ、それが定まるまでこの市場を死守することになる。果たしてそれが間に合うのか、それともDimensity 9000やその後に来る製品が徐々に切り崩して、王者を少しずつ弱らせるか、これはIntelとAMDの関係と同じように、半導体製造をするfoundryの選択一つで関係が変わるという熾烈な時代に入ったと言える。


まあ、QualcommもGen2辺りでTSMCに戻る可能性が高いので、そこで発熱問題などがクリアされるという流れも有り得る。



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