長雨で山頂削られ噴火、溶岩が数百m流れ出る…ジャワ島で死者14人に …… 噴火後の噴火が怖い。
読売新聞社、AFPBB、CNNの記事である。いずれも昨日の記事だ。
日本で直近の噴火による死傷だと、白根山と御嶽山がある。どちらも、当日に突然噴火して被害が出てしまったパターンである。
この2つの噴火で、休火山、死火山というものがなくなり、噴火の恐れがあるか、噴火したことがある山で火口が残っている山は全て活火山/火山(すぐに噴火の恐れがないものの注意すべき山)になった。そして、活火山は山体に監視が出来る設備の設置や、避難シェルターの設置が行われることになった。
ただ、これらはたまたま日頃噴火しない山が噴火したから被害が当日に出ることになった訳だが、これまでの歴史の中では、噴火当日の死亡者より噴火後の再噴火が恐ろしいというのは、知る人ぞ知る話である。
これを日本や世界でもっとも知らしめたのは、雲仙普賢岳の溶岩ドーム崩壊による火砕流(大火砕流)だった。殆どはマスメディアの関係者と消防団員の被害だったが……。その結果として、貴重な映像として火砕流の怖さを示すものが沢山残ることになった。
ちなみに、この火砕流の被害が恐ろしいことを示した最初の記録は、米国のセントヘレンズ山の側方溶岩ドームからの噴火による火砕流である。ただ、当時は写真が中心でそれらも焼失まはた流出したモノが多いとされる。映像は殆どないか、あっても焼けて残っていないはずだ。
だから、映像としての普賢岳は衝撃的だったわけだ。
では、何故後の噴火で被害者が増えるのだろうか?
日本では、既に脅威が分かって居るので、被害は後ろに行くほど減る傾向があるが、火山活動の影響が身近にある場所では、元々火山の活動が生活の一部に入っていることが理由となる。例えば、鹿児島の桜島が噴火したとニュースで流れることがあるが、鹿児島の人から見れば、噴火などいつもしているよという話になる。ちょっと今回は大きめの噴煙で火山灰が多めに降ったけど……とか、風向きが悪かったとかそういう話になっても、その程度なのだ。
即ち、現地民からすれば慣れている日常なのだ。その延長線上に大噴火や普段は見られない溶岩ドームの形成があった場合、それに監視当局が気が付かないと……そこが火を噴いた時から、被害が急拡大する。それが、火山の一番怖い点である。要は、慣れが結果的に、ここまで来ないだろうという変な安心感を与えるわけだ。
尚、日本ではこういうことは起きにくい。これは、過去の噴火から危険度が分かっている場所が今噴火している地域では多いからである。但し、40年も50年も噴火したことが無い場所や、小規模噴火しかしていない場所では、記録にある噴火情報しかないため、こういうことが起きる可能性はあるし、特に高齢化が進んでいると、老い先が短いこともあり避難を望まない人もいる場合がある。身寄りもなく家もなくなればもう生きる気力もなくなるということだ。
<今回のケースは……>
雨天後の火砕流だったようだ。溶岩ドームがあったのかは分からないが、大きな噴火によって噴火口付近が崩壊し、崩れ大量の溶岩を含んだ水蒸気や土砂と共に流れ下ったのだ。あの灰色の煙はまるで冷たそうに見えるが、一番先端で止まり始めて冷えているであろう部分でも、低いところでも200度以上、300~400度ぐらいはあるはずだ。しかも、煙の中は小さな火山礫(かざんれき)の渦であり、例え何とか住宅の中央付近などに逃げて逃れて生き延びたとしても、舞い上がっている礫が今度は地面に落ちてくる。深いところでは1m~3mぐらいは積もるだろう。
まあ、その前に逃げられないと分かった段階で建物の中(中心付近や物陰に逃げ込まなければ、窒息する可能性が高いのだが……これは、あの煙の中では、小さな礫が多く待っているため、肺胞に入り込むとこびりついて酸素と二酸化炭素の交換を妨げるからだ。これは、9.11のテロで建物が崩壊した際の粉塵でも起きたことだが、煙上に霧散するアスベストや礫を含んだ灰燼は、例え酸素濃度が一定程度を保っていても吸い込み続けると、肺機能を壊してしまうことに繋がるので、必ず口や鼻を覆うことが大事である。そして、煙から逃げ切れないと分かったら、助かる最善は、建物の中心付近で且つ噴火地点に対して背中向ける形になる壁際に逃げ込むことしかない。
1000人規模の村や町でどれほどの逃げ遅れがあったのか分からないが、3桁行っていなければ良いが。
火砕流が起きた後は、道路などが埋まるため、それが直接集落に直撃している場合は、被害の全容が掴めるまで結構時間を要するだろう。
その前に報道は終わるのだけれど……
それは、コンゴの噴火で既に証明されている。170人の子供は果たして見つかったのだろうか?
現代報道の噴火の最も怖いところは、最後までどれほどの被害だったのかの総括をニュースでは伝えないという点である。
ちなみに、最近のコンゴは以下のような状況らしい。