マイクロン、今後10年間で1500億ドルを投資へ-研究開発や工場建設で…… シェア2%という厳しさと米中摩擦の影響。

ブルームバーグの記事である。


米マイクロン(Micron Technology)が米国内で1500億ドルの投資をする見込みという記事だ。当該の記事にもあるが現在マイクロンはアジア工場での先端製品製造を行っており、その中でも日本の広島工場が最先端となっているというのは、以前も書いたことだ。日本で唯一の1Zライン(10nm級の半導体生産ライン)を持つのが、広島である。

ここもそろそろ拡張の余地が無くなりつつあったため周辺の土地を購入して増床する計画も発表しているが、米中摩擦の影響もありさらなる増産を日米で行うということのようだ。


日本の拡張もしてくれているから有り難いが、既にここしか最先端の微細加工技術をもつ工場が存在せず、ソニーとTSMC、デンソーが作る熊本の工場は、これより1世代前で、国から早々に金が出ていることには、経産省などの役人や議員の知識の無さが、徒となっていることが覗える。ちなみに、もし金を出すなら、ソニーなどのラインよりこちらに増額して土地取得などをもっと支援した方が良いだろう。

半導体の場合は、微細化するほど同じ性能ならば省エネルギーになり、高速になる。今まで車載は32/40/45/65nmだったから20/22nmで良いだろうではなく、本当にSDGsなどを考えているなら、国が金を出すのだから、もう1ノードか1.5ノードぐらい世代を上げろと注文すべきなのだ。

世界をリード出来る技術水準に対して金を出さないと意味がないのだから。まあ、ここで書いても意味は無いだろうが、今や政治家と役人は金さえ出して、国が支援した誘致に協力したと見せるパフォーマンスだけの時代になっていると言うことである。


話を戻すと、このMicron Technologyも米国での製造はかなり少ない。
現在は、シンガポールのNAND工場と、日本の上記工場が最先端であり、投資効果も大きいためそこで大量生産されている。
本家の米国でやらないのは、単純に輸送流通も考えた時に、これらの地域が今あるならそこに投資し続けた方が良いからだ。ただ、これからは本土生産を加速させていく方針になった。それは、結局コロナ渦のサプライチェーンの問題が出てしまったことと、中国などと技術覇権の問題があること、さらに米本土の世論や政府の方針がその方向だからという点が挙げられる。

米国での投資が増えていくともしかすると、2024年より先の5年10年後において広島やシンガポールの工場の役割が低下していく可能性もあるだろう。これは日本にとっては中長期的に見て結構重要な問題になるかもしれない。

まあ、衆議院議員選挙の候補などは自分がやった成果と、批判が殆どだが……本当に大事なのはこれから何をするつもりなのか。それをしたらどうなるのかなのだが……。


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